登山

登山でしか出会えない、高山植物は山の宝物

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突然ですが、登山の魅力といえば何だと思いますか?

登山の魅力の1つに高山植物があります。
標高の高いエリアにしか生息しない植物を見て楽しむことができます。

また、高山植物は開花時間が短く、半月ほどで枯れてしまいます。
ですから、1ヶ月もすれば別の植物が咲き、同じエリアでもまったく違った風景を見ることができます。

ほんの短い間しか見ることのできない光景が目の前に広がっている、そう考えると目の前の植物がとても儚く、そして美しく見えてきますよね。

この記事では、季節ごとに代表的な高山植物をいくつか紹介していきたいと思います。

春の高山植物

・猩猩袴(ショウジョウバカマ)
百合(ゆり)科の植物
学名はHeloniopsis orientalis 

落葉樹の林の中、やや湿ったエリアに咲き、色はピンク色で可憐な花です。
広がった葉は冬の間に赤く紅葉し、暖かい季節になると緑色に変化します。

「猩猩」の語源は中国に伝わる空想上の生き物です。
猿のような顔で毛は紅色、大酒のみという言い伝えのようです。
花を猩猩に見立てて、葉は猩猩が着用している袴(はかま)に見立てています。 猩猩が袴をはいているように見えるので、猩猩袴と呼ばれるようになりました。
猩猩袴以外にも猩猩草(ショウゾウソウ)や猩猩木(ショウゾウボク)といった猩猩シリーズが存在します。

・片栗(カタクリ)
百合(ゆり)科の植物
学名は Erythronium japonicum

Erythronium(エリスロニウム)はギリシャ語の赤に相当する言葉であるerythrosが語源になっています。

開花時期は3月下旬~4月上旬の春先がメインです。
残雪の多いエリアでは6月に入っても見られることもあります。

群生することはほとんどなく、林の中にひっそりと咲きます。
花が咲くのは日があたって暖かいときのみで、曇った日や雨の日は開花しにくくなっています。
温度が低すぎると開花せず、かといって温度が高すぎると枯れてしまうとてもデリケートな花です。

春先の短い期間しか見ることができないことから、ヨーロッパでは「スプリングエフェメラル」と呼ばれています。
直訳すると、春のはかない命という意味になります。

同じ品種で黄色く咲く花もあり、黄花片栗と呼ばれるものもあります。

・草ノ王(クサノオウ)
芥子(けし)科の植物
学名は Chelidonium majus var. Asiaticum

黄色の清楚な花で、主に春に咲きます。
茎や葉の部分を引っかくと黄色い汁が出ます。
その黄色い汁には、丹毒を治す効き目があることから草ノ王と呼ばれるようになりました。

夏の高山植物

・珍車(チングルマ)
薔薇(ばら)科の植物
学名は Geum pentapetalum

春の終わりごろから夏にかけて白い花が咲きます。
花が咲いた後に、花柱が伸びて種になります。
その花柱が風に揺れる姿が、子供が風車を持って走っている光景に見えることから、珍車と呼ばれるようになったそうです。

一見草のように見える雰囲気の花ですが、実は樹木であり、数十年単位で行き続ける木です。
夏には白く咲いいたあと、秋には葉っぱが鮮やかな赤色に染まります。
見る時期によって雰囲気が大きく変わる植物といえます。

・山母子(ヤマハハコ)
菊科の植物
学名は Anaphalis margaritacea var. Angustior

山地の岩場などによく見られます。
白い毛が生えたような茎と葉で、エーデルワイスとよく間違えられます。

見た目は白いドライフラワーのようですが、真ん中にちょこっとだけ黄色い部分があり、実はその部分が花です。

・唐糸草(カライトソウ)
薔薇(ばら)科の植物
学名は Sanguisorba hakusanensis

夏から秋にかけて、動物のしっぽのような形をしたピンク色の花が咲きます。
まるで絹の糸のような花が、中国(当時の名称は唐)から来た糸のように美しいことから唐糸草と呼ばれるようになりました。

秋・冬の高山植物

・天人草(テンニンソウ)
紫蘇(しそ)科の植物
学名は Leucosceptrum japonicum

山地の木陰や岩場など、少し湿ったエリアに群生する花です。
秋になると、黄色い唇形花を咲かせ、花冠の先は5裂して、4個の雄しべと1個の雌しべが突き出しています。

花が咲いている姿が、天女が地上から天に舞っていくように見えることから、天人草と呼ばれるようになりました。

・吾木香(ワレモコウ)
薔薇(ばら)科の植物
学名は Sanguisorba officinalis

秋の高原で咲く植物です。
少し暗い赤色の団子のような花が咲き、とてもめずらしい色と形をしています。

秋の十五夜のお月見の際には、薄(すすき)とともに欠かせないものになっています。
また、根にはタンニンが多く含まれており、止血効果がある薬として古来より人々の生活に欠かせないものとして扱われてきました。

・竜胆(リンドウ)
竜胆(リンドウ)科の植物
学名は Gentiana scabra  var. Buergeri

秋の山道では必ずと言っていいほど見かける植物です。
ラッパ形の紫や青色の花が咲き、白やピンクの花を咲かせることもまれにあります。

各国で昔から薬草として重用されており、根の苦味が特別強く、竜の胆汁のように苦いというたとえから竜胆と呼ばれるようになりました。

いかがでしたか?登山の際には足元の高山植物観賞もお楽しみください。
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