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「ふるさと納税」でもらえる!高松市が発祥の盆栽―樹皮が特徴の『錦松』を愛でる

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四国の香川県高松市は、国内外の盆栽愛好家からも注目されている盆栽の生産地です。特に「錦松」の盆栽の発祥の地として知られ、この錦松の盆栽は、高松市の「ふるさと納税」の御礼品にもなっています。錦松の盆栽は、他の松の盆栽の種類である五葉松、黒松、えぞ松、赤松、から松などとは異なり、樹皮に特徴があります。高松市発祥の「錦松」の誕生秘話や特徴を知ることで、錦松の盆栽の手入れの仕方もわかりやすくなります。

誕生秘話

「錦松」は、明治の中頃に香川県内の瀬戸内沿岸やその近くの島々で採集されている黒松の中で見つかった樹皮に特徴がある松でした。

その後、明治27年(1894年)に末澤喜市氏によって、この松の穂木は黒松に接木され、大量生産をすることができました。この発見は、香川県の高松市が盆栽の町として世界的に有名になる基礎となりました。その後、「日清」、「末広」や「旭光」などの新しい品種も開発され、高松市の錦松も有名になりましたが、生産過剰により価格暴落を招く結果となり、錦松の盆栽生産農家数も減少していきました。しかしながら、今日でも高松市の国分寺町では数件の盆栽農家が新しい品種の改良をしながら昔から引き継がれている錦松の盆栽の生産に取り組んでいます。

錦松の特徴 

高松市が発祥の錦松は樹皮に特徴があり、その樹皮は亀甲模様のように厚く大きく割れています。黒松の異変によって生まれたこの錦松は、黒松とは異なり、樹皮がめくれあがるように割れ、幹は凸凹があるので古木のような感じがあります。この樹皮の特徴は瀬戸内海の荒々しい波にも似ています。また、この錦松の盆栽の正面を決める際、この樹皮の割れ方の特徴が良く出ているところを正面として、盆栽を仕立てると一層引き立ちます。

樹皮の特徴から錦松は力強いイメージがありますが、意外と他の松より樹性も弱いです。樹芯や枝などは細いため曲がりやすので盆栽には仕立てやすいですが、枝などは折れやすいです。近年では錦松の盆栽生産農家も少ないので、他の松の盆栽に比べて盆栽の品数も少ないです。

手入れの仕方

錦松の盆栽は他の松の盆栽と同じように、一年間を通して、季節ごとの手入れ作業が必要です。

・秋から春に行う手入れ作業
錦松の手入れ作業には、秋の終りから冬の終りにかけて行う「剪定」、秋の終りから春の初めにかけておこなう「葉すかし」と「針金掛け」があります。 作業手順としてとして、錦松の剪定は秋の終りから冬の終りまでの間に行い、伸びた枝などを剪定します。秋の終りから12月ごろに枯れたり古くなったりしている松葉を取り、この時期に新たに出てきた新しい松葉も約半分ぐらいから3分の1くらいを目安に取り除きます。11月頃になると古い松葉は自然と落ちてくるので、残った古い松葉は”盆栽用“のピンセットを使うと抜きやすいです。また、この時期に “胡麻”のような新芽を残した錦松の剪定は錦松を痛めることはないですが、枝の途中で剪定を行うとその枝は枯れてしまうので、注意をしながら剪定することが必要です。一般的に松の新芽は胡麻くらいで小さいです。

さらにこの時期は、「葉すかし」と呼ばれる手入れ作業を行います。この「葉すかし」は、古くなったり、枯れたりした松葉を“すかすように”取り除く作業です。「葉すかし」の作業は、冬の初め頃から行えますが、春の新芽や葉が伸び始める頃に行うと良いです。この「葉すかし」作業の目的は込み合った錦松の葉をすくうことにより、錦松の盆栽全体に陽があたるので光合成の活動も活発となり、外側の松の葉に覆われていた内側の松の葉や芽にも太陽が当たるようになります。また、風通しもよくなるので病害虫対策にも効果があります。

