世界遺産

独自の進化を遂げた動物たちの楽園、ガラパゴス諸島

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ガラパゴス諸島は太平洋の東、エクアドル領にある赤道直下の島々です。
エクアドル本土より900キロメートル離れた沖合にあり、大小多くの島と岩礁からなります。
ガラパゴス諸島は500-1000万年前の火山活動でできたと考えられており、現在も火山活動が続いています。
名前の付いている島が123島あり、主要な島は13の大きな島と6つの小さな島となっています。
この島々一帯に位置するナスカプレートは年間数センチメートルずつ南東に移動しています。
世界的にも非常に貴重な固有種の宝庫であり、1978年に世界遺産(自然遺産)の第1号として登録されました。
2001年には登録範囲を拡大し、ガラパゴス海洋保護区も含めた登録となりました。

ガラパゴス諸島の動物たち

ガラパゴス諸島は大陸と陸続きになった歴史がない海洋島であり、在来の生物は飛来したか海を渡って漂着したものの子孫に限られています。
非常に多くの固有種が生息していることで知られており、生物学的にも貴重な島となっています。
ガラパゴス諸島の名の由来となったのは大型のリクガメであるガラパゴスリクガメ(スペイン語でガラパゴ)です。
ガラパゴスゾウガメは島ごとに多くの亜種に分かれており、甲羅がドーム型のものから鞍型のものなど個体差が激しいのが特徴となっています。
また、ガラパゴスリクイグアナとウミイグアナが生息していることでも有名です。
元は同じ祖先をもつこの2種のイグアナですが、ガラパゴスリクイグアナは陸の上でウチワサボテンの花や果実を食べるために進化していきました。
食用のための乱獲や人為的に移入されたイヌやネコによる捕食、主食となるウチワサボテンが移入されたヤギによって食べられることによって絶滅が心配されています。
その一方でウミイグアナは海岸に生息し、海藻を食べるように進化していきました。
長く鋭い爪がこのイグアナの特徴となっており、海底の岩に長い爪を引っ掛けて体を固定させることによって速い海流の場所でも海藻を食べることができるように進化しました。
近年になってガラパゴスリクイグアナとウミイグアナの共存関係が崩れ出し、両種の交雑によって生まれたとされる個体も確認されています。
ガラパゴスペンギンもガラパゴス諸島固有種のペンギンです。
ペンギンというと通常は南極のような南半球の寒冷な地域に生息していますが、ガラパゴスペンギンは赤道直下の熱帯地域に生息する唯一のペンギンです。
南アメリカ西岸を流れるフンボルト海流からやってくる魚類を餌にしていますが、近年はエルニーニョ現象によって餌が減り、個体数が現象しました。
多様な固有種が生息するガラパゴス諸島ですが、チャールズ・ダーウィンがこのガラパゴス諸島で進化論の着想を得たのは有名です。
彼はゾウガメやイグアナなどの動物が同じ種でも島ごとに異なった特徴を持っていることに注目しました。
フィンチという小鳥は島ごとにくちばしの長さや太さが違うことから、「共通の祖先を持っていても環境によって独特の進化を遂げる」という進化論の着想を得ることになりました。

ガラパゴス諸島を観光するには

ガラパゴス諸島は飛行機でエクアドルの首都キトから約3時間、エクアドル最大の都市グアヤキルから1時間半ほどかかります。
空港があるのはバルトラ島です。
バルトラ島へのフライトは毎日運行されていますが、非常に人気の高い路線ですので早めに予約するのが望ましいでしょう。
ガラパゴス諸島に上陸する際には入園料100ドルとツーリストカード代10ドルがかかります。
ガラパゴス観光の拠点となる街はサンタクルス島にあるプエルト・アヨラという町であり、この町は観光客のためのホテルやレストランが数多くあります。
ほとんどの人がガラパゴスに対して抱くイメージとは異なる賑わった町となっています。
サンタクルス島とサンクリストバル島以外の島はナチュラリストと一緒でなければ上陸できないため、ツアーに参加しなければなりません。
動物を見る、クルーズで島を巡るなど目的に合わせてツアーを選ぶのがよろしいでしょう。
島へ上陸後はガイドの誘導で観光を行いますが、その際にルールがあります。
遊歩道を外れて歩かない、写真を撮るときフラッシュをたかない、動物に2m以上近づかない、島にあるものは全て持ち帰らない、などがルールとなっていますのでご注意ください。

ガラパゴス諸島が抱える問題

ガラパゴス諸島は人間が上陸して以来、環境が激変しました。
密漁や乱獲は繰り返され、ブタ、ロバ、ヤギなどの移入された家畜やイヌ、ネコなどの外来種が島の生態系を破壊したのです。
ガラパゴス諸島は観光客の増加とともに環境破壊が深刻となりました。
この問題の有効な対策が講じられていないとういうことで、2007年に危機遺産リストに登録されました。
2010年には危機遺産リストから脱することはできましたが、それはエクアドル当局が提出した移住制限や太陽光発電などの環境保全計画が評価されただけで、根本的な解決には至っていません。
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