ヒヤシンス

ヒヤシンスの野生種は3種あり、現在のヒヤシンスは主にオリエンタリス種が品種改良されたものです。オリエンタリス種は、香りのよい青い花をまばらに数輪咲かせます。

ヒヤシンスは16世紀にヨーロッパに入り、18世紀以降オランダを中心に品種改良が進んで2000種以上の園芸品種が作出されましたが、現在では約50種が栽培されています。
日本には江戸時代末期に導入され、一般に広まったのは大正時代中頃以降です。
ヒヤシンスには八重咲きや大輪種などもあります。

ヒヤシンスの花は、肉厚の放射状に広がる長い葉の中心から伸ばした花茎の頂部に、花径2〜3cmのラッパ状で花冠が6つに分かれて開く花をぎっしりつけて下から順に開いていきます。

ヒヤシンスには、花が40〜100個集まって咲く華やかな、オランダで品種改良された「ダッチ系」と、花がまばらでも一株から複数花茎を伸ばして咲く背の低い、フランスで品種改良された「ローマン系」があります。
ヒヤシンスの花は香りが強く、ダッチ系の球根は土に植えると年々肥大しても子球はあまり作らず、ローマン系は子球がよく増えます。

園芸分類：球根植物、多年草
草丈・樹高：20cm程度
耐寒性：強い
耐暑性：強い（夏期休眠）
耐陰性：できるだけ日向で育てる
花色：青、紫、ピンク、白、赤、黄
開花時期：2月〜4月

出回り時期：9月〜12月（球根）、12月〜3月（芽出し苗）
植え付け・植え替え：9月〜12月
肥料：9月〜12月（元肥）、3月下旬（蕾の出始め）
開花期間：1週間程度

日当たり・置き場所：
ヒヤシンスは日当たりのよい場所で育てますが、一定の低温に当たらないと花芽をつけないので、水栽培では根が出るまで冷蔵庫内で発根させ、土で育てる場合は花が咲くまで屋外で管理しましょう。

用土：
水はけのよい軽い土が適しています。
ヒヤシンスは酸性の土壌を嫌うので、庭植えは植え付け前に苦土石灰を少量まいて酸度調整しておき、腐葉土をたっぷり混ぜ込んだ庭土を用います。
鉢植えは市販の培養土や球根用の培養土か、赤玉土小粒に半量ほど腐葉土を混ぜた土を用いましょう。
庭植えも鉢植えも、土に緩効性化成肥料を元肥として混ぜ込んでおきます。

水やり：
表面の土が乾いてきたらたっぷりと水やりします。
庭植えの場合は、根付いた後は自然の恵みだけで十分です。
水栽培は根を傷めないように気を付けながら3〜7日おきに水替えしましょう。

肥料：
元肥として緩効性化成肥料を植え付け時に施肥するほかに、蕾が出始めたら緩効性化成肥料を追肥します。

病害虫：
過湿にすると軟腐病を発症し、腐ります。土で栽培する場合は過湿に注意。

選び方：
病気や傷などのない、ずっしりとして重みがあって大きい球根を選びます。

植え付け：
ヒヤシンスは冬の低温に充てることで成長し花芽をつける性質があります。
水栽培する場合は、球根の底部が水につかる状態にして冷蔵庫で発根するまで保存します。
土に植える場合は、球根の上に球根1個分の土を乗せた状態に植えつけるのが標準ですが、球根の底部だけを土に埋めた状態でも育てられます。

植え替え・鉢替え：
芽出し苗の鉢は小さな鉢なので、根がぎゅうぎゅうになっています。
購入したらすぐに根を傷めないようにポットを外し、一回りか二回り大きな鉢に植え替えます。
水栽培に切り替える場合は、根を傷めないようにきれいに洗って根の半分くらいが水につかるような水位で育てます。

花：
花が終わったら花茎を株元で切り落とします。

収穫：
土で栽培した場合、花後、葉が枯れるまで球根を育てると、球根がしっかり太って来年の栽培に使えるようになります。掘り上げて風通しのよい場所で秋まで保存します。

冬越し：
ヒヤシンスは寒さに強いので防寒処理は不要です。
球根をやや深植えにした方が寒さにより耐えられるようになります。寒冷地では深植えにしましょう。鉢植えは軒下など雪がかからないところに置きましょう。

増やし方（株分け、挿し木、葉挿しなど）：
ダッチ系の球根を分球させるには、5〜6月に球根の底部にナイフで球根の半分程度の深さまで十字に切れ込みを入れ、球根の上下を逆さにした状態で保管する「ノッチング法」を行います。
秋には子球ができているのでそのまま植えつけます。
親球根は花を咲かせませんが、子球は2〜3年で開花する大きさになります。

監修：きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物、多肉植物、ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。