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冷泉と鉱泉の違いがわからない! 温泉マニアでも意外と知らない温泉基礎知識

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温泉といえば、地中から湧き出す温かいお湯のことをいいますね。
じゃあ鉱泉と温泉はどこが違うか知っていますか?
鉱泉と冷泉って同じもののこと?
温泉大好きな人も、たずねられると案外答えられないものです。温泉マニアならぜひ押さえておきたい温泉基礎知識をまとめてみました。

そもそも温泉って?国によって定義が違う温泉の温度

もともと土から噴き出している水のことを「泉」と呼びます。その中でも温かい泉が「温泉」です。温泉の場合、ただの湧き水とは違って、鉱物などの成分や放射性物質、ガスなどが含まれています。成分が少ない温泉でも、温めること自体に効果があります。太古から、温泉は入浴や飲用で切り傷や打ち身、皮膚病、神経痛、うつ病など、けがや病気の治療に役立つことが経験的に知られ、人はもちろん動物にも好まれてきました。

温泉の定義が定められたのは、科学的に温泉の療養効果が検証されるようになった明治初期のこと。地下から噴出し、療養効果のある成分を含んでいる温かい水を「鉱泉」と呼ぶと定められました。また、温度が低くても温泉と同じような療養効果のある成分を含んでいるものは「温泉」に対して「冷泉」と呼ばれるようになりました。

昭和23年、温泉法が制定されて温泉の定義が「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、表1の温度又は物質を有するもの」が温泉とされるようになりました。定められている特定の物質は、水素イオン、リチウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、総鉄イオンなど19種類。そのうちのどれか1つだけでも、物質ごとに定められた基準値を上回る含有量があれば、温泉に認定されます。

温泉のもうひとつの定義が「温度」ですが、日本では25度以上が「温泉」と決められています。ちなみにアメリカでは21.1度以上、ドイツでは20度以上が温泉と定義する温度です。国によって温泉を決める温度が違うのはおもしろいですね。

冷鉱泉(冷泉)は25度未満で有効な成分を含んだ鉱水

昭和26年に制定され、平成14年までたびたび改訂されてきた「鉱泉分析法指針」では、鉱泉の定義や分類がされています。これによると鉱泉は「鉱泉とは、地中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質、もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉質が、源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いものをいう」とになっています。

温泉の定義と同様に、鉱泉にも特定の物質ごとに含有量の最低ラインが決められています。温泉と鉱泉はほとんど同じですが、鉱泉は「水蒸気やその他のガス」を含まないというのが大きな違い。温泉には砂蒸し温泉があったり、湧き出してくるガスや水蒸気を活用して料理などに使われたりするので、温泉法の定義にはガスや水蒸気を含んでいるのでしょう。

鉱泉が地上に湧出したときの温度、または採取したときの温度を泉温といいますが、この泉温によって、鉱泉は分類されています。25度未満は冷鉱泉、そして25度以上は温泉に大別されます。温泉のうち、とくに25度以上34度未満なら低温泉、34度以上42度未満は温泉、42度以上は高温泉という分類もあります。私たちが冷泉と呼んでいるのは25度以下の鉱泉、正しくは冷鉱泉になります。

豊後高田市の花いろ温泉のように、冷鉱泉の源泉掛け流しの湯もありますが、一般的には冷鉱泉は加熱されています。高温泉に入浴する場合は温度を下げる工夫や加水が必要になます。生の源泉にそのまま入れる温度、加水も加熱もされていない掛け流しの湯はとても貴重ですね。

療養泉と温泉との違いは含有成分

温泉に入ると、「療養泉」という表示があって、どんな症状に適応するか書いてあることがありますね。療養泉と温泉はどこが違うのでしょうか。
療養泉の場合、温泉の温度が25度以上、もしくは溶存物質の総量(ガス性のものを除く)が一定量以上含まれている、次の6種類の成分のうちいずれかの含有量が、それぞれに定められた基準値以上であることとされています。6種類の成分とは以下のとおりです。

・遊離二酸化炭素
・総鉄イオン
・水素イオン
・ヨウ素
・総硫黄
・ラドン

こういった規準を満たした「療養泉」は、泉質によって適応症を掲げることができます。療養泉の泉質は成分によって、掲示用に単純泉、二酸化炭素泉、塩化物泉、含よう素泉、硫酸塩泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉に分類されており、適応症もそれぞれ定められています。現在の泉質名は「ナトリウム-塩化物泉」など元素名を用いた具体的な表示が正式とされていますが、旧泉質名の「食塩泉」というほうがわかりやすいので、実際には旧泉質の表記が併用されています。

温泉に含まれている塩化物の濃度が、血液や体液の濃度よりも高い場合は高張泉、同じくらいの場合は等張泉、低い場合は低張泉という分類法もあります。
皮膚はごく細かな物質だけを通すことができる半透膜なので、浸透圧のしくみによって、濃度の濃い液体に接すると体内の水分を放出し、濃度の低い液体に接すると水分を取り入れる性質があります。そのため高張泉は皮膚から温泉の成分が体内に取り込まれやすくなりますが、脱水して湯あたりしやすくなります。低張泉の場合はさらさらとした感触の湯で、水分が多くとりこまれるので、湯あたりはしにくいですが水分で皮膚がふやけてきがちです。

湯にはPHによる分類もあり、酸性の湯は角質を落とすピーリング効果がある、アルカリ性の湯は肌の汚れを落とす効果があるといわれています。どちらも刺激が強いので、入浴中には肌をこすりすぎないこと、風呂上りには真水で洗うこと、風呂あがりに保湿することなどのケアが必要です。
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