ガーデニング

万能ハーブ、エルダーフラワーの花言葉

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ヨーロッパ生まれの白く可憐な小花・エルダーフラワーは、生命力の強いハーブです。
古くからヨーロッパ各地の家庭では「庶民の薬箱」と親しまれ、特に風邪の引き始めなどに効力を発揮すると言われています。

今回は、そんなエルダーフラワーのハーブとしての効能と魅力をお伝えします。

エルダーフラワーの木

エルダーフラワーの木はヨーロッパ原産のスイカズラ科の落葉低木です。
ヨーロッパから、北アフリカ、西アジアなどに広く分布しています。別名を西洋ニワトコとも言い、日本に自生しているニワトコと区別しています。英名・Elder flowerのエルダーには年長という意味があるように、木は背丈がとても高く、大きいものだと樹高約10mの高木もあります。ヨーロッパでは庭に植えたり垣根にしたり、ごく身近な植物です。

昔は垣根からどんな病気も治す万能薬が取れると言われて重宝していました。エルダーの木は神聖で魔除けにもなると言われ、小説「ハリーポッター」の作中では、死の秘宝のひとつである最強の「ニワトコの杖」として登場しています。

一般にエルダーフラワーといえば、ヨーロッパの「セイヨウニワトコ(西洋接骨木)」を指しますが、北米には「アメリカニワトコ」、日本には本州より南に「ニワトコ」が自生しています。魔除けの効果があるとされ、お正月飾りにしたり、若葉を天ぷらにして食べたり、実を焼酎に漬けて果実酒にします。ニワトコは赤い実なのがエルダーとの違いです。

エルダーフラワーの花

エルダーフラワーは5月から6月頃にかけて白色の花を咲かせます。種類によってはピンク色などもあります。花は大きさ3mmくらいの小花で、枝先にまとまって咲きます。白い花は乾燥させてハーブやハーブティーとして利用でき、特に風邪やインフルエンザの初期症状を癒すハーブとして知られています。

また、7月頃から9月にかけて黒い実がなります。この、熟した実の部分は「エルダーベリー」と呼び、コーディアルやシロップなど飲み物としても利用できるほか、ジャムや化粧水などを作ることもできます。

エルダーフラワーの花言葉

「愛らしさ」「思いやり」「苦しみを癒す」「哀れみ」

薬効に富み、古くから「庶民の薬箱」や「万能の薬箱」などと呼ばれてきたことから、「思いやり」「苦しみを癒す」といった花言葉がつけられました。

また中世ヨーロッパでは、キリストが処された十字架はエルダーでつくったといわれ、裏切り者のユダが首をつったのもエルダーの木とされています。そのようなことから「哀れみ」という花言葉が付けられたのかもしれません。

エルダーフラワーの薬効

エルダーフラワーには、利尿、発汗、去痰、抗炎症、抗ウイルス、粘液の浄化、収れんの効果が期待できるといわれています。

特に、エルダーフラワーの花を乾燥させたハーブティーは、風邪やインフルエンザの初期症状を癒し、粘液を浄化して呼吸器の気道をきれいにして、鼻炎やカタル症状(鼻水・鼻づまりなど)の緩和にも効果を発揮します。

薬効はエルダーフラワーの花だけに留まらず、その葉、枝、根にも効果があります。ただし、種子には毒性があるので、使用を避けましょう。熟す前の青い果実も食べないでください。

1)デトックス効果:「ケルセチン」というフラボノイドや、「クロロゲン酸」というポリフェノール成分が発汗と利尿作用を促進します。あわせて腎臓の働きをよくすることで、体内に溜まった熱や毒素の排出を助け、体の中のむくみを取り除きます。

2)リラックス効果:緊張や興奮を和らげてくれます。気分の浮き沈みが激しい妊娠中の神経をなだめ落ち着けてくれます。つわりなどで寝付きが悪い妊婦さんにもおすすめです。

3)風邪の初期症状の緩和:去痰作用があるので風邪のうがい薬になります。強力な抗酸化作用を持つフラボノイドが、風邪の初期症状の喉のイガイガ、腫れなどを緩和します。またハーブティーを飲むことで、体が温まるだけでなく、溜まった粘液が流され、粘膜の炎症により起こる鼻づまりやくしゃみの抑制にも効果的ですよ。

4)花粉症やアレルギー症状を軽減:抗カタル作用があり、アレルギー症状を緩和させ、花粉症の症状を抑えます。

5)関節痛・筋肉痛の緩和:コーディアルやうがい薬(チンキ剤)としても使えます。東洋医学では木や茎の部分を用いて、リウマチや痛風などの際に起こる関節痛・筋肉痛などの痛みを止める「?風湿薬(キョフウシツヤク)」の薬を作ります。利尿効果と血液浄化作用もあり、血液や体液の循環をよくしてくれます。

エルダーフラワーの育て方

ここからはエルダーフラワーの育て方のポイントをご紹介します。とても生長が早いので、地植えにして庭のシンボルツリーにおすすめです。毎年きちんと剪定をすれば、およそ2年で立派な木に生長しますよ。

育てる環境:水はけの良い土と風通しのよい場所で育てましょう。病害虫に対して強い植物ですが、出来るだけ夏の間は涼しい環境で管理することが大切です。

用土:エルダーフラワーは土質を選びません。ほとんどの場所で育ちます。ただし、水はけのよい環境と弱アルカリ性の土壌を好むので、植え付け前に腐葉土や堆肥を施しましょう。

水やり:土の表面が乾いた時だけ、水やりをします。必要以上に水やりをすると根腐れの原因になります。地植えの場合は水やりの必要はありません。

肥料:5月から6月の花が咲き終わった後の梅雨入り前と実が生った後の9月から10月頃に行います。固形や粒の肥料が便利です。

植え付け:春なら3月〜5月、秋なら9月〜10月が適期です。生長がとても早いので、地植えが適しています。陽当たりが良く風通しの良い場所を選んで植え穴を掘り、堆肥や腐葉土をよく混ぜ込んで植え付けましょう。

増やし方:秋に実った果実から種を採取しておきます。赤玉土を入れた育苗ポットによく水洗いした種を植え付け、発芽するまで乾かないように管理しましょう。樹高が10〜15cmに生長したら、鉢か地面に植え替えて育ててください。

まとめ

いかがでしたか。今回はエルダーフラワーのハーブとしての薬効や花言葉をご紹介しました。

北欧では初夏になると庭先でとれたエルダーフラワーからコーディアルを作る家庭が多く、ラズベリーやカシスなどの果実やジンジャーやシナモンなどのスパイスと煮つめて作る伝統のレシピがあります。エルダーベリーから作るワインや、エルダーフラワーを使ったフリッター(砂糖をまぶした揚げ菓子)も有名です。

日本でもエルダーフラワーのハーブティーは市場に流通しています。
不安な時やイライラした時、暗い気持ちになった時などに、積極的に試してみてください。飲み残しのお茶はバスタブにいれてバスハーブとしても使えます。マスカットのような芳香アロマを楽しみながらリラックスできますよ。ぜひエルダーフラワーを毎日の生活に役立ててみてくださいね。

ペンネーム:Yoshidanz
ファームステイしたのをきっかけに農業生活にはまる。イギリスのオーガニックガーデニングを通信教育で勉強しながら、コンポースト造りと家庭菜園に挑戦。現在はニュージーランドの海沿いの丘陵地に土地を購入、ポタジェで有機野菜作りに励んでいる。

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