盆栽

やさしい欅盆栽の寄せ植えづくり

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欅は、海外の盆栽愛好家の間でも人気のある雑木類の盆栽です。
一般的に欅は、「ほうきづくり」や「直幹」などの樹形が一般的ですが、これらの樹形を生かした欅の寄せ植えづくりは盆栽初心者でも作りやすく、盆栽鉢の中に欅の林が自生している自然の風景を作ることができます。

欅の寄せ植えづくりの手順

欅の寄せ植えづくりには、ほうきづくりに仕立てられた実生からの年数がことなる素材を複数本必要です。また、寄せ植えづくりをする際は、剪定バサミ、枝切バサミ、植替え用の用土、盆栽鉢を用意します。

盆栽初心者が欅の寄せ植えづくりにはじめてチャレンジする場合は、ほうきづくりに仕立てられている欅の樹木の素材を複数本使ってチャレンジした方がやさしいので、実生から7年位育った欅の素材を中心に樹齢年数の異なった素材を複数本用意します。

また、欅の寄せ植えを作る際は、欅の素材を使って自然の中に自生している欅で作られている森や林の風景をイメージして、最初にその完成図を書き留めてから始めた方が作業もしやすいです。

欅の寄せ植えでは、同じ樹種の欅のほうきづくりをした素材で樹丈、幹の太さや枝ぶりが異なるものを複数本用意します。寄せ植えに使われる盆樹の本数は、3本位から10本くらいまでが一般的に奇数本の素材を使った方が、安定感のある寄せ植えの盆栽に仕上がります。そのため3本、5本、7本位の樹木の株数を寄せ植えづくりに使います。また、同じ欅の素材でも、盆栽鉢に中に植え付ける素材には、背丈、枝ぶり、幹の太さなどが異なることで強弱ができることが理想的です。

ほうきづくりに仕立てられている欅の素材の中には、枝先全体の長さが揃っていないものや徒長枝などが伸びているものもあるので、枝先を揃えたり、不要な枝は剪定したりしてから寄せ植えづくりを始めます。

その際、切り詰めた枝の切り口が盛り上がったりしている場合は、ナイフなどで傷口を削って滑らかな状態にします。また、三又以上の枝は二又まで切り詰めます。

さらに樹勢も強いものと弱いものがあると、欅の森や林の光景を表しやすいです。同じ樹勢で枝ぶり、幹の太さ、樹高などが同じ欅の素材を複数本使って寄せ植えにしても変化がないためどれも同じに見えるので盆栽鉢の中に遠近感を表すことが出来ないです。

いつも手入れがされている公園や有名な通りの欅並木のような風景を盆栽鉢の中に表すのではなく、自然の風景を表すことが寄せ植えづくりのポイントです。

寄せ植えづくりに向いている植木鉢は、楕円形や長方形の浅いタイプです。また、鉢の色も出来るだけ自然の中に調和しやすく、おとなしい感じのものがおすすめです。

欅の寄せ植えは、素材がある程度大きくなってからでも作ることができますが、大体実生してから7年位の苗木でほうきづくりに仕立てられた素材を中心として、5年位、3年位のものなども混ぜながら作ると変化のある寄せ植えづくりを作ることができます。

欅の寄せ植えは、植え付ける素材である欅の樹木と道具が揃ったら、寄せ植えの構図を考えます。次に寄せ植えをするほうきづくりに仕立てられた欅の樹木(素材)の根を良くほぐして、鉢の中に構図の通り並べてみます。

鉢の中に底土を入れたら寄せ植えをする欅の樹木を植え付けてきます。その際立ち上がりが接近しているように植え付けることがポイントです。全ての樹木の植付けが終わったら、竹ばしを使って根と根の間に用土を詰めます。その後に土の表面が盛り上がったり低くなったりするように変化を付け、その上に苔を敷きます。

寄せ植えづくりの最後の仕上げは、寄せ植えした欅の樹木の枝や幹を一本一本確認しながら必要に応じて再度剪定をします。そして出来るだけ寄せ植えをした欅の樹木から自然の林の風景が感じられるようになったら完成です。

