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真柏の盆栽、寒い時期の植え替えはNG? 初心者が楽しみながら育てるコツ

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真柏の盆栽は芸術性が高い松柏盆栽の仲間なので、盆栽初心者が育てたり管理をしたりすることは難しそうに思われますが、初心者でも楽しむことができる盆栽です。

真柏はどんな盆栽ですか?

「真柏の盆栽」は、名前が「松柏盆栽」に似ているので、盆栽初心者にとって区別がしにくいですが、紅葉や松の盆栽などと同じ「松柏盆栽」の仲間です。

盆栽で「真柏」と呼ばれている樹木は、「ミヤマビャクシン」と呼ばれているヒノキ科の植物です。英語名は、Chinese Junuiperです。生け垣に使われているカイズカイブキは、同じ仲間です。盆栽に仕立てられている真柏は、ミヤマビシャクシンの変種を「真柏」と称しています。

真柏は、北はサハリンから南は屋久島までの海岸沿いにある岸壁、標高が高い山、そして山岳地帯の痩せた土地などに自生しています。これらの自生している一帯で雨風や積雪によって長い歳月を得て枝や幹の部分が枝枯れして白骨化をしたような樹木になっているものが多いです。しかし、真柏は、白骨化していないわずかな「水揚幹」から水を吸い込み葉や枝が育っているので、丈夫で強い樹木です。白骨化して枯れて朽ち果ててしまった真柏の枝の部分は「ジン」、幹枯れをした部分は「シャリ」と呼ばれています。真柏の盆栽には、これらのジンやシャリの部分が見られるので樹形作りを楽しむことができるため、盆栽愛好家の間で人気がある樹種です。

真柏は樹皮が薄くて滑らかで赤褐色のものと樹皮が厚く灰褐色をしているものの2種があります。これら2種の真柏は、樹木として主だった相違点はないですが、葉性に「金性」と「銀性」のタイプがあります。金性の葉の特徴は、葉が細かくて密生している点です。特に冬の寒い時期や発芽し始める頃は淡黄色をしています。逆に銀性の葉は、太くて疎生して緑色している葉先が垂れて下がっているものが多いです。真柏の盆栽には、金性のタイプが多く使われています。

真柏の代表的な産地は、新潟県の糸魚川と愛媛県の石鎚山が有名です。これらの産地では、一昔前までは良い真柏が自生していました。しかし、高い断崖絶壁での採取は危険を伴ったり、山取りは乱獲を招いてしまったりしたので、今日盆栽店などで販売されている真柏は、挿し木で培養されたものがほとんどです。

初心者でも楽しみながら出来る日頃の管理

真柏の盆栽を盆栽初心者が植え替えをしたり整姿をしたりすることは、難しそうに思われてしまいますが、他の樹種の盆栽と基本は同じなので、初心者でも楽しみながら出来る作業です。

* 初心者におすすめの春の植え替え

真柏の盆栽は、2月初旬、あるいは10月中旬ごろの寒い時期に植え替えをすることが良いと言われていますが、盆栽初心者が初めて植え替えをする場合は、3月のお彼岸頃の植え替えがおすすめです。

この時期に植え替えがおすすめの理由として、多湿を好む真柏を空気が乾燥している寒い時期に植え替えをすると、後の管理が初心者には難しいので、枯らしてしまうこともあります。

真柏の盆栽が若木の場合は2年に1回位、成木の場合は4年前後に1回位の割合で植え替えを行います。若木の植え替えでは根株の周りの古土を半分位、成木では3割位落とし、出来るだけ細くて細かい根は残し、鉢の周りに伸びている太い「走り根」を伸びすぎた分だけ切り詰めます。また、新しく別の盆栽鉢に植え付けをする場合は、その鉢の大きさに合わせて、根をほぐして切り詰めます。特に深さの浅い盆栽鉢に植え付けをする際は、全体の高さも考慮して、根を切り詰めます。

