盆栽

秋の紅葉が美しいもみじの盆栽―剪定の仕方

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秋の紅葉を楽しむ代表的な盆栽は、字の如く“紅葉(もみじ)”の盆栽です。もみじの紅葉期間はその年にもよりますが、平均的に10月の終りから11月の中頃まで楽しむことができます。もみじの盆栽は剪定の仕方次第で秋の美しい紅葉を、しかも長く楽しむことができます。秋に美しい紅葉を楽しむための剪定は春に芽かきや葉刈り、そして、秋の紅葉前と後に行います。

春に行う剪定

春に行うもみじの盆栽の剪定作業は、植替えが終わった後に行います。春に行う主な剪定作業は3月の終りのお彼岸前後の「芽かき」と6月〜8月の中頃の「葉刈り」のです。また、春の彼岸頃から7月にかけては、徒長枝が伸びる成長期なので、見つけたら切り取ります。

・「芽かき」
春になると「芽かき」の剪定作業を行います。もみじは赤い色をした新芽を出します。この新芽は3枚の葉がまとまって出てくるので、3枚の葉が開く前に真ん中の葉(芽)を指で摘んで取り、2枚残します。この新芽がすべて出揃うまでこの作業は毎日行います。もし忘れて3枚が開いてしまったら、真ん中の葉をはさみで切っても大丈夫です。

・「葉刈り」剪定作業

―目的と効果
「葉刈り」の剪定作業は、もみじの盆栽の樹、葉や枝ぶり全体で勢いの強い部分を抑えて、他の小枝、葉や根元に太陽の光りが当たり、風通しを良くするために行います。この「葉刈り」の剪定作業によって必要なもみじの葉を取ると、もみじは新しい葉を付けようとして腋芽が刺激され、新しい小枝も増え、葉も小さくなります。

また、春の新芽の頃から秋まで約半年近く柄についているもみじの葉は、例え葉が良好な状態であっても、砂ぼこりや小さなごみが葉に付いていたり葉が日焼けしていたりする場合もあるので、秋に美しい紅葉を期待することは難しいです。

しかし、この「葉刈り」の剪定作業を行った約2〜3週間後には、「二番芽」と呼ばれる新芽が出揃います。この「二番芽」は葉の大きさが揃っているだけでなく、汚れや日焼けも少なく、葉が新しいので葉肉も薄く、透過光もきれいなので、秋になると美しい紅葉を楽しませてくれます。

また、古い葉の組織は温度変化にも鈍感になっているため秋に紅葉の季節がやってきても、温度に敏感に反応しにくくなっています。しかし、葉刈りをすることで、温度に敏感に反応し紅葉しやすくなります。また、この剪定作業をしなかったもみじの盆栽より紅葉が遅いので、長く紅葉を楽しむことができます。

―剪定時期と作業手順
「葉刈り」の剪定作業は6月から8月の中頃まで行えますが、梅雨入りから梅雨明けまでの期間に行うことが理想です。春に出た新芽の芽摘みをした後、6月頃になるともみじの葉が出揃います。この時期のもみじの盆栽の上部(頂部)は下部に比べて成長の勢いが強いので、葉も大きくなり、この葉の色が濃く硬くなってきたら「葉刈り」の剪定作業をする時期です。

剪定作業の手順として、盆栽全体を見て強い枝を最初に見つけておきます。次にその枝についている大きな葉を枝に付いているところから刈り取ります。この作業によって、強い枝の力を他の小さな枝に分散させる効果もあります。注意点として、この作業をする際は弱い枝についている小さな葉は残すことが大事です。

また、「葉刈り」の剪定作業をすると樹形や枝ぶりが見えてくるので、盆栽全体のバランスを考えながら不要な枝は一節残して剪定して、美しい樹形の維持を心がけることが大事です。

せっかく成長した綺麗一番芽の葉を全て刈り取ってしまうこの「葉刈り」の剪定作業は、すこし残酷な剪定作業に思われがちですが、秋の紅葉の季節に美しいもみじの盆栽の紅葉を楽しむためには、この「葉刈り」の剪定作業は必要不可欠です。

もみじの紅葉を楽しむためには「葉刈り」だけでなく、春先から夏にかけては水やりや葉の日焼け防止の遮光ネットかけることも忘れずに行います。施肥も必要ですが、但し真夏の肥料はひかえることが大事です。

秋に行う剪定

・紅葉前に行う剪定
9月上旬頃の紅葉前に行うもみじの盆栽の剪定は、盆栽全体のバランスを見ながら、伸びた新芽の先を摘み取ります。長く伸び羽出ししている枝もこの時に切り取ります。

・紅葉が終わった後の剪定作業
紅葉が終わった後には、剪定と芽かきを行います。

もみじの盆栽の頂部(上部)あたりの葉が落ち出してきたら、剪定作業を始めます。美し紅葉を楽しませてくれたもみじの盆栽の葉が全部落ちてから剪定をすると剪定をしたところから樹液が出て樹を弱らせてしまいます。 そのため、もみじの葉が落ち始めるこの時期に剪定をはじめることが大事です。

剪定を行う際は、樹形から飛び出した枝を切ったり、不要な芽も取ったりします。また、この時期にもみじの枝の剪定をしないでいると、節から新しい枝が2本ずつ伸びて3本(鳥の足状態)になってしまうので、2本残して二股の状態に剪定します。

芽かきは、枝が伸びた先にでている芽を枝の根元から切り取ります。この際、間延びした枝からでている芽は残します。

この剪定で切った枝や樹木の切り口には融合剤を塗って、切り口の跡がのこらないようにすると、樹木も美しい状態で維持することができます。

まとめ

暑い夏が去ると、もみじの盆栽の紅葉が美しい季節がやってきます。もみじの盆栽は日頃から盆栽の管理や剪定作業を行うことで、秋には美しい紅葉が期待できます。春と秋に行うもみじの剪定によって、深まりゆく秋の季節にもみじの盆栽の美しい紅葉を鑑賞することができます。
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