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盆栽初心者におすすめの寒樹の美を楽しむブナの盆栽づくり

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雑木類盆栽の仲間であるブナは、四季折々の変化を楽しむことができる樹種です。
ブナの「寒樹」の姿は、他の雑木類盆栽の中で最も美しいです。
また、ブナは盆栽初心者でも寒樹を楽しむための樹形も作りやすく育てやすいので、寒樹の美を楽しむブナの盆栽づくりは、初心者におすすめです。

初心者におすすめのブナの盆栽

盆栽初心者におすすめのブナの盆栽は、同じ雑木類盆栽の欅、ヒメシャラ、紅葉、楓のように落葉後の美しい寒樹の観賞を楽しむ盆栽愛好家も多いです。
しかし、ブナと同じ雑木類盆栽の銀杏、柳、ハゼやツタなどは、春の新芽から秋の紅葉まで葉が付いているので葉の美しさを楽しむ愛好家も多いですが、秋の紅葉後に葉が落ちてしまうとあまり観賞されないです。

ブナは、日本各地に自生していますが自生している地域によって、葉の形などが異なります。ブナは、春に新芽が出て5月頃になると美しい新緑に変わります。同時に雌と雄の花を咲かせます。10月から11月頃になるとブナの葉は、美しい紅葉に変わります。また、紅葉が終わる頃になると葉の数も少なくなってきますがブナの小枝に数枚残った枯れ葉の姿は風情と趣があるので、晩秋の美しさを感じさせてくれます。1月から2月にかけては美しいブナの寒樹を楽しむことができますが、」この寒樹の美しさは格別です。

寒樹の美しさを楽しむためのブナの盆栽づくりには、植え替え、芽摘み、葉刈りなどの手入れ作業が必要ですが、特に芽摘み作業は大事です。ブナの樹勢は、枝先や上部の方が比較的強いので芽摘み作業をしないと上部の方だけ新芽が多く出てしまうので、樹形の上部と下部のバランスが悪くなってしまいます。寒樹が美しいブナの盆栽に仕立てるためには、新芽が出てから2週間位後に芽摘み作業をします。

寒樹の美を楽しむためのブナの手入れ作業はどれも簡単なので、盆栽初心者にブナの盆栽はおすすめです。

「寒樹」の姿が美しいブナの盆栽

ブナの盆栽は枝に葉が付いている春から秋の終り頃までの生育期間は美しいですが、落葉後に幹と枝だけになったブナの寒樹の美しさは格別です。

盆栽の「寒樹」は、落葉樹の葉が紅葉の後に落ちて幹と枝だけになった「冬の葉が落ち」をした姿です。また、「寒樹」と言う用語は、落葉して幹と枝だけになった雑木類盆栽の樹種の美しさを表すための盆栽用語です。

ブナや同じ雑木類盆栽の欅、紅葉や楓などは、四季折々に美しい姿を楽しませてくれます。また、ブナなどの雑木類盆栽は、寒樹が一番美しいとされている樹木の根張り、枝配り、小枝配り、幹模様などの味わいのある要素を持っています。雑木類盆栽の中でもこれらの寒樹の美しい要素が全て揃っている樹種は、寒樹が美しいです。

松柏類盆栽の松などは、一年を通して葉を付けている常緑樹です。しかし、雑木類盆栽のブナなどは秋の黄(紅)葉後に幹と枝だけの寒樹になってしまいますが美しい寒樹の姿は、観る人に深い感動を与えてくれます。

2つのタイプがある「寒樹」が美しいブナの盆栽

寒樹が美しいブナの盆栽は、2つのタイプがあります。一つは、秋の黄葉の後に全て葉が落ちて幹と枝だけになったブナの盆栽です。もう一つは、秋に黄葉した葉が茶色になって少し付いているブナの盆栽です。ブナの枝に少し残った葉は、冬の寒さによって美しい茶色に移り変わっていきます。

