盆栽

初心者に役立つ盆栽の水やりと施肥の基礎知識

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「水やり」と「施肥」についての基礎知識は、初心者が生育の良い盆栽を育てるために役立ちます。
また、「水やり」と「施肥」は、簡単な作業に思われますが、それぞれポイントがあるので、これら2の作業の基礎知識を覚えておくことが大事です。

上手な水やりの仕方

初心者が上手に水やりを盆栽にするためには水やりの目的を理解して、樹種に適した水のかけ方、上手な水のかけ方、時間に制約のある人の水やりの仕方、そして葉水の必要性など、5つの大事なポイントがあります。

* 水やりの目的
水やりをする最大の目的は、鉢の中だけで水を補給している樹に水を補うことにより、水不足を防いであげるためです。

また、水やりの目的は、鉢の土を湿らせるだけでなく根の生育を良くすることです。水やりによって鉢の中に溜まっている古い空気が押し出され、新しい空気が水と一緒に鉢の中に入って根が新しい空気を摂取できるようになるので、樹の生育が良くなります。

* 樹種に適した水やり
樹種には、水を好むものと比較的水を好まないもの、若木か老木、浅鉢か深鉢、鉢の大小、天候、季節、用土の種類、置き場所など、それぞれの樹種の状態や環境などによって水やりの仕方は異なります。

そのためそれぞれの樹種に適した水やりの仕方を覚えてすることが、良い盆栽をそだてるための近道です。

* 水のかけ方
水のかけ方として、一回の水やりで一度に水を鉢にかけてしまうことも良いですが、土の表面だけに水がかかっても鉢の中まで水が届かなかったり、逆には水抜けが悪かったりしている盆栽もあります。水かけをする際は、一度に水を与えるのではなく、2~3回位に区切って与えると、最初に水をかけた鉢に水が鉢底まで滲みわたっているかどうか確認することができます。

また、鉢の土の表面が乾燥してから水を与えるのではなく、少し湿っている状態の時に鉢の底穴から水が流れ出るくらい与えることが大事です。例え、鉢の土の表面が湿っていても鉢の中は乾燥している場合もあります。

生育の良い盆栽を育てるためには、「水加減」を覚えることも大事です。初心者は、土が少しでも乾くと盆栽が枯れてしまうのではないかと不安になり水やりの回数を増やしてしまことがあるので、樹木が根腐れを起こして枯れてしまったりすることがあります。

さらに盆栽鉢の形は四角や丸、長方形や正方形など色々あります。水やりをする際、鉢の手前だけに水やりをすると根元まで水が行き渡らないので、枯れてしまうことがあります。そのため水やりをする際は、鉢の形に合わせて土の表面全体に水が行き渡るように水やりをします。

* 葉水の役割
葉水は、空気やほこりなどによって汚れた葉の気孔を綺麗にしてくれるので、光合成の活動が活発になり、樹の生育が良くなります。また、夏の暑い時期や植え替え直後の葉水は、葉から蒸発した水分を補ってくれるので、樹の生育を良くするためには必要な作業です。

* 時間に制約がある人の水やり
時間に余裕のある人は、毎日理想的な水やりをすることができますが、仕事などにより時間に制約のある人は、思うように水やりをすることが出来ないので、盆栽づくりを諦めている人も多いのではないでしょうか。

しかし、樹はとても強い生命力を持っているので、仕事の出勤前と帰宅後にたっぷりと水やりをすると、そのペースに順応してくれます。また、ある程度のペースを保ちながら水やりを行うと、盆栽の生育も良くなり、枯れることも少ないです。

また、時間に制約のある初心者が盆栽づくりを楽しみながら行えるようになると、水やりも生活習慣の一部になってしまうので、たとえ時間に制約があっても限られた時間を効率よく使った水やりの仕方を見つけて、楽しみながら行えるようになります。

水やりの注意点

初心者が上手に水やりをするためには、4つの注意点があります。

一つ目の注意点として、盆栽に与えていけない水があるので、最初に覚えることです。通常、盆栽には、綺麗な井戸水や水道水を与えますが、汚水や塩分を多く含んだ水、金属や鉄分が含まれている金気が強い水や熱湯などは、樹に与えてはいけない水です。

二つ目は、水の温度です。出来るだけ気温に近い温度の水が、盆栽には良いです。夏の井戸水は水温が低いので、一度汲み置きをした水を与えると良いです。逆に、井戸水を冬に汲み置きすると水温が下がってしまうので、避けます。

三つ目は、水やりの時間です。夏は日中になると暑くなってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に水やりをします。逆に冬の時期は朝夕が寒いので、日中の暖かい時間帯に行います。また、特に寒い日は、水が凍らないように注意が必要です。

四つ目は、雨水に注意することです。にわか雨や夕立などがあった日の水やりは、必要ないと思われてしまいますが、雨の降り方によっては、鉢の表面の土だけ湿って鉢の中まで雨水が滲みこんでいない場合もあるので、確認することが大事です。

生育をよくするための施肥

盆栽だけでなく植物や野菜などを育てる場合、肥料が必要なことは誰でも知っています。初心者の盆栽作りで「施肥」は、「水やり」と同じように盆樹を良くするために必要な作業です。

しかし、施肥をする目的、施肥の種類や仕方を正しく理解していないと、樹を枯らしてしまうことがあるので、施肥についての基本知識を覚えることは、良い盆栽を育てるために必要です。

* 施肥をする目的
盆栽に施肥をする主な目的は、盆栽の生育を良くしたり、理想の樹形づくりしたりするために樹に合った施肥のやり方で肥料の量を調整し、適期に与えることです。

盆栽は、どの樹も同じように施肥をするのではなく、若木や老木の場合、あるいは幹を太らせるたり葉を大きくしたい場合など、個々の状態や目的に合わせて肥料を調整する必要があります。

例えば、若木は生長するために老木より肥料を多めに与えても良いですが、老木に同じように与えると樹の生育が良くなり樹格が下がってしまうので、老木が持っている侘びや寂の風情が失われてしまいます。

* 3つの栄養素が必要な盆栽の肥料
生育の良い盆栽を育てるためには、加里、窒素、燐酸の3つの栄養素が必要です。盆栽の肥料には、これらの3要素が全て含まれているものや単独のものがあります。

窒素は、葉や枝の成長促進に必要な栄養素なので、「葉肥」とも呼ばれています。燐酸は、根や毛根の発根や花や実付けを良くしてくれる栄養素なので、花物や実物盆栽には適しています。加里は、根や茎の生育をよくしてくれる効果があります。

* 樹の状態にあった施肥の仕方
盆栽は元気で生育が良いことも大事ですが、枯淡や侘び・寂などを伴った美しさが盆樹にあることも大事です。そのため美しい樹形に仕立てるためには、それぞれの樹の状態や目的に合った肥料や栄養分を選んで、適時に適量を与えることがポイントです。

「水やり」と「施肥」の基礎知識は、初心者が生育の良い盆栽を育てるためには、大いに役立ちます。最初の頃は水やりの量や回数が多かったり少なかったり、あるいは強く掛け過ぎたりしてしまうこともあるかと思います。また、施肥を行う時期や量を間違えたりしてしまうこともあるかと思います。しかし、樹の状態を見ながら焦らずゆっくり水やりと施肥を行っていると、これら2つの作業が段々上手に出来るようになります。
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