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「それ、本当に俺の子なの?」古事記に書かれた最低男伝説と《聖地・高千穂神社》の関係

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出典:[matellias]https://ja.wikipedia.org/|https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%8D%83%E7%A9%82%E7%A5%9E%E7%A4%BE#/media/File:%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%A1%E3%81%BB%EF%BC%99.jpg

宮崎県・西臼杵郡にある高千穂神社。
神話では、地上世界を治めるために天孫・邇邇芸命が降り立った場所です。 大自然に囲まれ、神話の世界そのものを思わせる高千穂神社は、多くの参拝者でにぎわいます。
邇邇芸命ってどんな人?
そもそも天孫って何?
今回は高千穂神社にまつわる伝説とともに魅力を紹介します!

邇邇芸命は最低男!?

日本最古の歴史書「古事記」では、邇邇芸命は日本の最高神・天照大御神の孫です。
邇邇芸命は天照大御神から、「葦原中国(地上世界)を治めなさい」と命令を受けます。 天照大御神はいろんな神様を邇邇芸命のお供につけさせ、三種の神器(八尺の勾玉・八咫鏡・草薙の剣)を授けました。 こうして、邇邇芸命は天界から雲をかき分け、高千穂のくじふる嶺に降り立ったのです。 邇邇芸命は広がる大地を見渡し、こう言いました。 「ここは韓国に面していて、笠沙の岬にまっすぐに通じている。それに、朝日も光り輝き、夕日が照り映える。本当にいい土地だ……。よし、ここに宮殿を建てよう!」 と、住処にしたのでした。

ちなみに、高千穂とは宮崎県西臼枡郡高千穂町とする説と、宮崎県と鹿児島県にまたがる「霧島連山」を高千穂とする説があり、いまだ結論は出ていないのです。

では、話を古事記に戻します。
ある日、邇邇芸命は美しい女性に出会い、一目惚れをしました。 彼女は名前を木花之佐久夜毘売と言い、邇邇芸命はすぐに結婚を申し入れました。 木花之佐久夜毘売は「結婚の許しはお父様に聞いてみてください」と言うので、邇邇芸命は早速、木花之佐久夜毘売の父・大山津見神に許しを得に行きました。 天照大御神の孫で、天つ神(天界に住む神様のこと)の子供である邇邇芸命が自分の娘と結婚してくれることに、大山津見神は大喜び! 結納品に加え、木花佐久夜毘売の姉・石長比売まで差し出したのです。 ところが、石長比売は妹よりも顔がぶさいくなので、邇邇芸命は「姉はいらない!」と大山津見神の元に帰してしまったのです。 邇邇芸命は面食いで、なんともわがままな神様なのです……。

もちろん、大山津見神はショックを受けました。
石長比売は顔は醜いけど、体が丈夫な女神でした。そして、木花佐久夜毘売は顔はキレイだけど、短命な女神だったのです。 そんな2人を一緒に嫁がせることで、邇邇芸命の子供もその孫も、永遠の命で繁栄するように祈りを込めて2人を差し出したのに……。 そのため、邇邇芸命以降の天皇の寿命は短くなったと言われています。

そして、結婚をした邇邇芸命と木花佐久夜毘売。一夜をともにし、子供をみごもりました。
木花佐久夜毘売は喜んで邇邇芸命に「妊娠したの!」と、報告しましたが、邇邇芸命は喜ぶどころか、疑いの目を向けました。
「一夜しか契りはしていないのに……それ、本当に俺の子なの?」
と、なんとも失礼で最低な発言をしたのです!!
すると、美人でキレイな木花佐久夜毘売はみるみるうちに顔を紅潮させて、怒り狂いました。
まさか不貞を疑われるなんて……!
そして、怒った木花佐久夜毘売は産屋に火をつけ、こう言いました。
「天つ神のあなたの子なら、こんな火の中でも産めるはずよ!! 見てなさい!!」
燃えさかる産屋の中で、木花佐久夜毘売は3柱の男神を無事に産んだのです。 木花佐久夜毘売は可愛いけど、実は気性が激しい女性だったんですね。 必死に謝る邇邇芸命の姿が目に浮かぶようです。 ちなみに、この伝説がもとで木花佐久夜毘売をは安産の神、子育ての神として崇められるようになりました。

とにもかくにも、邇邇芸命は「最高神の孫」というだけで傲慢な態度を取ってしまい、寿命は短くなるし、カカア天下の家庭になりました。 日本神話の神様は、結構人間くさいのかもしれませんね。

縁結びを願うなら「夫婦杉」にお願いしよう!