* 幹と枝だけになったブナ盆栽
秋の黄葉が終わり冬の寒さが厳しくなる頃までにブナの盆栽は、落葉が終わって幹と枝だけの寒樹になります。落葉が終わったブナの盆栽の幹は灰白色をしているので、寒樹の美しさを引き立たせてくれます。また、小枝の配置が細かく、根張りが力強く、枝配りのあるブナの盆栽の寒樹は、一際美しいです。

* 葉の色が茶色に変わったブナの盆栽
全ての葉が落ちて幹と枝だけになったブナの寒樹は美しいですが、紅葉後に茶色に変わった葉が少し残っているブナの盆栽も冬の情景を良く表しているので、美しいです。秋の黄葉後の少し残った葉が冬の寒い時期に茶色に変わったブナの盆栽も味わい深い美しさがあるので、「寒樹」として楽しむことができる盆栽です。

ブナの盆栽の寒樹の見所

ブナの盆栽の寒樹の見所は、根張り、小枝の味わい、幹模様、枝配りの4つがおすすめです。

* 根張り
寒樹のブナの盆栽の一つ目の見所は、根張りです。特に根張りが「八方根張り」になっているブナの盆栽の寒樹は特に美しいので、おすすめです。

どの種類の盆栽でも幹元の根張りに力強さがあり、しっかりと根が張っている盆栽は、樹木全体に安定感があります。一般的に寒樹が美しいとされているブナ盆栽は、根張りに力強さがあります。その中でもさらに寒樹が美しいとされているブナの盆栽は、幹元から張り出した根が四方、八方に伸びている「八方根張り」と呼ばれている根の張り方をしているブナの盆栽です。

* 小枝
寒樹が美しいブナの盆栽の2目の見所は、細かい小枝の配置と小枝の持つ柔らかさです。落葉後に幹と枝だけになった寒樹のブナの盆栽は細かい小枝に繊細さがあり、枝先の曲線や細かく枝分かれした小枝などにも美しさがあるので、盆栽愛好家に人気があります。

しかしながら、ブナの盆栽でも細かい枝があまりなく、太くてごつい枝や徒長枝などが多くあるものは、ブナの盆栽が持っている寒樹の美しい要素を失わせてしまいます。そのためブナの盆栽で美しい寒樹を楽しむためには、日頃の管理や適期に行う剪定作業などが大事です。

また、一般的にブナを含めて雑木類盆栽の中で直幹仕立てに樹形がつくられているタイプの盆栽は、幹が真っ直ぐに仕立てられているので、小枝の繊細さなどの美しさを表現することは難しいです。しかし、欅の箒仕立のようにブナの盆栽を仕立てると小枝の繊細さを美しく表現することができるので、美しい寒樹を楽しむことができます。

* 幹模様
寒樹が美しいブナの盆栽の3つ目の見所は、幹模様です。この美しい幹模様は、根張りの部分から幹元の部分にかけて“ゆるく”曲線が描かれているような薄い幹模様です。この幹模様が表れているブナの盆栽は、寒樹が美しいです。また、幹肌に傷がなく古木の色合いが出ているブナの盆栽も風情ある寒樹の美しさを持っています。

* 枝配り
寒樹の美しいブナの盆栽の4つ目の見所は、枝配りです。ブナは雑木類盆栽なので、松柏類盆栽の松などに比べて、枝ぶりを水平より少し上向きに仕立てた方が、枝の柔らかさが表現しやすいです。また、ブナの枝が前後左右に順序良く伸びていることも大事なポイントです。

枝配りが美しいブナの寒樹は、幹から伸びた枝に柔らかさがあります。この枝の部分に柔らかさがないブナの盆栽は、枝先の小枝に柔らかさを出すことが難しいので、寒樹の美しさを楽しむことはあまり期待できないです。また、重なり合ったりしている枝があると、寒樹の美しさを失ってしまいます。

