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ウツボグサの育て方

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日本でも山地などで見ることができ、古くから親しまれている「ウツボグサ」についてご紹介したいと思います。
山野に生える雑草のような植物ですが、さわやかな青紫の花を咲かせ、ハーブティとしても利用することができます。ウツボグサにはどんな特徴があるのでしょうか。
育て方や花言葉も見てみましょう。

ウツボグサの分類

■学名:
Prunella vulgaris

■科名:
シソ科

■属名:
ウツボグサ属

■別名:
空穂草、靫草、夏枯草(カコソウ、ナツカレクサ)、日本夏枯草、松傘草、虚無僧草(コムソクサ)、郭公花、セルフヒール

■原産地:
日本、アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア、北アメリカなど

ウツボグサの詳細情報

■園芸分類
多年草

■草丈・樹高
10cm〜30cm

■耐寒性
強い

■耐暑性
強い

■耐陰性
日向〜半日陰を好みます

■花色
青紫、白、ピンクなど

■開花時期
6月〜9月

ウツボグサの特徴

ウツボグサは、野山に生えるシソ科の多年草で、日本では北海道から九州まで広く分布が見られます。
茎を這わせて増えていきます。茎の断面は四角く、シソ科特有の芳香はあまり感じられません。中国の最古の医学書(250年ごろ)に、ウツボグサの別名「夏枯草」が出てくるところからも、日本のみならず世界中で古くより親しまれていたことが分かります。

■ウツボグサの花
初夏から夏につれて、5cmほどの花穂を上げて、シソ科らしい、唇型の青紫の小さな花を密集させて咲き始めます。
花穂は、上から下に向かって咲き進みます。この画像のように、花が枯れた後も、種を持ったガクが濃褐色になり花穂が残るのが特徴です。この残った花穂の部分が生薬として使用されます。

■ウツボグサの名前の由来
「靭(うつぼ)」とは、矢を入れて背負うカゴのような道具の名前で、筒状のものに毛皮を貼ったものでした。
その形に花姿が似ているところから「ウツボグサ」と名付けられました。靭(うつぼ)は靫(ゆぎ)とも言います。魚のウツボは関係がないようです。

■与謝野晶子が詠んだ『ウツボグサ』
『なつかしき 春の形見か うつぼ草 夏の花かや 紫にして』与謝野晶子
この詩歌にも、ウツボグサが登場しています。『春に咲いた(青い)花が懐かしい、夏になり、花が(枯れて)紫に変わってしまった』と読まれているように、初夏に咲いた青紫のウツボグサの花が、夏を過ぎても花穂が黒っぽく枯れて残っているところから、懐かしんでも戻らない季節の移ろいや、枯れてもなお残る花に、人間の姿をなぞらえて、愁いを詠んだのであろうと思われます。

■ウツボグサの花言葉
ウツボグサの花言葉は『優しく癒す』と『協調性』です。
「優しく癒す」は古来より生薬として人々の病気を癒してきたところから、「協調性」はガクが整然と並んだ花穂や、対生の葉っぱの様子からではないでしょうか。9月19日の誕生花にもなっています。

■ウツボグサの効能
ウツボグサは中国では古来より、花穂を天日干ししたものを生薬として使用し、日本でも利尿剤やうがい薬などに用いられていきました。西洋ではウツボグサを『セルフヒール』と呼び、ハーブティとして利用しているそうです。

■ウツボグサの種類
ウツボグサは通常、背丈30cm未満で青紫の花を咲かせますが、亜種が存在します。花色が濃く小型の「ミヤマウツボグサ」、中部以北の高山に生える「タテヤマウツボグサ」などです。ヨーロッパには「プルネラ(西洋ウツボグサ、オオバナウツボグサ)」の分布もあります。

ウツボグサの栽培環境

■日当たり・置き場所
明るい野山でやや乾燥した場所に生える植物なので、日なたか明るい半日陰を好み、風通しの良い場所で育てるとよいでしょう。

■用土
特に土質は選ばず、一般的な庭土や培養土でよく育ちます。水はけがよくなるように、腐葉土やパーライトなどを混ぜるとよいでしょう。

ウツボグサの育て方のポイント

■水やり
・地植えの場合:
植え付け後は与えますが、根付いた後は特に水やりせずとも、降雨があれば問題ありません。

・鉢植えの場合:
鉢の表面が乾いたら、鉢底から流れるくらい水を与えます。

■肥料
特に必要ありません。やるとしたら芽出し前の春と、花後の秋に、緩効性肥料の置き肥や、液肥を与えてもよいでしょう。

■病害虫
バッタの食害やハダニ、アブラムシがつくことがあります。

■植え付け
3月〜5月に定植します。

■植え替え・鉢替え
・地植えの場合:
特に必要ありません。増えすぎたら株分けを行いましょう。

・鉢植えの場合:
根詰まりしているようなら、春か秋に、株分けを兼ねて植え替えを行います。

■剪定・花後
花後も花穂が残るのが特徴ですが、種を採るつもりがなく、来期も立派な花を咲かせたければ早めにカットすることをおすすめします。

■収穫
花穂:
花穂が枯れた8月中旬頃が収穫時期です。花穂を刈り取り、天日干しして20日ほどで完成です。煎じてうがい薬にしたり、ハーブティにしたりして使用します。

■休眠期
真冬は地面にへばりつくようにして冬芽だけを残して越冬します。

■増やし方
・種まき:
寒さを経験すると発芽するので、冬を越した2月頃、種まきします。その年は咲かないようです。翌年の6月頃花茎を上げて開花します。種子が細かいので、好光性種子でしょう。覆土しないで霧吹きで水やりするか、できるだけ薄く覆土しましょう。

・株分け:
茎をツルのように伸ばして増殖しますので、大きくなったら2〜3株に分けて増やします。春先か、花後の秋が適期です。

監修:冥王堂あや
クリスマスローズ専門店「冥王堂」店長。交配、育種にも携わる。2014年「クリスマスローズの世界展」にて、新花コンテスト「特別賞」「ミヨシ賞」を受賞。
(公)日本園芸普及協会グリーンアドバイザー。

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