伝統芸能

世界最古のオーケストラは雅楽!日本の音楽とその種類、歴史をご紹介

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日本には歌舞伎や能、落語など、古くから伝わる様々な伝統芸能がありますが、その中でも音楽を携えているものは多くあります。たとえば歌舞伎でも能でも、演じる方のほかに音楽を奏でている方々が舞台奥に控えていますし、それは一人ではなく、たくさんの人で形成されています。今回は、そんな日本の伝統芸能の一つとして、音楽をご紹介していきます。

日本の伝統芸能としての音楽、どんなものがあるの?

いまや日本には様々な音楽が蔓延っていて、それは日本国内のものだけではありません。街には音楽を聞きながら歩いている若者もたくさんいるように、音楽は私たちにとってもさらに身近なものになっています。

そんな音楽ですが、日本には実は伝統芸能として様々な音楽が存在します。たとえば楽器一つをとっても、尺八やお琴、三味線など、日本人になじみが深いものは数多くあります。

また、日本に伝わる伝統芸能の中でも、「音曲」に分類されるものは、いずれも音楽がメインとなって演奏されるものでもあります。まずはそれらをご紹介していきましょう。

ひとつめとして、雅楽をご紹介して行きたいと思います。雅楽とは、元は中国やベトナムを経て、日本で開花した伝統芸能です。舞と音楽を融合したもので、世界最古のオーケストラとも呼ばれる雅楽は、曲や演目によって多彩な色を魅せるため人々を魅了する伝統芸能の一つです。また、雅楽では、三管、三鼓、両弦と呼ばれる楽器が使用されていて、この8つが中心となって音楽を奏でます。ちなみに三管とは笙、龍笛、篳篥と呼ばれる3つの楽器の総称のことを指し、三鼓とは鞨鼓、鉦鼓、太鼓を、そして両弦とは楽琵琶、筝のことを指します。これらはいずれも高価な楽器なため、ものによってはプラスティックのものも最近では流通しています。

また、雅楽では音楽を奏でる方のほかに、舞いを演じる方がいることもあります。雅楽の中でも、音楽のみを演じるもののことを管弦、音楽のほかに舞も合わせたものを舞楽と呼び、舞楽はほとんどの場合屋内で行われます。

楽器の演奏と一緒になった伝統芸能はまだまだあります。たとえば義太夫節は、三味線の演奏とともに、ストーリーを語るという形の、浄瑠璃と呼ばれる伝統芸能です。同じく三味線の演奏と共にストーリーを語る浄瑠璃としては、清元節、新内節、常磐津節などがありますが、それぞれ技巧的にも歴史の長さでも異なるものとなっています。

あとは、「三曲」と呼ばれる、尺八、筝、三味線の3つの楽器を用いた演奏も歴史ある伝統芸能としての音楽に当たります。楽器でいえば、薩摩琵琶や筑前琵琶なども、その地域を発祥とする楽器を使用したスタイルの弾き語りとして有名な伝統音楽です。

楽器だけじゃない!歌唱としての伝統芸能・音楽

楽器を奏でるものとしては、先ほどご紹介した以外にもまだありますが、もちろん楽器を使用しない伝統芸能としての音楽もあります。それが、歌唱による音楽です。

たとえば「声明」というものがあります。これは、仏教の儀式の際に用いられる音楽なのですが、「平家琵琶」など、日本語の歌詞を付けたものも有名です。ちなみに「平家琵琶」とは、日本ではおなじみの、平家一族の興亡を描いた「平家物語」を、琵琶を弾きながら語るというスタイルのことを言います。このように、日本語のものとしてアレンジしたものもあれば、伝わった通りに外国語で歌うものもあります。

また、お琴を弾きながら歌う音楽のことを、「筝曲」とも言います。これは物語性の高いものも多く、現在も多くの方に演奏し奏でられているものもあります。

意外と多い?三味線を使用した日本伝統音楽

日本で古くから伝わる伝統芸能としての音楽では、三味線を演奏するスタイルが多くみられます。たとえば「長唄」は歌舞伎を彩る音楽として親しまれている三味線音楽で、歌舞伎愛好者の方にも広く愛されています。また、撥を使用せずに、指で演奏をする三味線として「小唄」があり、これは狭い場所で演奏されることから撥を必要としなくなったといわれています。そして、通俗的な曲を演奏する三味線の楽曲として、俗曲などもあります。これは、お酒の席などで演奏される短い楽曲の呼称でもあります。加えて、先ほどご紹介した通り、浄瑠璃も三味線の演奏と語りを融合させた、三味線音楽の一つです。

さらに、日本本土で三味線が伝わる際、沖縄を経由したことから、現在の三味線とはまた違った、沖縄オリジナルの楽器である「三線(さんしん)が生まれたとされています。この三線を使用した音楽は、「琉球古典音楽」とも呼ばれていて、歌と三線を合わせた弾き語りとして「歌三線」も伝統音楽の一つとされています。

日本の伝統芸能は、音楽と切っては切り離せないものがたくさんあります。古くから伝わる伝統音楽を、機会があれば堪能してみてください。
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