冬の季節にブナの盆栽で寒樹の美しさを楽しむ場合は、根張り、小枝の味わい、幹模様、枝配りの4つの見所にポイントをおいての観賞することがおすすめです。

ブナや他の雑木類盆栽が幹と枝だけになる冬は、寒樹の美しさを見る眼を養う絶好の時期です。ブナの盆栽の寒樹は、雑木類盆栽の中でも一際美しいく、盆栽初心者でも作りやすいので、寒樹の美しさを楽しむブナの盆栽を作ってみませんか。

寄せ植えづくりで樹形を楽しむブナの盆栽

ブナは1本の樹木だけを盆栽鉢に植えて楽しむことも良いですが、複数のブナの苗木を使って作った寄せ植えは、四季折々の移り変わりを樹木や葉の変化によって楽しませてくれます。

雑木類のブナの寄せ植えは盆栽愛好家の中でも昔から親しまれている樹形です。また、ブナは寄せ植えに向いている樹木だけでなく、盆栽初心者でも寄せ植えはつくりやすい樹木です。

寄せ植えとは?

寄せ植えは複数の樹木を使って盆栽鉢の中で、それぞれの樹木の特性を生かしながら一つの自然の美しさを作り上げる樹形が寄せ植えです。寄せ植えは他の盆栽の樹形とは異なり、基本となる樹形やルールもないです。また、使う樹木の樹種やアレンジの仕方も自由です。

寄せ植えは1本だけでなく複数の樹木を一緒に寄せ植えするので、個々の樹木の欠点を他の樹木が補う効果があります。例えば、寄せ植えされている樹木の中に枝ぶりがあまり良くない樹木が1本含まれていても他の樹木と一緒に寄せ植えをすることにより、マイナスな部分をプラスの要素に変えて観賞することができます。

ブナ以外に寄せ植えに向いている樹種は、欅、もみじ、かえで、黒松、えぞ松、ヒノキなどがあります。

ブナの寄せ植えをすすめる理由

ブナを含めた雑木類の盆栽は、直幹、模様木、株立ち、根連なり、文人木などの樹形を作くる楽しみ方もあります。しかし、ブナの特性を生かしてつくる寄せ植えは、春の新緑、夏の緑陰による涼しさ、秋の紅葉、そして冬の寒樹などを一年を通して盆栽鉢の中で楽しむことができます。

ブナの寄せ植えは他の樹形の中でも自然の風景をわかりやすく表現することができるので、あまり盆栽経験がない人でも作りやすい樹形です。そのため盆栽初心者が最初に作る樹形として、ブナの寄せ植えは取り組みやすい樹形です。

ブナの寄せ植えは若木の苗木を使って作るため、苗木の購入もしやすいです。また、若木を苗木として使って寄せ植えをするので、他の雑木類盆栽の樹種や樹形に比べてあまり長い歳月を要しないで寄せ植えの樹形づくりをすることができるため、樹格もさらに向上させることができます。

寄せ植えの盆栽は使う樹木の樹種と樹木の組み合わせを自由することができますがブナの寄せ植えは、同じ樹種の組み合わせで作くった方がブナの樹木が持っている魅力が引き立つので、ブナが自生している美しい自然の風景を表現しやすいです。

ブナの寄せ植えは、他の雑木類盆栽の樹形の中でも人気があり、盆栽経験があまりない初心者でも作りやすいことがブナの寄せ植えづくりをおすすめする理由です。

ブナの寄せ植えの作り方

ブナの寄せ植えづくりの適期は3月のお彼岸頃から4月中旬頃までです。

ブナの寄せ植えは、作りたい自然の風景を最初にイメージしてスケッチしたり、参考になる風景写真を側に置いたりしてから寄せ植えづくりを始めると、作業がしやすいです。

次に必要なブナの苗木、やや深めの盆栽用鉢、7対3の割合で混ぜた中粒の硬質赤玉土と中粒の富士砂、化粧砂、防虫ネット、針金を用意します。ブナの苗木は6~7本位使うと、寄せ植えが作りやすいです。また、同じ大きさの苗を選ぶのではなく樹丈が高いものから低い物まで約3種類位異なった苗木を揃えると、自然の風景が表現しやすいです。

