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「忌み枝」を覚えて剪定作業も楽々? 初心者の盆栽づくりの基礎知識「忌み枝」と「役枝」

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初心者の盆栽づくりに必要な基礎知識として、「不必要な忌み枝」と「必要な役枝」があります。

「忌み枝」は、樹形の美しさを妨げている不必要な枝を意味します。逆に、樹形の美しさを引き立たせるために必要な役割を果たしている枝は、「役枝」と呼ばれています。

初心者の盆栽づくりで「忌み枝」と「役枝」の基礎知識は大事です。特に初心者は必要な「役枝」より不必要な「忌み枝」の主な種類や特徴を最初に覚えると、不必要な枝も見つけやすくなって剪定作業もしやすくなります。

盆栽づくりに不必要な「忌み枝」

* 忌み枝とは?
「忌み枝」は、樹形のバランスや美しさの妨げとなっている不必要な枝なので盆栽の樹形づくりでは、剪定作業によってこの枝を切り落としたり、針金かけで矯正したりして樹形を整えます。

また、この「忌み枝」を放置しておくと、他の枝や幹などへの陽当たりや風通しを悪くさせて、樹木の生育の妨げてしまいます。

「忌み枝」には複数の種類がありますが初心者は、その中でも主要な種類と特徴を覚えてから剪定作業に取り掛かると、不必要な枝が見つけやすくなるので、剪定作業がしやすくなり、樹形も整えやすくなります。

* 忌み枝の種類
複数の種類がある「忌み枝」ですが初心者が初めて剪定作業をする場合、事前に覚えて置いた方が良い「忌み枝」は、「閂枝」(かんぬきえだ)、「前枝」、「逆枝」、「交差枝」からみえだ)、「平行枝」(あるいは「並行枝」)、「幹切り枝」、「立枝」、「下向き枝」、「車枝」、「片枝」の10種類です。

―「閂枝」
「閂枝」は、幹から出ている枝が左右、あるいは前後に同じ位置から一直線に出ている枝です。今日、閂がついている門や戸を使っている家庭は少ないのでイメージをすることは難しいかと思いますが「閂枝」の姿は、門や戸に付けられている「閂」(鍵の一種)に似ているところから「閂枝」と呼ばれています。この「閂枝」は楓などの樹木に出やすいです。

この「閂枝」は、「忌み枝」の種類の中で最初に剪定すべき枝です。閂枝を見つけたら必ず左右、あるいは前後から出ている枝の一方を切り取ります。この作業をしないと枝が同じ位置から左右、あるいは前後に出てしまうので、変化のない樹形になってしまいます。また、この閂枝は、剪定しないと根元に熱を発生してコブのように膨らんでしまうので、樹形の美しさを乱す要因になってしまいます。

―「前枝」
「前枝」は、字の如く盆栽の樹木の正面から「前向き」に飛び出している枝です。この枝があると、盆栽の樹形の美しさを引き立たせている幹模様や枝の繊細さが隠れてしまうので、切り取ります。

―「逆さ枝」
「逆さ枝」は、外側に伸びている枝が途中から逆方向である内側の幹の方へ戻ってしまう枝です。この「逆さ枝」は、樹形のバランスを乱すだけでなく繊細な小枝まで枯らしてしまう要因になるので、見つけたら切り詰めます。

―「交差枝」
「交差枝」は、幹から伸びた上下の枝が交差状態になっている枝です。初心者が交差枝の剪定をする場合は、不自然な形をして伸びている枝の方を切り詰めたり、針金をかけたりして調整します。

―「平行枝」
「平行枝」は、同じ側の幹の部分から上下に重なるようになって、伸び出している2本の枝です。森や原生林などに自生している樹木の中で、幹から同じような枝が平行して重なり合って伸びている枝はあまりないです。盆栽に平行枝があると樹形として変化がなくなってしまうので、自然の美しさが感じられない樹形になってしまいます。