「葉すかし」をした後は、枝に針金かける「整枝」の作業を行います。太い枝や幹を曲げて樹形を整えたい場合は2月ごろから針金かけをしますが、その針金は半年から1年位はかけた状態にしておきます。

・春から夏にかけて行う手入れ作業
4月には「植え替え」をして6月の初めにかけて「芽摘」作業を行い、6月から7月にかけての「芽切」、8月には「芽かき」の作業を行います。

植え替えは4月に行います。錦松の盆栽は鉢植えの中で樹が育っていますが、植え替えをしないで放っておくと根が鉢一杯に伸びてしまうので、窒息して盆栽は枯れてしまいます。そのために植え替え作業が必要となります。植え替えは、毎年する必要はないですが、盆栽が若樹では2~3年、完成樹では3~4年に一度ぐらいを目安に行います。鉢から盆栽を外し、伸びた巻根や傷んでいる根を約3分の1位まで切ります。特に太くて強い根や伸びすぎている根は切り詰め、養分のある新しい用土に植え替えます。植え替え用の用土は、硬質赤玉8に対して桐生砂2の割合が理想です。一般的な赤玉も良いですが、硬質タイプの赤玉の方が水キレも良く、根張りの成長も良いです。

春先である4月から6月頃にかけて錦松の新芽は伸び樹形も乱れるので、「芽摘み」作業を行います。この作業は、葉が伸びる前に勢いのある新芽だけを半分くらい残し、残りの半分は芽摘みしますが、勢いのない弱い芽はそのまま残しておきます。この時期に伸びた新芽は簡単に指で摘み取ることができます。また、この時期にこの作業を済ましておかないと、新芽の中に芯ができてしまうので、手で折ることは難しいです。

初夏の6月の終りから7月の初めにかけては、「芽切」作業を行います。新芽の芯を葉の途中から切り葉が伸びないようにしますが、また新芽が元のところから出てくるので、この「芽切」の時期が遅れると沢山の側芽を出してしまいます。8月には「土用芽」や他の芽も欠く「芽かき」作業を行います。 

・管理―水やり、肥糧、消毒と置き場所
水やりは、一般的に春と秋は2日に1~2回位、夏は一日1回~2回、冬は3日に1回位が目安ですが、鉢の土の表層が乾わいていたら鉢の下から水が流れでるくらいたっぷりと水を与えます。

肥糧は、盆栽の樹の活動が活発な時期に固形や粉末の油粕を盆栽の大きさに合わせて施します。例えば、10号の盆栽鉢の場合、固形の油粕を一回につき2~3個施し、春から秋の終わり頃までに数回施します。その肥糧は幹の根元は避け、鉢の四隅に置く方が良いです。油粕には骨粉が入っている肥糧もあります。梅雨や真夏は避けて肥糧は施します。その肥糧は幹の根元は避け、鉢の四隅に置く方が良いです。

錦松の消毒は松枯病やアブラムシなどの病害虫対策のために行い、春から秋にかけて3~4回ぐらい消毒液を散布します。特に暖かくなった春先はアブラムシがつきやすいです。

錦松の盆栽を置く場所として、風通しが良く、太陽の光りが少なくても一日4~5時間以上当たるところが理想です。水はけの良い盆栽棚や台の上に置き、夏は1日1~2回、春と秋は2日1回の割合で朝晩の2回位、冬は1~3日に1回位を目安に水やりをしますが、盆栽の土の表層が乾いたら十分に水を与えます。

まとめ

香川県高松市が発祥の「錦松」の盆栽は、瀬戸内海の荒波のような樹皮に特徴があり、盆栽としても素晴らしいものです。
錦松の盆栽は、年間の手入れ作業も他の盆栽とある程度共通しているので手入れ作業の基本や作業を行う時期を把握することで、無理なく錦松の盆栽を育てることができます。
錦松の盆栽は、毎日触れていると盆栽の日々の小さな変化や成長を通して次に行う手入れ作業について、盆栽の方から知らせてくれます。
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