また、寄せ植えづくりをしてから葉刈などの作業を行うと小枝は増えてきます。寄せ植えづくりをした欅の盆栽の管理は、他の盆栽と同じように管理をして育てます。

寄せ植えづくりと欅の素材

欅の盆樹が仕立てられている樹形は、ほうきづくりや直幹の樹形が基本となっているので欅の寄せ植えづくりは、ほうきづくりや直幹などの樹形に仕立てられた複数の盆樹を使って、一つの盆栽鉢の中に個々の盆樹の特徴を生かしながら全体が安定して調和するようにまとめ、全体の美しさを作り出していく樹形です。

欅の寄せ植えづくりは特に決まった盆栽界のルールなどがないので、自分の好みの欅の素材を選び、自然の中で自生している欅の林の風景を盆栽鉢の中に楽しみながら作ることができます。そのため欅の寄せ植えに使う素材の組み合わせや並べ方などの構成も自由にすることができるので、個性や特徴のある欅の寄せ植えづくりを楽しむことができます。さらに、同じ寄せ植えづくりでも自然の林、森の中の林、海岸沿岸の林など、自由に作ることができることも楽しみです。

欅の寄せ植えを作る場合は、同じ欅の素材だけで作ることがおすすめです。また、同じ欅の樹種でも葉型などが同じものを使って作ることが理想です。

欅の盆栽はほうきづくりや直幹仕立てなどの樹形が多いですが、ほうきづくりに仕立てた素材を使って作った寄せ植えは、出来上がると見応えのある盆栽に仕上がります。

寄せ植えづくりは、欅以外の盆栽でも良く仕立てられる樹形です。また、盆栽愛好家の間でも寄せ植えづくりは人気のある樹形です。
一本の盆樹の樹姿や枝ぶりが良くなくても複数の盆樹を一緒に植えることによりお互いのマイナスな部分を補ってくれるので、全体的に見応えのある美しい寄せ植え盆栽の作品に仕上がることです。例えば、一本のほうき仕立てにした欅の盆樹の樹姿や枝ぶりなどがあまり良くなくても3本、あるいは5本のほうき仕立てにした欅の盆樹を一緒に寄せ植えすると、立派な欅の寄せ植え盆栽として観賞することができます。

この寄せ植えの樹形は、欅のほかに杉、蝦夷松、ドウショウ、ブナ、ヒノキ、ソロ、カエデ、もみじなどの雑木類盆栽の樹種に向いています。

寄せ植えづくりが似合う欅

盆栽には色々な樹形がありますが、盆栽の樹木が自然に自生している姿を盆栽鉢のなかで表現することが基本の一つです。盆栽の樹形には、直幹、直幹が基本となるほうきづくりや模様直幹、斜幹、模様木、文人木、懸崖、吹き流し、双幹、三幹、株立ち、根連なり、寄せ植え、石付けなどがあります。

それぞれの樹種が自然の中で自生している樹姿と同じような情景を盆栽鉢の中で表現すると、樹種が本来持っている美しさを自然に引き出すことができるので、親しみやすい盆栽に出来上がります。

ほうきづくりや直幹の樹形に仕立てられた欅の盆栽は、欅が自然の中で自生している欅の姿を表しているので、これらの樹形は欅に向いています。そのためほうきづくりや直幹の樹形に仕立てられた欅の素材を使って寄せ植えした盆栽は、素晴らしい盆栽になります。盆栽経験があまりない初心者でも取り組むことができる樹形です。

一方で、欅は、懸崖、模様木、そしてあまり自然界にないような奇抜な樹形に向いていない樹種です。杉も欅と同じようにこれらの樹形には向いていないです。

やさしい欅の寄せ植えは、盆栽初心者でもほうきづくりや直幹の仕立てられた素材を使うと簡単に作ることが出来る樹形なので、作ってみませんか。
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