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美味しい温泉まんじゅう巡り! 発祥の地・伊香保から伊豆長岡温泉まで

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温泉みやげといえば温泉まんじゅう。温泉好きの人なら、これまで全国各地の温泉地で必ず見かけて、いろいろ食べてきたのでは?

ほっこりかわいい温泉まんじゅうくんというキャラも人気ですね。でも、「いったいどこが『温泉』なの?」と不思議に思ったことはありませんか? 「全国の温泉まんじゅうのほとんどは、3カ所の工場でつくられているらしい」なんて噂もあるほど、似たりよったりな気がする温泉饅頭。しかし、じっくり食べ比べてみればそれぞれに味が違います。

温泉まんじゅうの歴史や、温泉まんじゅう食べ比べができる温泉地を紹介します。

意外に新しい温泉まんじゅうの歴史

まんじゅうのルーツは中国の饅頭(まんとう)。

鎌倉時代、禅僧によってもたらされた饅頭は、肉のかわりに小豆を甘く煮たあんを入れ、おやつや軽食として、禅寺で食べられるようになりました。庶民もまんじゅうを食べるようになったのは、江戸時代になってからのことです。

「温泉まんじゅう」が生まれたのは、明治43年。風月堂で修業した半田勝三が伊香保で勝月堂を開いた際に「伊香保温泉の名物になるようなものを作ってみては」と勧められたことがきっかけだったとか。当時、伊香保と渋川間に伊香保電気鉄道が開通。その関係で江ノ電まで出かけた人が持ち帰った上州屋の「片瀬饅頭」が参考になったともいわれています。こうして誕生したのが「湯乃花饅頭」。黒糖を使った茶褐色の皮は、伊香保温泉の鉄分の多い茶色の湯をイメージしたものです。その後、伊香保では各店で作られるようになりました。後年、店頭で蒸して実演販売をするようになり、それが人気に。昭和9年には昭和天皇がおみやげに買われたことから評判になり、黒糖入りの茶まんじゅうが「温泉まんじゅう」のひな型として全国に広がりました。

温泉まんじゅうといえば、「温泉の天然の蒸気で蒸すまんじゅう」というイメージもありますね。
熱海温泉や別府温泉には、昔から日常的に温めたり蒸したりするのに利用されていた源泉がありました。大正時代、温泉で蒸したまんじゅうとして、初めて売り出された温泉まんじゅうが、熱海温泉にある延命堂の「元祖温泉延命まんじゅう」。温泉蒸し型の温泉まんじゅうのルーツといってもいいでしょう。

温泉まんじゅう巡り~群馬県[伊香保温泉]

温泉まんじゅう発祥の地、伊香保温泉は、浴衣姿で下駄をつっかけて石段街をぶらぶらと散策する姿が似合う、昔ながらの温泉町。

泉質は鉄分が多く、空気に触れると茶褐色になる大硫酸塩泉です。450年前より、関東の十六番札所の水沢寺や榛名神社に参拝する人が、湯治をかねて多く訪れるようになり、子宝の湯としても知られるようになりました。

伊香保の温泉まんじゅうは「ゆのはなまんじゅう」と呼ばれています。勝月堂の「湯乃花饅頭」は皮がふわふわですっきりした甘さが人気です。10店以上が「湯の花まんじゅう」を販売していますが、最大手の和菓子店が清芳亭で、しっとりした皮と上品な風味のこしあんが人気です。
老舗の田中屋はあっさりした甘さが特徴。
大黒屋本店はほんのり塩味がきいたあんこにファンが多いとか。
もちもちした生地が特徴の子宝屋「子宝饅頭」もおいしいと評判です。

街を散策しながら、ゆっくり食べ比べするのも楽しそうですね。 ?

温泉まんじゅう巡り~群馬県[草津温泉]

温泉まんじゅうの激戦地と知られるのが草津温泉。

日本一の自然湧出量を誇り、湯畑やゆもみなど、ここにしかない温泉情緒で古くから人気の高い名湯です。泉質は酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉。

本家ちちやの「温泉まんじゅう」はつぶあんの茶まんじゅうと、栗あんをこしあんで包んだ二色まんじゅうの2種類があり、どちらも上品な甘さで安心できるおいしさです。
松むら饅頭の「松むら饅頭」は小豆の味を活かした甘さ控えめなあんの人気が高く、冷めてもおいしいと評判。
また山びこ温泉まんじゅうの「あげまんじゅう」は「山彦まんじゅう」を天ぷらにしたもの。食感と衣とあんのハーモニーが絶妙です。
甘さ控えめ、もちもちした厚めの皮の亀屋「温泉まんじゅう」、茶(あずき)、白(栗あん)、うぐいす(うぐいすあん)と3色それぞれに楽しめる長寿店。

そのほかにも、個性豊かなまんじゅうとたくさん出会えます。

名物温泉まんじゅう巡り~静岡県編[熱海温泉]

1500年前から、海が熱い場所として有名だった熱海温泉。

熱海七湯とよばれる源泉があり湯量が豊富で、かつては世界三大間欠泉といわれた間欠泉もありました。(現在は人工の間欠泉)。泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩温泉。

熱海温泉にもさまざまな温泉まんじゅうがあり、おいしさを競い合っています。延命堂の「元祖温泉延命まんじゅう」は、大正期、庭先で自噴していた温泉の蒸気で作られていました。つぶしあんの茶とこしあんの白の2種類があります。できたてが食べられる利休では、ふわふわの「温泉まんじゅう」とともに「うす皮まんじゅう」が人気商品。
中村屋の黒糖饅頭(つぶあん)醤油饅頭(こしあん)は皮の風味とあんがマッチしておいしいと評判です。
泉屋ではつぶあんの「薄皮まんじゅう」、阿部商店は皮の生地に黒糖、抹茶、シソをそれぞれ練り込んだ「いいらまんじゅう」が人気。「温泉まんじゅうアイス」という変わり種もあります。

名物温泉まんじゅう巡り~[伊豆長岡温泉]

画像出典:伊豆長岡温泉 Villa Garden 石のや
URL:https://tkp-resort.net/ishinoya/

温泉まんじゅう日本一を宣言しているのが伊豆の国市。

毎年10月下旬から温泉まんじゅう作り体験ができる「温泉まんじゅう祭」が開催されています。伊豆の国市の温泉といえば伊豆長岡温泉。もともとは源氏山をはさんで西側が長岡温泉、東側は古奈温泉でしたが、両方合わせて「伊豆長岡温泉」と呼ぶようになりました。古奈温泉が開かれたのは約1300年前。源頼朝が配流されていたときに気に入って入浴したなど、源氏や北条氏とのゆかりが深い温泉です。泉質は弱アルカリ単純泉で、低刺激で美肌によいとされています。

伊豆長岡温泉でいちばん最初に売り出された温泉まんじゅうは、黒柳の「元祖温泉まんじゅう」。真ん中にくぼみがあり、薄くしっとりした皮とさっぱりしたこしあんのバランスが絶妙です。
大正五年創業の柳月は内閣総理大臣賞受賞の実績がある老舗で、「ながお菓まんじゅう」は、ふんわりした皮とくっきりした甘さのなめらかなこしあんがマッチ。安定したおいしさです。
つず美湯元園の「温泉まんじゅう」は、北海道産の小豆で作ったあっさりした自家製あんにしっとりした皮が魅力。
はなぶさ旅館の「ひと花」は、しっとりもちもちの皮にあっさりしたこしあん。じっくり蒸しあげた黒糖まんじゅうです。

温泉まんじゅう日本一宣言の町らしい、魅力的な温泉まんじゅうがそろっています。
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