寄せ植え用の盆栽鉢は楕円形や長方形の浅い鉢の方が、寄せ植えされているブナの樹木が引き立ちます。初心者が初めて寄せ植えをする場合は、楕円形より長方形の方が使いやすいです。

寄せ植えづくりの手順として、最初に苗木の幹元を持って株の下と左右に伸びている根を半分から3分の2位まで切り詰めます。ブナの枯れている葉は取り除き、枯れ枝と太い枝は剪定します。この剪定により苗木の枝ぶりがすっきりしてくるので、新芽の出具合がわかりやすくなります。

ブナの苗木は、同じ樹木の高さのものを2本ずつ針金で束ねておくと寄せ植えが作りやすいので、樹木を傷めないように束ねます。次にブナの苗木を盆栽鉢に植え付けをしていきますが最初に苗木を盆栽鉢の中に置き、作りたい寄せ植えのレイアウトを決めます。その際、決まったレイアウトは大まかにメモしておくと、後の作業もしやすいです。

レイアウトが決まったら盆栽鉢の底穴に防虫網を置いて針金で固定します。鉢底には鉢底が隠れる程度の大粒の赤玉土をごろ土として、敷きます。その上に用土を少し入れて寄せ植えの主幹として使う2本束ねておいたブナの苗木を置いてみます。さらに副幹として2本束ねておいた苗木も置いてみます。そして、2本ずつ束ねておいた残りの苗木を周りに配置して置いてみます。苗木の配置が決まったら、用土を7~8割位盆栽鉢の中に入れます。用土は、竹ばしなどを使って苗木の根元の下をつつきながら詰めていきます。用土が苗木となじんできたら残りの用土を入れてコテを使って用土を上から押さえ、化粧土を用土の上から敷き詰めていきます。最後に盆栽鉢の穴から水が出てくる位十分に水を与えます。水やりはジョウロを使って盆栽鉢の土が流れないように注意しながら丁寧にかけます。

寄せ植えに使う苗木によっては針金をかけが必要な場合もありますが、掛けた針金は3カ月位したら外します。

寄せ植えを作った後の管理

寄せ植えづくりをしたブナの盆栽は、2~3年に一回の割合で植替えをします。ブナの寄せ植えの植替えは、寄せ植えづくりとする適期と同じ3月のお彼岸頃から4月中旬頃までに行います。植替えでは、古くなった根を切り詰めて新しい用土で植替えをして、根の活性化を促進させます。

長い間植替えをしないでいると盆栽鉢の中で根がいっぱいになってしまうので、せっかく伸び出した新しい根の生育も悪くなり太くて強い根が増えると、枝枯れを引き起こしてしまいます。

植替えをする際は、数日前から水を控えて盆栽鉢の土を乾燥気味の状態にした方が植替え作業がしやすいです。最初に鉢底の穴から通して樹木を留めてある針金を切り、寄せ植えにしてある全ての樹木をまとめて盆栽鉢から取り出します。その際、盆栽鉢は水で綺麗に洗って乾かしてから使います。鉢根は4分の1、あるいは3分の1位、竹橋などを使ってほぐし、盆栽鉢の縁の周りにある根と根元近くに付いている古い用土も落としていきます。鉢根の下の部分(底)から出ている強い太い根は切り詰めます。新しい用土が古い用土残っている根元や根の隙間に行きわたるように鉢根の周りを竹ばし等を使って用土を入れます。綺麗に洗って乾かした盆栽鉢の鉢穴に防虫ネットを入れて、その穴から樹木を固定するための針金を通しておきます。その後、鉢底にごろ土を敷き、中粒の硬質赤玉土を盆栽鉢の深さの半分ぐらい入れて寄せ植えの樹木全体をその上に置き、針金で固定します。最後に盆栽鉢の土の上の表面に化粧砂を敷いて植替えは完成です。

植替えをしたブナの寄せ植えは十分水を与え、陽当たりが良く風が当らない場所で管理をすると、新芽の伸びも良くなります。

育て方と剪定の仕方を正しく知り、『ブナの盆栽』を楽しもう!

