盆栽

実生から育てて作る欅の盆栽の箒仕立

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欅は野山に自生していますが、生長が早いので街路樹や公園などの身近な場所でも活用されている樹木です。生長の早い欅は、実生から育てると盆栽の樹形も作りやすいです。特に欅の盆栽の箒仕立ては、欅の美しさを一際引き立たせてくれる樹形です。

欅の盆栽を箒仕立にする場合、実生から育てて樹形を作った方が、希望通りの樹形につくりやすいです。欅の根張りも均一になり、幹元から最初の枝にかけての立ち上がりも真っ直ぐになります。また、枝別れのバランスも良くなるので全体的に樹形が整っている美しい欅の盆栽の箒仕立をつくることができます。

欅の種まき

欅を実生から育てる場合、種の蒔き時期は春と秋です。秋蒔きは、秋に熟した実から種を取り出してすぐに蒔きます。春蒔きは、種を乾かさないように翌年の3月頃まで保存して蒔きますが、秋蒔きの方が春蒔きより発芽率が良いです。

欅の種は細長くて軽いので、種まき箱や育苗ポットの中に燻炭、バーミキュライトや鹿沼土などを混ぜて作った用土を入れて種を蒔きます。その上から残った用土を上に1センチ位かぶせます。あまり浅くかぶせると種が風邪などによって飛んで行ってしまうことがあります。種まき用の箱には種を一粒ずつ落とし、発芽用のポットには一つのポットに4粒位の種を蒔くと良いです。

種まき用の種の選別方法は、バケツなど水を入れた容器の中に浮かして沈んだ種だけを利用すると発芽率が95%から100%近くになります。また、種が落ちた直後に種まきすると自然の状態に近いので発芽率も良いです。しかしながら、いつでも発芽率は100%ではないので、少し多めに種は履いた方が確実です。

種まきの後、冬の間は種まき箱や育苗ポットの土の表面は乾きやすいので、落ち葉を上から被せたり、ビニールやわらなどを使って覆ったりして、冬の乾燥対策をしてあげると芽が出やすくなります。一度蒔いた土を乾燥させてしまうと発芽しない場合もあるので、乾燥対策はしっかりと行います。さらに年末から3月の初め頃までは霜の注意が必用となるので、防草シートをさらに上から被せると防寒対策は完璧です。また、このような防寒対策をすると土の表面が乾燥しにくくなるので、水やりも頻繁にする必要がなくなり、乾燥対策と防寒対策が同時にすることができます。

秋に蒔いた欅の種は春頃になると発芽します。発芽したら、すぐに被せてある落ち葉やビニール等は取ります。発芽している状態で混んでいるところは、間引きます。また、直射日光を避けるために半日陰のところに移しますが、寒冷紗を利用しても良いです。

発芽した欅の苗は翌年の冬頃までそのまま育て、その後鉢植え移し替えて育てていきます。

実生7年の苗で作る欅盆栽の箒仕立

実生から育てた苗は、枝が太くならないように注意して剪定を繰り返しながら育てていきます。欅の盆栽を箒仕立にする場合は、生長も異なりますが大体実生から7年位の苗木が理想です。箒仕立の剪定をする時期は12月頃から新芽が出る前の3月上旬位までです。

―理想の箒仕立の作り方
最初に作りたい理想の箒仕立の樹形を考えます。出来れば理想の樹形をスケッチしておくと良いです。そのスケッチに従って、はみ出していたり混んだりしている苗の枝を剪定します。枝を切り詰める際、切る位置は節の上です。枝が三又以上になっている場合は、二股に整理します。この剪定を続けていくと、実生の苗木が段々箒の形になってきます。この箒の形ですが、竹ぼうきなどの柄を苗木の幹に見立て、箒の掃く部分が箒仕立の「箒」の部分となります。

箒仕立の剪定は急いで終わらせようとしないで、ゆっくりと時間をかけて常に出来上がりの樹形を想像しながら剪定することがポイントです。また、一本一本の枝ぶりを確認しながら理想の樹形に近づけていきます。ゆっくりと進めていく作業ですが、知らず知らずのうちに時間の経過を忘れてしまうくらい、夢中にしてしまう作業です。

剪定をしていると気づきますが、長く飛び出した枝だけでなく不自然な枝も沢山見つかります。中には端がまっすぐに伸びていなくて瘤になっている枝もあります。これらの枝を長く伸びたり飛び出したりしている枝と一緒に切り詰めていくと、理想の箒仕立の原型が出来てきます。

しかしながら、いくら枝などを切り詰めたりしても枝が横に広がってしまっている実生の苗木は箒仕立にすることが難しいので、枝を仕立てるために針金掛けを行います。針金掛けによって横に広がった枝を上の方に上げていきます。もちろん、半径のような箒仕立が好みの場合は横に広がったままでも良いのであくまで自分の理想の樹形になるように仕立てていきます。欅は松の枝と同じように枝が柔らかいので多少強く曲げても折れにくいため、針金掛けがしやすい盆栽です。

―簡単な箒仕立の作り方
針金掛けをして、理想の箒仕立を作ることが良いですが、針金掛けが苦手な場合や盆栽初心者の場合は、実生の苗木によっては針金掛けをしなくても簡単に欅盆栽の箒仕立は作ることができます。

実生の苗を理想の樹形になるように飛び出した枝などを最初に剪定しておきます。次に、広がっている枝の部分全体を握ってひとまとめにして園芸用の麻紐などで巻き留めます。広がっている竹箒の先の部分をまとめるような感じです。その形は外のテーブルについているパラソルをつぼめたような状態です。このままの状態で一冬置いておくと、春になる頃には理想の箒仕立の樹形になります。しかしながら、この方法ができる実生の苗木は、枝ぶりが素直であまり枝数などが多くない若木だけです。そのためにも、実生から育てる苗は本数が多い方が良いです。

一見難しそうに見える欅の箒仕立ですが、初めてチャレンジする場合は、この方法が簡単です。

まとめ

欅盆栽の箒仕立のコツは、出来上がりの樹形を常にイメージしながら、樹木の持つ自然の特性に逆らわずに剪定していくことが大事です。

実生から欅の盆栽の箒仕立を作る場合は、長い年月がかかります。しかしながら、実生の苗から作る箒仕立は、出来栄えも素晴らしく見応えがあります。
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