国立演芸場、割安で楽しめる唯一の国営施設ならではの取り組み

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古くから日本にある伝統芸能のひとつ・「落語」。
そんな伝統芸能を、ぜひとも一度は寄席で臨場感と共に楽しんでみてほしいのですが、とはいっても実際落語をどこに聴きに行けばいいのかわからない、という人は多いかもしれませんね。
そこで今回は、都内にある寄席のひとつである「国立演芸場」について、その歴史や特徴、基礎知識などを詳しく紹介していきたいと思います。

1979年に開館した国立演芸場

国立演芸場は1979年3月22日に大衆芸能を上演する会場として開館されました。所在地が日本の政治の中心地でもある東京都の永田町にあり、さらに隣には最高裁判所が軒を連ねていることから、多くの落語たちがその立地をネタにし、「お堅いところ」にある寄席として紹介してきたと言われています。

そもそも、現在東京都には「定席」と呼ばれる落語寄席が4件現存しています。
この「定席」とは1年365日、通年で落語を楽しむことができる寄席のことを指し、上野にある「鈴本演芸場」、池袋にある「池袋演芸場」、浅草にある「浅草演芸ホール」そして新宿にある「新宿末廣亭」がこれにあたります。さらに上野にある「お江戸上野広小路亭」、日本橋にある「お江戸日本橋亭」、両国にある「お江戸両国亭」新宿歌舞伎町にある「新宿永谷ホール」は不動産会社である永谷商事が運営している貸席となり、こちらでも落語が楽しめます。
例えば「お江戸上野広小路亭」と「お江戸日本橋亭」では落語芸術協会や七代目立川談志さんが立ち上げた「落語立川流」の寄席が、「お江戸両国亭」では円楽一門会の寄席が定期的に開催されており、それぞれに所属している落語家たちが高座に立つ姿を間近に見ることができるようです。

また、最近は神保町にも若手の落語家たちの寄席が楽しめる場所として「らくごカフェ」が人気を集めているようです。若者の落語ブームの中心地にもなっているようで、実際にイケメン落語家目当てに若い女性を中心に多くの女性落語ファンが足を運んでいると聞きます。

このように、東京には何軒か落語の寄席が開かれている施設が存在しています。しかしその中でも「国立演芸場」は唯一国が運営する施設であり、文化振興のために開館されたのち、平成15年には独立行政法人としての認可も受けています。

国立演芸場ならではの取り組み

国立演芸場は、広く「国立劇場」に分類される一つの施設です。国立劇場にはほかに「大劇場」「小劇場」「能楽堂」「文楽劇場」の計5つのホールがあり、それぞれで色々な催し物が開かれているようです。また、この5つのホールはすべて自主公演や舞台の機材の調整日を除く全日程で一般の方への貸し出しも行っており、主に日本の伝統芸能を披露する場として広く使用されているとか。こういった取り組みは国立ならではのことのように思えます。

さらに国立演芸場は客席が2階に設置されており、1階には演芸資料館が併設されています。こちらの演芸資料館ではその時々でさまざまなテーマの展示が開催されており、国立劇場が所蔵する書籍や写真なども多くお披露目されているようです。国立演芸場のチケットが無くても入場できるようなので、ぜひ興味がある方は一度足を運んでみてください。

知っておきたい国立演芸場の豆知識

最後に、いざ国立演芸場に行く際に知っておきたい豆知識として、上演内容の詳細について紹介していきたいと思います。

そもそも国立演芸場では、「大衆芸能」を上演する場として落語だけでなく講談や漫才、浪曲、コント、奇術、ものまねといった幅広い分野の演芸がお披露目されています。また、通常の落語寄席とは違って上席(1~10日)、中席(11~20日)のみが寄席として開催されており、21日以降においては特別公演を催しているそうです。また、夜間やほかの空いている日などは貸席となっている時もあるようです。

ちなみに特別公演としては、毎月1回開かれている「花形演芸会」や同じく毎月1回開かれている「国立名人会」などがあります。例えば「花形演芸会」は若手芸人たちの登竜門的な公演となっているほか、逆に「国立名人会」ではベテラン落語家たちがメインで高座に立っているそうです。

