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万年青を育てて楽しむ。和風に限らない万年青の楽しみ。

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万年青(おもと)は、日本や中国が原産地で、縁起のいい植物として古くから親しまれています。引っ越し祝いに送る「引っ越しおもと」や、お正月の飾りとしてもよく使われていましたが、和風のイメージが強く、栽培も難しそうに見えるために、初心者には敬遠されがちです。しかし、万年青は名前の通り緑が耐えない、丈夫でむしろ世話のいらない植物のため、初心者でも取り入れやすい植物です。
万年青の育て方・日常管理の方法と合わせて万年青の魅力をご紹介します。

家康公が江戸城入場の際に持ち込んだ

引っ越しの時に真っ先に万年青を運び込むと縁起がいいといわれて、「引っ越し万年青」として引っ越しのお祝いに贈る習慣ができたきっかけは、家康公が江戸城入城の際に家臣から贈られた3本の万年青を持ち込んだことで、永く栄華が続いたことからもこれにあやかろうとはじまったといわれています。

万年青は冬も変わらず常緑のため、昔から縁起がいい植物とされ、長寿の祝いとしても重宝されています。中にはクリーム色の花を咲かせて実をつける品種もあり、万年青の赤い実は金運UPや子孫繁栄を象徴しているともいわれています。

万年青を鬼門(北東)に置くと「鬼門封じ」になって悪い気が鬼門から入り込むのを防ぐことができるともいわれています。

万年青は葉色や葉姿とその変化の「葉芸」が魅力

万年青は江戸時代には盛んに品種改良され、品種は1000種を超えているといわれています。品種によって葉色や柄、葉の形などがバラエティに富んでいるだけでなく、育てていくうちに葉姿や葉色や柄も変化していくので「万年青の葉芸」と呼んで、バリエーションと変化の過程を楽しみます。葉の広がり方、葉の伸び方やウェーブやカーブの仕方、斑入りのバランスなど、同じ万年青とは思えない種類の多さに驚かされます。

幼苗の万年青はまだその品種本来の葉芸を見せていませんが、数年育てて株を充実させていくうちに葉芸が変化していき、本来の葉芸「本芸」を見せるようになります。本芸の美しさもさることながら、年々姿が変わっていく、いわば「大人になっていく過程」を見るのも楽しみの一つになります。

万年青を「おもと鉢」以外の鉢で栽培してみて

万年青はこれまで、足がついた楽焼の「おもと鉢」に植えられているのが一般的で、鉢の美しさと万年青の美しさのバランスを考えるのも楽しみ方の一つでした。足がついていないと育てにくいのでは?と思いがちですが、鉢から流れ出た水をためないように気をつければ足がなくても万年青を育てるのには問題はありません。

和風すぎる鉢の柄が洋風の家には合わないとき、洋と和のバランスを楽しみたいとき、テラコッタ鉢なども含めた、通常のおもと鉢以外の鉢に植え替えてみるなどのアレンジも、また違った万年青の楽しみ方になります。

万年青は戸外の半日陰か明るい室内で

万年青は本来、低い山の斜面の腐葉土の中で根を伸ばし、木漏れ日の中で群生しています。万年青が耐えられるのは土が凍らない-5℃までなので、寒さが強くなるころは明るい室内で栽培して、それ以外時期は風通しの良い屋外の半日陰で育てるようにしましょう。通年室内栽培していると間延びする「徒長」をしやすくなってしまいます。

万年青は高温多湿に弱いので、真夏は遮光をするのが一般的ですが、遮光率を整えるのは意外に難しいので、夏場の暑い時期は秋になって涼しくなってくるまで明るい室内栽培に切り替えておく方が管理もしやすくなります。

高温多湿に弱い万年青は水も肥料も控えめに

万年青は高温多湿に弱いのですが、乾燥にも弱いので、湿りすぎと同時に、乾きすぎにも注意が必要です。土の表面にミズゴケを置いて、乾燥を防ぐことがよく行われています。特に、春と秋は万年青の成長期なので乾燥するとダイレクトにダメージが出てしまいます。