また、同じ大きさの枝が平行して伸びていると、一方の枝の陽当たりが悪くなり雨露もかかず生育も悪くなってしまいます。そのため「平行枝」の剪定は、最初から下の枝を切り詰めるのではなく、樹形全体を見ながら上下のどちらかの平行枝を切るようにすると、初心者でも平行枝の剪定がしやすくなります。

―「幹切り枝」
「幹切り枝」は、幹を横切って伸び出している枝です。特に幹の正面と交差をしている幹切り枝は、盆栽の持っている樹形の美しさを損なわせてしまいます。この枝の剪定は、切り詰めるだけでなく針金かけをして、幹と交差しないように整姿をすることもできます。

―「立枝」
「立枝」は、幹から横に伸びている枝から垂直に上部に向かって伸び出している枝です。この枝は伸びが旺盛なので放置しておくと、樹形全体のバランを乱す要因になります。若木の樹木には「立枝」が出やすいので切り詰めますが、枝のない部分に出た場合は、針金などを使って横に誘引すると良いです。

―「下向き枝」
「下向き枝」は、幹から伸び出した枝の下の部分が下がって出ている枝です。この「下向き枝」は、比較的頻繁に出やすい枝です。また、この枝には、下向きに伸びでも途中から上向きになる枝と下向き状態の枝の2種類がありますが、どちらもそのままにしておくと風通しや日当たりが悪くなってしまうので、見つけたら切り詰めることが大事です。

―「車枝」
「車枝」は、自転車の車輪の軸のように枝が同じ幹の位置から放射状に3本以上伸び出している枝です。この「車枝」を放置しておくと、他の枝へ行き渡る養分を取ってしまうので、この車枝が出ている部分から上の幹は細くなってしまいます。

「車枝」を見つけたら、できるだけ初期のうちに1本だけ残して他は切り取ってしまうことが大事です。「車枝」は複数本出ているので初心者はどの枝を残しすべきか迷うかと思いますが、樹形全体を見ながら自分にとって一番良い樹姿になる枝を最初に一本決めると、剪定がしやすいです。

「車枝」が出やすい樹種は、若木の五葉松、赤松、黒松、えぞ松、そして皐月などです。

―「片枝」
「片枝」は、樹木の枝が幹の片側だけから連続して伸び出している枝です。海風の強い海岸近くの絶壁や標高の高い山などには、「片枝」の樹木が自生しています。

一般的に盆栽では、枝が片側だけから伸び出している樹形は、バランスも悪く安定感がないと言われています。しかし、盆栽の樹形の種類の中で「吹き流し」と呼ばれているものが、この「片枝」です。また、盆栽で「片枝」の樹形をしている樹木は、幹の部分を斜めに倒して盆栽鉢の中に土で埋め、「筏吹き」と呼ばれる樹形にも仕立てることができます。

盆栽づくりに「必要な役枝」と枝順

盆栽には、不必要な「忌み枝」とは逆に樹形の美しさを引き立たせるために必要な役割をしている「役枝」と呼ばれている枝があり、この「役枝」の出方である「枝順」も重要な役割を果たしています。

基本的に「役枝」は、樹木の根元から上部にかけて左右交互の「枝順」で出ています。幹の内部側からではなく、外側から出ている「役枝」の出方は良いとされています。さらに左右に出ている枝が上に行くに従って枝の間隔が狭くなり、短くなっている枝が良いとです。また、基本的な盆栽の枝は、出ている枝を横から見て上下に波を打っているように曲がっている枝ではなく、真上から見て左右に曲がって曲線を描いているような枝の方が良いです。

初心者の盆栽づくりでは、「忌み枝」と「役枝」の基礎知識は大事です。特に「忌み枝」は、種類も多いのですがそれぞれの特徴が分かるようになると、次第に残すべき枝と切り取るべき枝の区別ができるようになるので、剪定作業も楽しくなることでしょう。
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