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ソバ粉が30%がキーワード!生麺・乾麺・即席麺の明確な違いとは

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市販蕎麦の厳格な基準

ご家庭で手軽に調理して食べられるスーパーや小売店などで売っている市販の蕎麦。沸騰したお湯に入れて茹でるだけで、もりそばでも暖かいそばでも簡単に楽しめるのが魅力です。こうした蕎麦を製造している製麺業界にも厳格な規格による蕎麦の種類の分類があります。

市販の蕎麦には、麺に含まれるソバ粉の割合や製法によって、生麺・乾麺・即席麺の3つの区分に分けられ、それぞれに異なる基準が存在しています。蕎麦粉の割合が30%を下回ることによって名称を変える必要があるものや割合の表示が必要になるもの、中には販売できないものなども出てくるようです。

まず、要冷蔵の商品がほとんどを占める「生麺」については、公正競争規約により蕎麦粉が30%以上使用されていないものは「そば」と表示できないと定められています。ただし、公正マークが付いていない商品については、この限りではありません。品質表示基準が存在しないので、公正マーク取得にこだわらなければ制約が低いのです。

「乾麺」については、JAS規格による任意の格付けの他、乾麺類の品質表示基準によって、ソバ粉が30%以上使用されていないものでも「そば」と表示できます。しかし、ソバ粉が30%以上使用されていないものはソバ粉の使用割合を表示することが義務づけられています。

最後の「即席麺」は、即席麺の品質表示基準と公正競争規約が定められ、ソバ粉が30%以上使用されていないものは「そば」としての販売ができません。また、即席麺の場合は、たとえ公正マークがついていない商品であっても、品質表示基準には従う必要があるそうです。なお、即席麺の規格にソバ粉割合の規定は存在していないので、乾麺の蕎麦商品にはソバ粉の表示義務はありません。

意外! 外食店には厳格なソバ粉の規定がない?

このように市販品の蕎麦には厳格な規定があり、ルールが定められていますが、外食の蕎麦屋の蕎麦についてはソバ粉の配合に関する制約も規定もありません。
実際のところ、各店の自己申告を信用するしかないというのが実情のようです。
老舗の蕎麦屋はプライドをもって仕事をしているので心配はないと思いますが、安価で商品を提供する立ち食い蕎麦屋では、小麦粉が8~9割でそば粉は僅か1~2割しか入っていない店がほとんどという記事が、ちょっと前に雑誌などで報じられていました。“茶色いうどん”と揶揄されることもありますが、最近では、こうした立ち食い蕎麦屋に自家製麺にこだわる店が出てきたり、注文を受けてから生麺を茹でるお店が増えてきています。

立ち食い蕎麦屋、只今おいしく進化中

原料費を抑え、コストダウンのためにソバ粉を極限まで少なくし安価な小麦粉の分量を多くしたことから、“色付きうどん”と揶揄される立ち食い蕎麦屋の蕎麦。立ち食い蕎麦は、短時間で蕎麦を提供することがセールスポイントのひとつなので、通常の蕎麦屋とは異なる調理行程で商品を提供しています。

基本的に、麺は茹で麺が主流。あらかじめ製麺所で茹で上げられた調理済みの麺を注文後に短時間で湯通しして柔らかくした上で丼に入れて、それに麺汁をかけて客に出す。お客が求める「短時間で食事を済ませたい」というニーズに対応すべく導入された最も合理的な調理法なのです。また、この方法では調理が短時間かつ簡単なため、店員の数も少なく抑えられ、コスト削減という点においても、とても効率的です。

しかし、最近では、従来に比べて麺の質感が大幅に向上した生麺や冷凍麺を導入する立ち食い蕎麦屋が増えてきています。特に、冷凍麺は賞味期限が長く、納品も週1回程度。売れ残りの心配や従業員の手間を減らすことで人件費の削減にも貢献できることから冷凍麺の導入をする店は少しずつ増えています。

さらに、従来の立ち食い蕎麦屋では少なかった蕎麦湯の提供をするお店も増えるなど、 立ち食い蕎麦屋の麺質の向上をはじめとする進化は、少しでも美味しい蕎麦を食べたい利用客にとって嬉しい進化なのです。

美味しい蕎麦の条件“三たて”

よく、蕎麦を美味しく食べる必須条件として、“三たて”という言葉を耳にします。“三たて”とは、「挽きたて・打ちたて・茹でたて」のこと。この3つの条件を満たした蕎麦が美味しい蕎麦というわけです。「挽きたて」は、ソバ粉の精製直後。「打ちたて」は、蕎麦の製麺直後。そして、「茹でたて」は、前の2つの条件を守った蕎麦を茹でたてのところをすぐに食べるということ。

蕎麦の名店では、この“三たて”が忠実に守られていることは言うまでもありませんが、前述のように最近では立ち食い蕎麦屋でも“三たて”にこだわった蕎麦の提供に努力しているお店が出てきています。某立ち食い蕎麦屋では、チェーン店であるにもかかわらず、多くの店舗でソバ粉を精製し麺を製造。出来上がった蕎麦は、客の注文を受ける都度に茹で、蕎麦湯も提供するというこだわりを見せています。こうした立ち食い蕎麦屋が、どんどん増えていって欲しいものですね。
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