万年青の水やりは朝が基本です。昼間水やりすると根が傷んでしまうので、必ず朝気温が高くなる前に水やりしましょう。通常は土の表面が乾いてきたら底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりした後水切りをしておきますが、乾きすぎたと思うときは、水を入れたバケツにしばらく鉢をつけておいて鉢の中全体にたっぷりと水がいきわたるようにした後、よく水切りしておきます。

真冬、万年青は休眠状態になっているため根があまり水を吸わないので、水やり頻度は控えめにして、水は表面の土がしっかりと乾いてからにします。ただし、あくまで水やり頻度を控えるのであて、1回の水の量は控えめにしません。

万年青肥料をそれほど必要としない植物なので肥料は通年控えめにし、冬期は特に必要としないので特に施肥しないようにします。春と秋に規定量より薄い液体肥料を月1回程度水の代わりに与えて施肥する程度で十分です。緩効性化成肥料を使う場合は春と秋に一つかみ株もとに置くようにします。

植え替えは春か秋に1~2年ごとに

万年青は鉢底に大きめの鉢底石を1~2cm敷き詰めた上に、中~小粒程度の軽石や川砂利、鹿沼土などの水はけのよい土を入れて育てます。水はけのよい多肥ではない土を好むので、すべて軽石にしても問題なく育ちます。土の上にミズゴケを置いておくと乾燥のし過ぎが防げ、ミズゴケの色から乾燥度合いを見ることもできるので水管理がしやすくなります。

根を傷めないようにそっと鉢を外した後、株元は水で洗っても構いませんが、根は水につけずにハケや筆でごみや土を落としてから鉢の中に根が広がるようにセッティングして、株元までグラグラしないように植えつけた後、水をたっぷりあげて植え替えをします。

植え替えた後は、多湿より乾燥の方がよりダメージが強く出るので、株元がしっかりと根付いてグラグラしなくなるまで通常より多い頻度で水やりしておきます。

鉢が大きすぎると多湿になりやすく、小さすぎると根詰まりしやすくなるので、広げた根に軽く余裕ができる程度の深さと広さのある鉢に植えるようにしましょう。万年青の生育期は春と秋なので、生育期に植え替えをするようにします。

万年青の株分けは子株の根が3本以上出てから

植え替えを行うときに、横から出ている子株を株分けして万年青を増やすことができますが、この時子株に根が3本以上あるのを確認してからにしましょう。あまり育っていない子株を切り離すとうまく育たないことがあります。

専用の工具がありますが、ない場合はカッターナイフなどで軽く切れ目を入れてから、そっと親株と子株を手で切り分けます。切り口には草木灰を根腐れ防止につけるようにするのが一般的ですが、切り口が乾くまで数時間おいてから植えつけることもできます。親株の一部をえぐるようにとると子株の育ち具合がよくなるといいますが、慣れないと両方枯れてしまうこともあるので、注意が必要です。

万年青が枯れる?原因と対処法は?

万年青(おもと)」は緑の葉っぱが美しくてきれいですが、「万年青」が枯れるときにはどうしたらいいのでしょうか。原因と対処法についてご紹介します。

万年青が枯れる原因とは?

万年青」は日本や中国が原産で育てやすい植物です。その名の通り、年中緑の葉を付けるのが美しくて魅力的ですが、その葉が枯れてきた際にはどうしたらいいのでしょうか。困ってしまいますよね。
ユリ科オモト属となる「万年青」ですが、乾燥に強く、過湿や直射日光には弱いのが特徴です。そのため「万年青」が枯れる原因としては水遣りが多すぎて根腐れのことが多くあります。全体的に葉が黄色くなってきて枯れてきたといった場合には根詰まりより根腐れをまず疑うことがおすすめです。

根腐れの対処法は?