一方で、他の定席と同じく国立演芸場でも、「落語協会」と「落語芸術協会」とで寄席が運営されています。それぞれ上席、中席を分かち合い出演者を配給しているようですが、ほかの寄席とは違ってどちらが上席でどちらが中席と担当しているかといった具体的な日程は決まっていません。また、毎年1月と5月は中席のみの公演となっていますので、事前に公演情報を確認してから足を運んだ方が良いと思います。

ほかの定席よりも割安な国立演芸場

国立演芸場はほかの寄席とは違って、当日券、前売り券ともに指定席となっています。
また、当日券が大人2000円、前売り券が1800円と、他の定席と比べて割安な価格設定になっていることも国立演芸場の特徴のひとつのようです。
また、芸人さん一人一人の上演時間が長めに設定されているので、お目当ての芸人さんがいる方にとっては特にうれしいところだと思います。最後に、国立演芸場の詳細を下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

「国立演芸場」
住所:東京都千代田区隼町4-1
電話番号:03-3265-7411
アクセス:地下鉄半蔵門線「半蔵門駅」1番出口より徒歩5分、有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」2番・4番出口より徒歩10分

国立演芸場 伝統芸能の聖地、国立劇場付属の寄席 

国立演芸場は、東京にある定席の中で唯一国立の寄席です。皇居のお堀のそばという閑静な場所にあり、座席も比較的ゆったりしており、家族連れでもくつろいで演技を楽しめる寄席になっています。

沿革と概要

国立演芸場は、落語・講談・浪曲・漫才・コント・奇術・物まね・曲芸など、大衆芸能を上演するため、1979年3月22日に国立劇場の一部として設立された、300席の演芸場です。1階は演芸資料館、2階が演芸場となっています。

もともと芸人団体から、国立の「演芸資料館」を作って欲しいという要請で建設されたのですが、「せっかくだから演芸場も」ということで今の仕様になりました。ですから本来は演芸資料館内の演芸場ということになります。

所在地は東京都千代田区隼町4-1で、皇居の桜田濠、半蔵門の側にあり、最寄駅は地下鉄の永田町と半蔵門になります。
周辺には、最高裁判所、国立国会図書館、自民党本部、国会議事堂、英国大使館など、政治や司法、外交の中心となる建物や施設が多く、夜になるとあまり人通りがありません。レストランなどの飲食店も少ない場所になります。

そうした立地から設立当初は客の入りが非常に悪く、集客に苦労したそうです。お客さんが少ないと、職員をお客さんに仕立てたりしてなんとかしのいでいました。

入場料

国立の施設のため、他の定席より割安になっています。一般の前売り、学割や子供料金、シルバー割引などもあり、大衆演芸を幅広い年齢層に楽しんでもらうための料金設定となっています。

以前は全席自由でしたが、現在は指定席制をとっています。自由席だと、良い席を確保しようと開場前から長時間並ぶお客さんがいて、かえって負担をかけていたという理由からだそうです。

公演形態と出演時間

公演形態は上席(1日~10日)と、中席(11日~20日)のみです。下席(21日~30日)はありませんが、この期間は不定期に演芸会や独演会などが行われます。落語協会と落語芸術協会が上席と中席を交互に担当し、演者を配給しています。

出演者の構成は、落語を5本と他の演芸(講談、浪曲、漫才、奇術など)を4本、合計9本で行うことが多いそうです。大衆演芸を広く上演するという設立趣旨から、落語とその他の演芸が半々になるように組まれています。
番組は、演芸課のスタッフが構成企画し、定席の出演者に関しては他の民間の寄席との兼ね合いを考慮して、出演者を決めているそうです。
ですから、東京の芸人だけでなく、関西の芸人も定期的に出演しています。

出演者の演技時間も他の寄席よりも長めにとっています。トリは30分、中トリは25分と、ここでも大衆芸能をじっくり楽しんでもらう工夫がされています。

舞台にかかる幕、緞帳(どんちょう)は、葛飾北斎の『凱風快晴』の立派な赤富士がドーンと描かれているものと、歌川広重の『東海道五十三次?箱根湖水図』の急峻で彩り鮮やかな山と湖が描かれているものがあり、開演まで入場者の目を楽しませてくれます。

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