高千穂神社のご祭神は、高千穂皇神と十社大明神です。
高千穂皇神とは、邇邇芸命と木花佐久夜毘売、その御子・彦火火出見尊とその妻・豊玉毘売、さらにその御子・彦波瀲武盧茲草葺不合尊とその妻・玉依毘売の6柱です。 そして十社大明神は、鵜が草葺不合命と玉依毘売の御子・三毛入野命(初代天皇・神武天皇の兄)とその妻・鵜目姫命、間に生まれた8柱の御子(御子太郎命、二郎命、三郎命、畝見命、照野命、大戸命、霊社命、浅良部命)のことです。 夫婦神やその家族を祀っているので、高千穂神社は家内安全、縁結び、夫婦円満の御利益があると言われています。
(その他には五穀豊穣や厄除け、諸願成就の御利益があります)

そして、境内には「夫婦杉」と呼ばれる、2本の杉の幹がくっついた巨樹があります。
この杉の周りを、夫婦や恋人、友達と手を繋いで3周回ると、縁結びや家内安全、子孫繁栄が叶うと言われています。

ぜひ、大切な人と高千穂神社にお参りして、夫婦杉にお願いしてみてくださいね。

ちなみに、この高千穂には人々を恐怖に陥れていた「鬼八」という鬼がいて、三毛入野命が退治したという伝説があります。 高千穂神社本殿の脇には、その様子を描いた彫り物がありますので、ぜひ見つけてみてくださいね。

毎晩、開催される「高千穂神楽」を見てみよう!!

高千穂神社と言えば、この「高千穂神楽」です。
夜神楽は境内にある神楽殿で、なんと毎晩、観光客向けに「高千穂神楽」を奉納しています。 開催は夜8時~9時までで、全33番ある夜神楽の中から代表的な4番「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」が上演されています。 1人700円で伝統的な夜神楽が見られるので、ぜひ夜も楽しんでみてくださいね!

また、33番ある神楽は11月22日、23日の2日間にかけて「神話の高千穂夜神楽まつり」で楽しむことができます。
そして、高千穂では町内20ある集落でも神楽が奉納されています。
毎年、11月下旬から翌年2月上旬にかけて、卜占によって神楽宿とする民家を選び、氏神をお迎えして33番の神楽を夜通し行うのです。 秋の実りを感謝し、来年の五穀豊穣を祈願する神事であり、国の重要無形民族文化財にも指定されている由緒あるお祭りですので、マナーを守って観覧してくださいね。

「真名井の滝」はマイナスイオンたっぷりの癒しスポット!

高千穂峡は、12万年前に阿蘇火山活動の時に噴き出た火砕流が急激に冷え固まり、浸食された断崖がある峡谷です。 真名井の滝は「日本の滝百選」に指定されている滝で、約17mの高さから水面に落ちています。 神話では天孫降臨の際、この地に水がなかったので天村雲命が高天原から水の種を移して、「天真名井」を作りました。そこから湧き出る水が真名井の滝につながっていると言われています。

日本人は昔から、山や滝、川など自然の物に神様が宿ると信じてきました。
神秘的で神々しい自然の中にいると、身も心も癒されることでしょう。

いかがでしたか?
高千穂神社は神話を身近に感じられ、壮大な自然に癒される場所です。
朝は神社で祈願し、昼は自然に癒され、夜は夜神楽で心弾ませる……。
1日中楽しめる高千穂神社にぜひ、行ってみてくださいね。

■所在地
高千穂神社
〒882‐1101
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1037
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