ちょっと厳しい日本の精進

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就職活動の為の履歴書やエントリーシートなどに、「精進努力いたします」と言った言葉が躍ることは多々あります。
採用する側もやる気がない人よりある人を選ぶのですから当然です。元の意味も「正しく努力をする」になるので、あながち間違いではありません。
ただ、日本の場合少々厳しさが増しているようです。

本来の精進

元々は六波羅蜜と呼ばれる菩薩の修行の一つでした。「一生懸命努力をします」という意味で間違いはありません。
しかし、仏教における精進とは、六波羅蜜の他項目と関係していなければならないとの暗黙の了解があります。戒律を守り、お布施をし、我慢をし、反省をし、絶対の真理を見る。
これらを懸命な努力でこなすことが本来あるべき精進なのです。

日本人は宗教でも厳しい?肉食もOKだった中国の精進料理

「日本人は働きすぎ」とよく言われてきました。他国と比べると学校などのルールも厳しいのではないかと思われる時代もあったものです。
そんな日本人は、宗教に関しても厳しい所がありました。精進と言えば精進料理が浮かぶ人もいるでしょう。大体が「野菜だけの料理。味気はない」と言ったイメージではないでしょうか。
実際肉食は動物を殺す殺生の戒律に反します。自分で殺すわけじゃないというのは詭弁です。野菜と言っても精がつくニンニクやネギなども禁止。
これは邪淫につながる為です。とは言え、日本の精進料理のベースは中国にあります。ただ中国の場合は「野菜だけでも大丈夫だよ」と言った意味合いで菜食主義が基本でした。
とはいえ「やっぱり肉や魚も食べないとね」と、完全に肉食を禁じ、断っていたわけではないのです。
本来あるべき精進料理とは、あらゆる生命への敬意を払い、その命をもらって自分の血肉とすることになります。

身を清める精進潔斎

日本では精進潔斎というものがあります。肉食や異性交遊を一切断って願掛けなどをすることです。
法事の際にも行われます。この間食べるのは野菜オンリーの精進料理です。初七日になると僧侶を招き、精進落としと呼ばれる一種の宴会を行います。昔はこれも四十九日間肉も魚もお酒も駄目というザ・ストイック行事でした。
宗派にもよりますが、今ではお通夜の後でお酒を飲みながら(飲酒も本来仏教では禁止です)皆で集まり故人を偲ぶようになっています。
昔と比べると大分緩くなったようですが、清めの意味合いは同じです。重要なのは気持ちであり、その点は変わっていません。

まとめ

他の修行と共にある精進ですが、真面目な日本人はちょっと厳しく律していたようです。
そこは国民性というものかもしれません。融通が利かないと言うよりも、力の入れる度合いや角度が他国と違ったと言うことなのでしょう。他国ももちろん真面目かつ立派に精進を続けています。
その国独自の精進料理や精進の仕方もあり、そこから国民性が見えることもあるようです。
そういった点から他者を推し量り、相手の立場に立って考えられるよう精進してみるのもいいでしょう。何かしらの心理が見えるかもしれません。
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