万年青」が根腐れの場合にはまだ根がなんとか元気ならば復活させることができる可能性もあります。水はけのいい土に植え替えてみましょう。
山砂や桐生砂などを少し盛ったような状態に高くして植えるのがコツです。根の枯れた部分はすべて切り取ってから殺菌剤で洗って植えるとよりおすすめとなります。
万年青」を育てるにあたっては水はけのいい土に植え、過湿にならないように育てるのが一番いい環境と言えます。
また、過湿にならないようにするには土や水遣りだけでなく鉢のサイズも重要となります。「万年青」に対して鉢が大きすぎると余分にたくさんの水を遣ってしまうために過湿になりがちです。土も多いために水も蒸発しにくくなってしまいます。
万年青」の大きさとのバランスを考えて鉢のサイズ選びをすることが大切で、「万年青」の根が鉢の内側に触れる位の小さめサイズがいいと言えます。

梅雨の時期に下葉が枯れてきたら

また、6月などの梅雨の時期によく「万年青」の下の葉が枯れてくることがあります。これは生理現象で根が発根することから下葉をつきやぶって根が出てきたりするためです。そのために下葉を枯らしたりします。
また、高温多湿の梅雨時には下葉が枯れやすくなります。下葉は黄色くなって自然に落ちていったりすることもあり、3年目の葉は関東より西の地方では暑いために自然に落ちたりします。
自然に取れない場合は枯れた葉を取り除いてあげることが必要です。

あまり日光に当てたために枯れることも

また、「万年青」は、日光に当てすぎたために枯れることがあります。「万年青」は元々、木漏れ日の下のようなところに群生しています。積極的に日に当てる必要がないものですので日光に当てすぎないように注意しましょう。
直射日光も避けるのがおすすめで、直射日光を和らげる工夫も時には必要です。午前中に3時間ほど日が当たる位がちょうどいいとされ、午後にはあまり日に当てない位でも良さそうです。特に西日は良くないと言われています。
ただ、ずっと室内というのも「万年青」にとってはあまり良くなく、今度は日光不足になってしまいます。斑が入っている「万年青」などはあまり日陰だと斑が入らなくなってしまう可能性があり注意しましょう。半日陰程度が一番いいとされています。

寒さのために葉が痛むことも!葉の病気も

寒さに強い「万年青」ではマイナス5度位までは戸外で大丈夫ですが、土が凍るようになったり、冷たい風がよく吹いたりするような場所ではさすがに葉が痛んでしまいます。
できれば鉢であれば北風が当たらないような所に移動させたり室内に移してあげたりしましょう。
また、葉の先に水がたまることで葉先が枯れて「万年青」が病気になることがあります。
葉の先にたまった水に雑菌が繁殖して枯れるようになります。
そんな葉の雑菌を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。対処法としては葉にたまった水は、筆などで吸い取ってあげるようにお世話をしてあげることが必要です。意外と水にデリケートな「万年青」の葉っぱと言えます。
他にも「万年青」がかかりやすい病気としては駆除がやっかいなカイガラムシが付いたり、「芋腐れ病」にかかったりします。カイガラムシは見つけたら歯ブラシなどで地道にこそぎ取るのが対処法です。「芋腐れ病」は「万年青」の根が腐る病気で根をとにかく傷つけないことが大切です。

枯れる原因は水遣りや植えている場所を確認して

いかがでしょうか。「万年青」が枯れる原因としては水の遣りすぎや梅雨の時期の高温多湿の下葉の枯れなどがあります。また、日光に当てすぎや寒さのために葉が痛むこともあります。時には根などの病気に気を付けることも必要です。

まず、水の遣りすぎを疑って、その他の条件もどうなのかを考えて原因を分析してみましょう。植える場所はそこでいいのかをしっかり確認してみませんか。「万年青」の下葉の様子などもよく日ごろから観察しておくことも必要です。

とても種類も多く葉が美しい「万年青」です。枯れないように「万年青」の好きな環境を準備してあげながら葉の美しさを保って大きく育てていきたいものですね。

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