ガーデニング

癒しの花木「ねむの木」の魅力にクローズアップ!

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ねむの木は、漢字で「合歓の木」とも書き、夏の夕方に、薄紅色の化粧用の刷毛(はけ)に似た形の美しい花を咲かせます。風にそよぐ姿はやさしい夢の世界へと誘うような佇まいで、ねんねの木、眠りの木とも呼ばれています。今回はそんな「ねむの木」の魅力をお伝えします。

ねむの木の基本情報

ねむの木は、日本、朝鮮半島、中国などに自生する落葉高木です。樹高があり8m~15mにも育つことや、移植の難しさ、開花まで年数がかかることなどを考えると、ご家庭の庭木としてはあまり一般的ではありません。ただし、それを補うだけの美しい繊細な花を咲かせるのが最大の魅力といえるでしょう。 ねむの木の特徴をまとめてみました。

ねむの木の基本情報

分類 ネムノキ科(マメ科)ネムノキ属の落葉樹
学名 Albizia julibrissin
園芸品種 花木、庭木
和名 ねむの木
別名 ネム、ネブ、ゴウカンボク(合歓木)
原産地 日本(東北以南)、朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤ、インド
生育環境 日向、明るい日陰でも育つ
樹高 5m-15m
開花期 6月~7月
花色 ピンク、白、薄紅色

ねむの木の名前の由来は?

夜になると左右の葉がぴたりと合わさって、閉じて垂れ下がり、まるで木が眠っているように見えることにちなんでいます。また、漢字名の合歓木(ゴウカンボク)とは、中国において夫婦円満の象徴とされていることに由来しています。

ねむの木の花

梅雨頃に、淡紅色のふわふわした刷毛のような形をした花を咲かせます。ひとつの花に見えるものは、小さな花が10~20個集まった集合体です。また、糸のように見えるのは花びらではなく、長く伸びたおしべです。花は独特でユニークな形をしており、花後に幅の広い長さ10cm~15cmの豆莢をたくさん付け、落葉後まで残ります。

ねむの木の葉

ねむの木の葉は、長さ20cm~30cm、葉の軸をはさんで左右に細長い楕円形の小葉を15~30対つけた独特の形をしています。このような葉を、二回羽状複葉(にかいうじょうふくよう)と呼び、どことなく鳥の羽を想わせる雰囲気があります。夜になると、左右の葉が合わさって閉じる就眠運動をします。

ねむの木の活動は、落葉樹の中でも春の芽吹きが非常にゆっくりです。新緑が目にまぶしい春半ばを過ぎても、まだ葉っぱがない枯れ木のような状態です。他の木々の芽吹いた後、4月下旬から5月上旬くらいになって遅れて芽を吹きます。

品種

花色がピンクの原種の他にも次のような品種があります。
白い花のシロバナネム、初夏になると葉が濃い赤紫色に変化するサマーチョコレート。そして矮性品種の一才ネム(イッサイネム)です。非常に花付きがよく、若い株のうちから開花します。鉢植えや花をできるだけ早く楽しみたい方は一才ネムを選ぶとよいでしょう。

育て方のポイント

・開花まで年数がかかる
・剪定はあまり必要ない
・植え付けの適期は4月下旬
・地植えの場合の移植は困難

育てる環境:水はけのよい日向を好みます。日向から明るい日陰まで幅広く育ちますが、日当たりがよい方が花もよく咲きます。

水やり:植えつけから2年未満の若い株は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えてください。庭植えで植えつけから2年以上経てば、特に水やりの必要はありません。

肥料:庭植えは1月ごろに寒肥として有機質肥料を株元に埋めておきます。鉢植えは3月に化成肥料を追肥してください。

病害虫
すす病:カイガラムシの排せつ物が堆積して、それに黒いすす状のカビが発生することがあります。すす病はカイガラムシを防除すれば発生しません。 カイガラムシ:カイガラムシが発生すると、樹液を吸われて樹勢が弱まります。冬に見つけたら、柔らかいヘラのようなもので?き落しましょう。梅雨時に幼虫が発生した場合は広がる前に薬剤を散布してください。

用土(鉢植え):水はけがよければ土質はあまり選びません。鉢植えの場合、市販の花木培養土に樹皮堆肥などを混ぜ込んだものを用いましょう。

植えつけ・植え替え
ともに3月中旬から4月中旬が適期です。鉢植えは根鉢を切らないように注意してください。移植はおすすめしませんが、やむを得ず植え替えする場合は、根を傷めないようていねいに掘り上げます。秋以降の移植は絶対NGです。

増やし方
タネまきと根伏せ・根ざし、または接ぎ木で増やすことができます。タネや小さい苗から育てる場合、開花するまで年数を要するのであまりおすすめしません。

タネまき:タネは長さ1cmほどの平たい楕円形をしています。花後に豆鞘ができるので、秋に熟したらタネを採取して保存しておきます。翌年3月下旬にまいて浅目に2~3mm覆土します。生長自体は早いのですが、花が咲くまでは10年ほどかかります。

根伏せ・根ざし:指の太さくらいの枝を10~15cmに切り取りとって土に伏せておきます。4月に根を掘り、長さ10~20cmに切り取って植えつけましょう。タネまき同様に開花するまでそれなりの年月を要します。

接ぎ木:適期は3月~4月です。タネから育てた木を台木にして、一才ネムの枝を切り接ぎ木しましょう。技術を要するのであまり一般的ではありません。

手入れ
ねむの木は自然に樹形が整うので、剪定は特に定期的に行う必要はありません。
枝が伸びて樹形を乱すようなときは、3~4月に混みあった部分の細かい枝を切る程度に留めましょう。必ず枝の分岐点のところで間引くようにしてください。
また、間違って太い枝を切った場合は切り口に癒合剤を塗ってください。秋以降の剪定や太い枝の剪定は、枯れ込みの原因になるのでNGです。

いかがでしたか。今回は、優美な花木・ねむの木をご紹介しました。

お伝えしたように、ねむの木は魅力ある木なのですが、開花するまで長い年数を要します。そんなに待てないけど、育ててみたい、という方には「一才ネム」をおすすめします。タネをまいてから2~3年、接ぎ木なら1~2年で花を咲かせてくれますよ。

ねむの木は剪定も手入れも特に必要としませんが、高くなる木なので、ご家庭では鉢植えで楽しむとよいかもしれません。春の芽吹きもゆっくり、もし気長に育てることが苦にならなければ、ぜひねむの木を楽しんでみてくださいね。

ペンネーム:Yoshidanz
ファームステイしたのをきっかけに農業生活にはまる。イギリスのオーガニックガーデニングを通信教育で勉強しながら、コンポースト造りと家庭菜園に挑戦。現在はニュージーランドの海沿いの丘陵地に土地を購入、ポタジェで有機野菜作りに励んでいる。

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