植え替えに使う用土は、赤玉と天神川砂を8:2の割合で混ぜたものを使います。「天神川砂」が無い場合は、「矢作川砂」、あるいは一般に市販されている盆栽用の川砂を代用しても大丈夫です。「天神川砂」は、兵庫県の天神川で取れた川砂です。また、「矢作川砂」は、愛知県の矢作川で取れた川砂です。

植え替えが終わった直後は樹木が弱っているので日陰に置いて1週間から10日位したら、空気が綺麗で風通しと陽当たりの良い場所で管理をします。また、真柏は水を大変好む樹木なので、表土が7~8割程度乾いたら十分に水を与えます。その際、こまめに葉水を与えると生育が良くなります。

真柏は病害虫に比較的強いですが、マラソンの乳剤を定期散布したり、石灰硫黄合剤を12月の終わり頃に散布したりすると良いです。

真柏の施肥は、春と秋に行います。春の施肥は新芽が出て来る3月から6月の梅雨入り前まで、そして秋の施肥は9月から11月の初め頃までです。与える肥料は油粕の玉肥あるいは水肥が良いです。

真柏の盆栽を管理する上で注意が必要なことは、真柏は酸性を嫌う樹木なので7月になって梅雨が明けたら「灰澄液」(灰水)を与えて鉢の中の土性を中和することを忘れずに行うことです。

* 初心者でも楽しみながら出来る3つの整姿作業

真柏の盆栽の主な整姿作業は、芽摘み、針金掛け、そして枝抜きの3つです。これら3つの作業は、盆栽経験があまりない初心者でも楽しみながら出来る作業なので、気軽にチャレンジすることができます。

真柏の芽摘みは、新芽が伸び出す5月から10月の間に伸び出してくる新芽を絶えず摘み取る作業です。芽摘みをする真柏の新芽は、枝先から飛び出ている芽の芯を指先で引き抜くようにして摘み取ります。新芽の芯を摘む作業を「ハサミ」を使って行うと枝が枯れてしまうことがあるので、根気よく「指先」を使って芽摘みをします。

針金掛けをする適期は、2月の節分頃から3月の初めの寒い時期に行います。

枝抜きは、3月のお彼岸頃に行います。植え替えをする年は一緒に行うと良いです。盆栽初心者が初めて真柏の枝抜きをする場合は、事前に作りたい樹形を決めたり、全体的に枝抜きしたい箇所を決めたりしてから始めることが大事です。真柏の枝抜きは一度にすべての枝を抜かないで、最初の枝抜きでは全体の半分位を目安に行います。そして翌年の枝抜き作業で残りの枝を抜くようにします。枝抜き作業は枝を切り詰めるので、樹木に負担がかかる作業なので、2年位かけて行います。一度に沢山の枝抜きをしてしまうと、真柏の葉が葉替わりして杉葉が出てしまう要因になってしまいます。

増やす楽しみ方

真柏の盆栽の管理に少し慣れてきたら、真柏の盆栽を増やしてみることも楽しみの一つです。真柏の増やし方は挿し木で増やします。真柏の挿し木は、初心者でも簡単にできる作業です。

真柏の挿し木をする適期は、春先、あるいは梅雨の時期が適しているので、6月の梅雨入りから7月の梅雨明け前までの間に行います。春に伸び出した真柏の新しい葉が出ている太い枝やユニークな形をしている枝などを切って挿し木をします。

挿し木の仕方は、深めの挿し木箱やトロ箱の中に細粒の鹿沼土を敷き詰めて、その中に挿し木をします。深めの挿し木箱の中に鹿沼土を入れると保湿効果があるので、挿し穂の活着も良いです。鹿沼土の細粒タイプを使うと細かい根が出やすくなります。また、小粒タイプを使うと発根しやすいです。

真柏の盆栽は松と並んで松柏類盆栽の代表なので、盆栽初心者が育てたりすることは難しそうに思われますが、初心者でも楽しみながら育てることができる盆栽です。また、真柏は、樹木が比較的丈夫で挿し木で増やすこともできるので、楽しみながら育ててみませんか。
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