落葉高木であるブナの木は、“森の女王”とも呼ばれています。ブナは、寒い冬が終わる頃に春の訪れを「芽出し」によって私たちに知らせてくれます。5月頃の新緑の時期になると雌花も雄花も開花します。また、秋の紅葉の時期になると黄色からオレンジ色、そして黄金色に葉の色が変化します。冬に枯れ葉を残しているブナの品種の盆栽も同じように美しいさがあります。

ブナ盆栽でも同じように盆栽鉢の中で、季節の訪れや四季折々の美しい高山の移り変わりを身近で感じることができ、高山にあるブナの森や林の情景を盆栽鉢の中に再現することができます。また、ブナの盆栽は、寄せ植え、直幹、斜幹や株立などいろいろな樹形づくりを楽しむこともできます。

ブナの盆栽の育て方や剪定方法は他の盆栽と基本的には同じなので、盆栽初心者でも育てやすく、剪定もしやすい盆栽です。

育て方

ブナの盆栽を育てる上で、植え替え、芽摘みと針金掛けの手入れ作業を行う必要があります。これらの作業は主に春に行います。また、ブナの盆栽の置き場、水やり、肥糧や病害虫対策も育てる上で大事な作業です。

・植え替え
ブナの盆栽の植え替えは、冬の休眠時期が終わった3月から4月ごろ行います。成長が早いブナは、根の成長も早いので根詰まりしやすく、水の通りも悪くなります。そのため、若木盆栽や小品盆栽は、毎年この時期に植え替えをすることがおすすめです。若木のブナの盆栽は、根を良くほぐして根を切ることで、新しい根の発根を促進します。 完成木は2~3年に一度が目安ですが、土の表層から水通しが悪くなり根詰まりをおこしている場合は、前年に植え替えをしてもこの時期に再度植え替えをすることが大事です。ブナの樹性として、根は長くて太りやすので植え替えする際は、長い根を切り詰め、深鉢ではなく浅い楕円形の鉢に植えると手入れがしやすいです。この形をした盆栽鉢は、複数のブナの寄せ植えには最適です。

・芽摘み
ブナの盆栽の「芽摘み」作業も春に行います。この作業は、ブナの盆栽の枝づくりにも影響します。冬芽が大きく膨らんでくる4月頃、葉が展開する前に芽が伸び出したところで1/3程残してこの芽を摘み取ります。「こんなに切って大丈夫?」と不安に思うかもしれませんが、 ブナの新芽は2/3位摘み取らないと、あっという間に芽が伸びてしまいます。この時期に伸びるブナの新芽は伸びがとても早いので、できるだけ早いうちに新芽の先を挟みや指で摘み取ることが大事です。また、この時期は木の先端に勢いがあるので芽摘みを根気よく丁寧に行わないと上部の成長が活発なので樹冠の部分が重たくなり、樹形のバランスを崩しや枝づくりしにも影響するので、忘れずにこの「芽摘み」作業を行うことが大事です。

・針金掛け
針金かけは、成長期の5月から6月、休眠期である12月から2月頃に行いますが、休眠期でも厳冬の時期は控えた方がよいです。針金をかける際の注意点として、ブナの若木は成長が早く枝なども早く太くなってしまうので、枝などにかけた針金も食い込みやすくなります。そのため、針金をかけてから2~3ヶ月位でかけた針金を外すようすること、針金の食い込みを防ぐことができます。しかしながら、針金かけの効果がなかった場合は、再度かけなおすことが大事です。

・管理
ブナの盆栽を育てるには、置き場所も大事なポイントです。他の盆栽と同じように風通しが良く、陽当たりの良いところに置くと良いです。陽当たりが良いと病害虫の発生を防くだけでなく、ブナの幹肌も美しくなります。しかしながら、真夏の時期は日光による葉焼きを防ぐため、西日が当たらないように注意し、半日陰で管理することが大事です。また、秋の終りから春が来るまでの間は、ブナの盆栽の鉢と土の表層が凍らないようなところで管理することが大事です。ブナは比較的寒さには強いので、ブナの小品盆栽以外は屋外に置いても大丈夫です。

