ガーデニング

スイセンの日本三大群生地にスイセンを見に行こう

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春の到来を告げる花として古くから親しまれてきたスイセンは、秋に球根を植える秋植え球根として、ガーデニングでもメジャーな植物です。

日本各地の沿岸線に「水仙郷」と呼ばれる野生化しているスイセンの自生地がいくつも見られます。
古くから日本で野生化しているために、日本古来の自生種だと思いがちですが、スイセンは地中海沿岸部が原産地です。
スイセンは室町時代以前にシルクロードを通って中国経由で渡来したといわれています。

スイセンの品種や性質、花について詳しく検証するとともに、スイセンの日本三大群生地についてもご紹介していきましょう。

スイセンは植えっぱなしでも育てられる丈夫な植物

スイセンの原種は、イベリア半島を中心に、イギリス・ヨーロッパ・北アフリカなど地中海沿岸地方に約30種が自生しています。
スイセンは系統によって開花時期が異なり、早咲きのものは11月中旬ごろから、遅咲きのものは4月ごろまで開花します。

イギリスでは古くからスイセンの品種改良が盛んにおこなわれていて、英国王立園芸協会(RHS)には1万種以上のスイセンの品種が登録されています。

日本で古くから親しまれているスイセンの野生種

日本で古くから親しまれているスイセンの野生種は、ニホンズイセン・フサザキスイセン・クチベニズイセン・ラッパズイセン・黄水仙(キズイセン)の5種類が挙げられます。

■ニホンズイセン

日本の野生種のスイセンの代名詞がニホンズイセンで、香りが高いのが特徴です。
ニホンズイセンの花は小輪ですが先端で枝分かれする房咲きなので、フサザキスイセンの変種とされています。
白い6枚の花びらの中心から黄色いベルのような副花冠が飛び出しています。

かなり広い範囲で野生化しているため、日本各地に群生地があります。

■フサザキスイセン

フサザキスイセンは、日本や中国各地で野生化していますが、原生地の地中海沿岸や近辺の島々にも自生しているのが見られ、変種や亜種が数多くあります。

フサザキスイセンは小輪で先端が枝分かれする房咲きで、強く香ります。
花びらは白~黄色で、中心から飛び出した副花冠は白~オレンジ色で、色にバリエーションがあります。

■クチベニズイセン

かつてヨーロッパでは、クチベニズイセンが「真のスイセン」とされていました。
クチベニズイセンはスペインからギリシアまでの広範囲に自生していて、白い花びらの中央の副花冠は縁が赤い黄色のカップ状になっています。
クチベニズイセンは、1本の花茎の先端に1~2輪の花を咲かせます。

■ラッパズイセン

ラッパズイセンはイベリア半島やフランスに自生しています。
クチベニズイセンに似ているけれど違うスイセンとして、「偽物のスイセン」と呼ばれていました。

花びらが黄~白色で、副花冠が長く飛び出ているラッパズイセンの花は、一本の花茎から一つだけ咲きます。

■黄水仙(キズイセン)

黄水仙はスペイン・ポルトガルが原産の、鮮やかな黄色の薫り高いスイセンです。
日本には19世紀中ごろに入ってきたと考えられています。
黄水仙は細長い葉っぱをしていて、一つの花茎の先端が枝分かれして3輪の花を咲かせます。

スイセンの群生地にスイセンを見に行こう

日本各地には古くからスイセンが野生していることもあって、日本各地にスイセンの群生地があります。
灘黒岩水仙郷・越前海岸・鋸南町水仙郷はスイセンの日本三大群生地として、例年大勢の観光客でにぎわいます。
また、灘黒岩水仙郷から車で25分という近さに、別の群生地・立川水仙郷もあるので、灘黒岩水仙郷のある淡路島に行けば、一度に二か所のスイセンの群生地を訪れることができます。

■灘黒岩水仙郷(兵庫県淡路島)

灘黒岩水仙郷は、江戸時代(1820年頃)に地元の漁師が漂着したスイセンの球根を海岸近くの諭鶴羽山(ゆづるはさん)の急斜面に植えたら自然に広がったものと言われています。
諭鶴羽山から海を臨む45度の急斜面7haに500万本もの野生のスイセンが咲き誇ります。

緑に生い茂った葉の間からレモンイエローの花が風にそよぎ、青い空と青い海に囲まれたスイセンの美しさを楽しむことができます。
あたりはスイセンの甘い香りに包まれています。

灘黒岩水仙郷のニホンズイセンは、副花冠がお猪口に似ているとして、昔から「お猪口水仙」と呼ばれています。

灘黒岩温泉郷
〒656-0551
兵庫県南あわじ市灘黒岩2
https://www.city.minamiawaji.hyogo.jp/site/suisenkyou/

■淡路島2大水仙郷「立川水仙郷」

立川水仙郷は、灘黒岩温泉郷から車で25分という近場に位置していて、紀淡海峡を臨む山間の谷合の斜面約6haに約400万本のスイセンが咲き誇ります。

駐車場がスイセン畑のすぐそばにあり、遊歩道がコンクリートになっているので、車いすの方も安心して鑑賞できます。

立川水仙郷
〒656-2543
兵庫県洲本市由良町由良2877-22
https://tachikawa-suisen.com/

■越前海岸(福井県)

700万本のスイセンが群生する越前岬水仙ランドから梨子ケ平(なしがだいら)にかけて、日本海を望む約6kmの国道沿い60~70haもの広大な越前岬の高台に、ニホンズイセンの一種の「越前水仙」が咲き誇ります。

越前水仙は、一つの花茎の先端が枝分かれして4~8もの花を咲かせます。
白い花びらの中央から黄色い副花冠が飛び出した越前水仙は、ミカンの花に似た香りがします。

大正10年に梨子ケ平地域に自生していたスイセンを名古屋の生花市場に出荷したことから本格的なスイセン栽培が広まり、急斜面に野生のスイセンが植えつけられ、一大群生地になっていきました。

越前海岸の越前水仙の見ごろは12月中旬から1月下旬になります。
越前岬水仙ランドには700万本のスイセンが群生しています。
梨子ケ平には7000万本のスイセンが咲き乱れ、全国に切り花として発送されていきます。

越前海岸
一般社団法人 越前町観光連盟
〒916-0422
福井県丹生郡越前町厨71-335-1

越前観光ナビ
http://www.town-echizen.jp/about/feature.php?id=2

■鋸南町(きょなんまち)水仙郷(千葉県)

千葉県鋸南町にある「江月水仙ロード」「をくづれ水仙郷」は、佐久間ダムから大崩(をくづれ)にかけて続く、鋸南町水仙郷として日本三大水仙群生地に数えられています。

江戸時代安政年間(1854~60年)のころ、鋸南町保田のスイセンが「元名(もとな)水仙」として毎年800万本、船で江戸へと出荷されていました。

現在も町道「江月水仙ロード」3kmの道沿いにスイセンが咲き誇り、薫り高く背の高いスイセンは全国に出荷されています。

湖一周2.4kmの佐久間ダム湖畔から北へ向かう往復2.2kmの道並みにスイセンがびっしりと咲き誇る「をくづれ水仙郷」でもスイセンを楽しむことができます。

〒299-1907
千葉県鋸南町江月地先、大崩地先
千葉県公式観光物産サイトまるごとe!ちば「水仙まつり」
http://maruchiba.jp/sys/data/index/page/id/13309/

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物、多肉植物、ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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