盆栽

紅葉と寒樹の美しさを楽しむ楓ともみじの盆栽

関連キーワード

楓ともみじの盆栽は、秋には美しい紅葉、そして、冬には神秘的な寒樹の鑑賞を楽しむことができる雑木類の盆栽です。

楓ともみじの盆栽は春の新芽、初夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の寒樹など四季折々の美しさを見せてくれますが、なかでも紅葉と寒樹が格別に美しい盆栽です。

もみじの特徴としては、種類が多く葉の切れ込みが深く種類によっては長いです。一方、楓は葉の切れ込みがもみじに比べて浅く、蛙の手に似ています。一般的に、盆栽としての楓は唐楓(関西方面では通天)です。

楓ともみじの盆栽で美しい紅葉と寒樹の鑑賞を楽しむためには、楓ももみじの盆栽も“その時期”ならではの管理作業や手入れ作業が必要です。

美しい紅葉を楽しむためは

楓ともみじの盆栽で秋の美しい紅葉を楽しむためには、日頃の水遣りのほかに「葉水」を与え、置き場所や病害虫の注意が必要です。

・「葉水」

「葉水」(葉に水を与える作業)によって、夜間の葉の温度を下げることです。夏と同じように秋の季節にも「葉水」を与えます。その際、普通のジョウロでもよいですが、可能ならば銅製のハスロのあるジョウロの使用がおすすめです。(ハスロ‐(数百個の小さな穴があいているジョウロの先端に付いている付属品)

9月は暦の上では初秋ですが、まだまだ残暑が残り、暑いです。天候や温度にもよりますが、夕方に水遣りをする際に、葉水を行います。この葉水を夕方行うことで、葉の温度が夜間に下がり、盆栽全体の湿度が保たれ、葉の乾燥を防ぎます。残暑が残っている時期は朝夕の2回の水やりと葉水を夕方行いますが、涼しくなり鉢の土の表面が乾いてきたらたっぷりと水遣りをします。 朝の水遣りは樹木の根元にたっぷりと水を与え、夕方は根元と葉に水を与えます。

このような管理作業によって、高山に自生している樹木の紅葉条件と同じような寒暖の差がある環境を平地(盆栽を置いてある環境)で作ることができるので、楓やもみじの盆栽の美しい紅葉を期待することができます。

さらに、夏が終り初秋に入るとすでに楓やもみじの盆栽は越冬の準備を始めるので、初秋の紅葉前である9月に入ったら夏の間控えていた肥料やりも再開します。

・置き場所

9月の初めは残暑が残っているので最高気温が30度を下回るまでは、葉が夏焼をしないように西日の強いところに楓ともみじの盆栽を置くことは避けて置きます。気温が30度を下回るようになったら、日当たりのよい場所に置いて、直射日光をたっぷりと与えます。この時期に陽当たりの悪い場所に盆栽を置くと、葉の色が美しい赤や黄色に紅葉しないので、置き場所には注意が必要です。

・病害虫に注意

この季節は、カミキリ虫、毛虫や青虫などが葉につきやすいです。見つけたらピンセットなどで取って捕殺します。しかし、害虫が苦手な人は、植物用の害虫駆除剤の使用で簡単に駆除できます。

また、この時期は「うどんこ」病などが発生しやすいので「うどんこ病」が発生していた葉を見つけた場合、その葉は柄から切りとり、盆栽の樹木全体に「うどんこ病」に効果のある殺菌剤を吹きかけ、消毒をします。この処置は早いほどよいので、毎日の水遣り等の際に盆栽の変化を注意しながら観て、病害虫を見逃さないことが大事です。

美しい寒樹を楽しむためには

秋の紅葉が終わると葉が落ちて樹木の幹と枝のみになり、樹木の根張り・樹形・幹や幹の肌色合い・そして繊細で細かく分かれている小枝だけになった盆栽は「寒樹」と呼ばれています。

雑木類の盆栽である楓やもみじの盆栽は、紅葉が終り冬の寒い季節になると「寒樹」が美しい盆栽として楽しむことができます。楓やもみじの盆栽の「寒樹」は、幹や枝の曲線も美しく、早春ごろになると芽を出すため、生命力が感じられます。

冬の間、楓ともみじの盆栽の寒樹を楽しむためには、秋まで行う「芽摘み」や「枝抜き」と「針金かけ」の作業が必要です。

「枝抜き」が行える時期は落葉した時から、新しい芽がでる春までの間です。発芽前に不必要で樹形のバランスを乱す枝を見つけて取り除きます。

もみじの盆栽の「針金かけ」は、梅雨の時期に入ったら行えますが、もみじの枝は折れやすく、樹木も傷つきやすいです。そのため、経験豊富でない場合は、この作業をしない方が無難です。一方楓の盆栽の針金かけはもみじの盆栽同様に枝が折れやすいですが、その年に伸びた新梢のみ針金をかけます。針金かけは、枝が傷付かないように和紙を巻き、梅雨に入ったら行い、8月の終わりごろにはかけた針金を外します。

楓ともみじの「寒樹」には日本の「侘びや寂」の文化と相通じるものが感じられます。また、盆栽を購入する際は、この時期の「寒樹」を観て選ぶとよいです。葉が付いたり覆いかぶさったりしていないので樹形全体のバランス、幹模様や枝ぶり、そして樹木についている傷までわかるので、よい盆栽が見付けやすいです。

まとめ

楓ともみじの盆栽は、ちょっとした管理作業を行うことで紅葉と寒樹の美しさの両方を楽しむことができます。楓ともみじの盆栽は、秋の季節になると紅葉の美しさと秋の深まっていく変化の過程、そして寒い冬の季節は「寒樹」を通して、寒さの厳しい自然や風雪に耐えている姿を想像することができます。これから「紅葉」と「寒樹」のための管理や手入れ作業を始めて、夏の後に訪れる秋と冬の2つの季節に楓ともみじの盆栽の美しい紅葉と寒樹の鑑賞を楽しみ、素敵なひとときを楓ともみじの盆栽と一緒に過ごしてみませんか。
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