刺繍

刺繍でこんなことも!立体的な刺繍のやり方

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デザインに沿って縫うだけではありません。布の上に広がる立体的な色の糸の世界は見るだけでもため息が出ます。時には布の縫い目までも細やかに使ったり、糸の太さを変えたり、重ねたり…。ふっくらとした肌触りは刺繍の最大の魅力ともいえるでしょう。

今回は思い立ったらすぐできる、意外にも簡単な立体的な刺繍をご紹介します。

1.チェーンステッチ

割とよく見かけ、学校で習った記憶のある方も多いのではないでしょうか。鎖が連なるような見た目のように、一つ前の糸に引っ掛けながら針を刺していく技法です。シンプルながら立体感が出やすく、細かい糸の流れは思わず見入ってしまいます。
そんなチェーンステッチにもいろいろな方法があります。

【ジグザグチェーンステッチ】
針を刺す位置を上下にずらして全体をジグザグにするデザインです。ジグザグの形をそのまま活かしたい、ラインを表現するときに使いやすいですね。

【シングルチェーンステッチ/レゼーデイジーステッチ】
花びらなどの表現によく使われます。輪の部分を糸で留めて、一つ一つ独立した形になります。輪の部分を残しながら、針を同じ穴に刺し戻し、作りたい大きさの部分で輪を固定します。シンプルながら、輪の緊張度によって表情が全く違うものになるので、使用シーンが高いのも特徴です。

【フェザーチェーンステッチ】
名の通り、羽が連なるような形をしています。葉のようにも見えますので、プランツのデザインとしても多く見られます。このままの形でも存在感があります。

【オープンチェーンステッチ】
基本のチェーンステッチは、同じ穴に針を通して輪を作りますが、オープンチェーンステッチは輪を閉じずに前の糸に引っ掛けてラインを作っていきます。一般的なチェーンステッチよりもワイドなラインに仕上がります。

2.フレンチノット

糸の本数で大きさや雰囲気ががらりと変わるフレンチノット。グラデーションや色を変えたり、隙間を丁寧に埋めたり、一度ハマるとやめられない技法です。時間を忘れて淡々と針が進みます。

3色しか使っていないのに、このグラデーションが表現できるのは、この技法ならではと言えます。波打ち際の砂浜にも見え、色を変えれば三日月も表現できそうです。簡単ながら辛抱強く針をすすめます。

こちらは布一面に等間隔に大き目のフレンチノットを施しています。ランダムに色を変えたり、布とのカラートーンを合わせたり…とアレンジ次第でアイテムの表情が大きく変わります。

3.ウェブステッチ

縦と横の糸を上下に編み込みながら作るステッチ。方法によっては細かく繊細なものから、大胆に編み込んでいくものまであります。糸の走らせ方で表現の幅が広がる面白い技法です。

【スパイダーウェブローズステッチ】
中心部分はフレンチノット。花びらの部分はスパイダーウェブローズステッチを施して、繊細な花びらが良く表現されています。この技法でリボンなど少しワイドで厚みのあるものを厚紙などに施すこともできます。

4.ヘリンボーンステッチ

糸の端を重ねていくシンプルな刺繍です。ニシン(herring)を開いたときの骨(bone)の形状に似ているところからヘリボーンと呼ばれています。
重なる糸の部分にランニングステッチを施したり、ヘリボーンステッチを重ねて仕上げたりと幅広く活用されています。
【ヘリボーンラダー】
二列のバックステッチ(もしくはランニングステッチ)にへリボーンステッチのように針を走らせます。バックステッチの更に上に糸が乗るので、より立体感が増します。繊細な糸の重なりからハンカチなどのラインとして使われ、存在感のある技法です。

5.ブランケットステッチ

ブランケットのように厚めの素材の端を強化するために施すもののことです。種類は多く、強化の枠を超えて修飾に特化しているのも特徴です。
布端に施される技法らしく、美しくストレートなラインが表現できます。真っ直ぐなラインとして表現されることが多いですが、列を重ねて施すことで布全体に装飾を施すことも出来ます。ハチの巣のようなデザインの「ブランケットステッチハニーコム」。一列目に二列目の糸をひっかけて6角形を作っていきます。手触りは気持ち良く、見た目もハチの巣そのものです。

6.シーフステッチ

シーフ(Sheaf)というのは「束」という意味で、縦に三本走らせた糸を、一本の横糸で束にするシンプルな技法です。基本的には3本ですが、縦の糸の数を増やしたり、縦の糸の長さを変えたりといったアレンジ方法も数多く見られます。
横にするとリボンのようにも見え小さいながら可愛らしい刺繍です。等間隔に並べたり、ランダムに散らしても見栄えします。

いかがでしたでしょうか?
刺繍にはたくさんの技法があり、国によっても呼び名が違ったりしてとても奥深いです。それだけに無限に楽しめる魅力がたくさん詰まっています。今回ご紹介したのはほんの一部です。大きな作品にいきなり挑戦せずとも、一つ一つの技法を単純に並べるだけでも綺麗に仕上がります。ぷっくりとした糸の立体感を楽しんでみてください。
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