ブナは水が好きな樹木なので、特に新芽ができる時期や真夏の暑い日は水やりを忘れずに頻繁に行います。また、夏の水やりは水切れなどを防ぐために日中は遮光ネット利用しますが、夜は夜露を与えると良いのでこの遮光ネットは外します。この時期に水が不足すると葉が巻いてしまうので、水はたっぷり与えることが大事です。特に新芽が出る頃や真夏の暑い日などに葉が巻いている場合は、水不足のサインです。しかしながら、水をたっぷり与えているのに葉が巻いている場合は根腐れの可能性があります。普段の水やりは一日1~2回位ですが、夏は1日2~3回位(暑い日は1日に4回位)です。冬は2~3日に1回位が良いですが、土の表層の乾き具合によって水やりは調整が必要です。ブナの盆栽の水やりは、樹木の根元や土の表層だけでなく、特に新芽や新緑の頃は、葉に水を与える「葉水やり」も大事な水やり作業です。

ブナの盆栽に肥糧を与える時際は、“与え過ぎ”に注意が必要です。あまり肥糧を与えてしまうと枝の伸びが早く樹形が乱れてくるので、控えめに与えます。肥糧を与える時期として、新芽が開いた5月から6月頃と秋の9月から10月頃に固形の油かすなどの肥糧を与えます。園芸店などで購入できる液肥も同じ効果があります。

病害虫対策として、春の終りから梅雨に入る前に一度アブラムシ駆除をします。夏になると幹や枝に穴をあけ樹木を枯らしてしまうカミキリムシの食害が発生するので、見つけたらノズルの長いスプレータイプの殺虫剤を利用すると簡単に駆除できます。

ブナの剪定

ブナの盆栽の剪定は、休眠期である2月から3月、そして成長期である5月から6月の2つの時期に徒長した枝を切り、樹形を整えます。ブナは紅葉が終わった冬でも葉が付いているので休眠期に行う剪定では、忌み枝を切るぐらいが理想です。春には古い葉の元の部分より新芽が出てくるので盆栽全体の剪定は、春の新芽が出る前に行った方がしやすいです。

成長期の春から伸び出した枝が3~4節になったら、2~3節残して切り戻しの剪定をします。元気な枝は剪定しても伸びてくるので、一度剪定して枝数を増やすことも可能です。もし、この時期に盆栽の剪定の仕方を失敗しても、ブナは6月ごろに2回目の芽吹きがあるので、大丈夫です。その後、今年伸びた枝が少し残っていれば3回目の芽吹きも期待でき、枝も多くなります。その増えた枝を冬の休眠期に剪定し、数年かけて自分好みの盆栽の樹形をつくることができます。

剪定をする際の注意点として、ブナは雑木類の盆栽なので枝が伸びやすいですが、あまり長く枝を切り詰める剪定は枝枯れを引き起こすことがあるので、できるだけ枝の先端を伸びた分だけ切り戻しをして、控えめな剪定を心がけることが大事です。また、ブナの樹性の特徴として、剪定によって盆栽の樹高はある程度抑えることができますが、幹は削ることができず太いままなので、全体的なバランスを考えながら剪定することも大事です。さらに、ブナの枝や幹を切ると細菌の感染によって腐りやすいので、太い枝などを切った後は、必ず癒合材を塗ることを忘れずに行います。

まとめ

四季折々の美しさを楽しむことができるブナの盆栽は、ブナの樹性を知ることで育て方や剪定の仕方も楽しみながら気軽に作業をすることができます。また、ブナは多少剪定を失敗しても挽回できるので安心して剪定をすることができます。

ブナの盆栽鉢は育てたり剪定したりしながら盆栽鉢の中で、高山のブナ林や森の再現を楽しむことができます。
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