進化するコスモス－宇宙への広がりと花言葉

コスモスは秋の草原に群生するキク科コスモス属の一年草です。コスモスは、日当たりと風通しがよい場所であれば、あまり土質を選ばずに旺盛に育ちます。日本各地に花の群生地を見ることが出来ます。開花時期は秋のほか6月からのものもあり夏にも花を咲かせます。

明治12年に日本に渡来した時に「秋に咲く桜のような花」として紹介されました。その後「秋桜（あきざくら）」は秋の季語としても使われ、歌のタイトルでも馴染みのある名前です。秋に群生して咲くことからそう呼ばれたという説と、花びらの形が桜に似ているからという説があります。

コロンブスのアメリカ大陸発見以後にヨーロッパに渡り、世界中に広まりました。花名「cosmos」の由来は、スペイン人がメキシコから持ち帰ったことが始まりです。

コスモスは、最初に持ち込まれた花をスペインのマドリード王立植物園に贈ったとき、園長のカバニレス神父によって名づけられました。なぜ花の名前に宇宙という意味の名前をつけたのでしょうか。

それは、ギリシャ哲学者のピタゴラスが宇宙をコスモスと呼んだのがはじまりで、数学のように秩序だった美しいもの、調和のとれている世界の全ての森羅万象をコスモスと総称するようになりました。やがて数的、美的にも秩序を保って共存している宇宙論をコスモロジーと呼ぶようになり、ルネッサンス時代には宇宙全体をマクロコスモス、人間の魂や心といった内的世界をマクロコスモスと呼ぶようになりました。

幾万もの星が規則正しく回る宇宙の美空とは、まさに秩序ある完結された美の世界を彷彿とさせます。新大陸からやってきた花の規則正しく整然と並んだ花びらや、自然と調和した花の群集は、神父の目には秩序だった美しい宇宙のように映ったのかもしれませんね。

「秩序」や「美」を表すギリシャ語の「kosmosコスモス」に由来するコスモスは、そのときに示唆した多くの意味が、そのまま花言葉になりました。全体の花言葉は「調和」です。

ピンクのコスモスの花言葉は、「乙女の純潔」「乙女の真心」「謙虚」「調和」です。

夏から秋へと季節が移る中、少女から大人へと成長していく乙女の謙虚で一途な想い、自然と調和する美しい姿がそのまま花言葉になりました。

他にも花色ごとに変わる花言葉をご紹介します。白は、「優美」「美麗」。赤は「乙女の愛情」。黄色は「野生の美しさ」。茶色は「恋の終わり」「恋の思い出」「移り変わらぬ気持ち」などがあります。

日本の育種家の努力と改良によって新しい品種がどんどんと世に送り出されています。
最近のコスモスは、秋咲きだけではなく春や夏に咲く品種も加わり、花期も6月から11月までと長く、従来の花色に加えて黄色やオレンジ、褐色や茶色など色のバリエーションも豊富になりました。

今までのコスモスにはない濃い茶系の花色、落ち着いたトーンに大人の魅力を感じます。
名前の通りチョコレート色の花を咲かせ、チョコレートのような甘い香りがするのも大きな特徴です。
春から秋にかけて広い時期に咲くタイプと、秋に一斉に花を咲かせるタイプがあります。

花径約6cmの半八重から八重咲きコスモスの混合種です。花色も豊富で、可憐な花のイメージとは対照的に丈夫で、初心者でもタネから簡単に育てられます。

同じキク科の近縁種です。コスモスより葉っぱが広く、夏にも適応できます。

デリケートで繊細なイメージのコスモスですが、野辺や道端などでも一定の環境条件が合えば野生化します。そんなコスモスは、ご家庭でも種をまいて簡単に増やすことが出来ます。今回は、鉢植えの日常管理のポイントをご紹介しましょう。

育てる環境：日当たりと水はけのよい場所を好みます。生育期間を通して、風通しのよい日向で管理しましょう。

用土：あまり土質は選びませんが、草花培養土に赤玉（小粒）をブレンドしたサラサラした水はけのよい土を使うことをおすすめします。

水やりと肥料：生育期間を通して、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。少ない肥料でもよく育ちますが、生育の様子を見ながら、緩効性化成肥料を置き肥してください。肥料の施しすぎは禁物です。

種まき：4月から9月中旬が適期です。1か所にタネを3～4粒ずつまきます。夏まきは20～30cm間隔、秋まきでは10～15cmと株間を詰めてまくとよいでしょう。晩生品種は、早まきすると背が高くなりすぎるので、8月以降にまきましょう。

管理のコツ：摘心を適宜行いましょう。5月から8月にかけて摘心を繰り返して育てると、草丈を低く仕立てることができます。
また、草丈が高くなると倒れやすいので適宜支柱を立ててください。茎をわざと倒すとわき芽が発生しますので、これを伸ばして低い位置で花を咲かせることも可能です。

寄せ植えのコツ：コスモスの苗を鉢植えにするときはジグザグに植えましょう。
他の植物と寄せ植えにするときは、茎の細めの苗を選んで植えつけると上手く行きます。自然なイメージにアレンジするとよく似合うので、テラコッタの植木鉢に植栽したりして持ち味を活かしましょう。
花瓶や器に生ける場合、まず茎から余分な葉を全部落とし、コスモスの清楚で華奢な花姿を活かすように生けましょう。一輪挿しに挿してシンプルに飾る方法もこの花の持ち味を活かす生け方です。

いかがでしたか。今回はコスモスの花の名の由来や花言葉、贈り方のアイデアまでをご紹介しました。
コスモスは一輪だと華奢で弱々しいイメージですが、花束にすることで優しい雰囲気の花束にすることができます。花束やスワッグにしても、重すぎないイメージのコスモスなら爽やかな雰囲気のアレンジができますよ。

また新種もどんどん登場し、花色も豊富なので、相手に伝えたい思いをコスモスの花言葉の力を借りて届けることもできます。主張し過ぎず押し付けがましくない花なので、相手にも重荷にならず受け取ってもらえますよ。

ペンネーム：Yoshidanz
ファームステイしたのをきっかけに農業生活にはまる。イギリスのオーガニックガーデニングを通信教育で勉強しながら、コンポースト造りと家庭菜園に挑戦。現在はニュージーランドの海沿いの丘陵地に土地を購入、ポタジェで有機野菜作りに励んでいる。