盆栽

初心者が覚えておくと役立つ盆栽の用土6選

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初心者が盆栽を始める際に覚えておくと役立つ盆栽の主な用土は、6種あります。

初心者が盆栽を上手に育てて楽しむためには、盆樹に適した用土の吟味から始めることがポイントです。また、同時にそれぞれの用土の特徴も覚えておくと、盆栽作りに役立ちます。

用土の吟味が必要な理由

初心者にとって、用土の吟味が必要な理由は5つあります。

最初の理由は、樹に適した用土を使わないと、樹の生育が悪くなったり、枯らしてしまったりすることがあることです。盆栽を始めたばかりの初心者は、盆栽に使う土はどれも同じと思い、あまり吟味しないで身近な所にある庭などの土を使用してしまうことがあります。その結果、樹木の生育が悪くなって枯れてしまうことがあるので、盆栽を始める際は、盆樹に適した土を選んで使用することがおすすめです

2つ目は、生育が良く丈夫な盆栽に育てるためには、排水性の良い用土を使うことです。身近にある庭や畑などの土を使うと排水性が悪くなってしまい、樹の生育も悪くなってしまいます。しかし、樹に適した排水性の良い用土を使って育てると、生育が良く丈夫な盆栽に生長していきます。

3つ目は盆栽の樹に適した肥料成分を“含んでいない”用土を選ぶことです。盆樹は鉢の中だけに根を張って生長するので、樹に適した用土選びによって、樹の生長も左右されます。盆栽は用土を使って樹を植えて発根させ、やがて肥料を与えます。そのため盆栽に使う用土には、肥料成分が含まれていないものを選ぶことが大事です。

4つ目は、盆栽に適した用土は地域によって異なるので全国一律ではないことです。用土については日本全国みな同じではなく、地域によって異なることを把握しておくことです。地域によっては、同じ樹でも現地から産出される土を使わないと生育が悪くなって枯れてしまう樹種もあります。

5つ目は、用土の保水性と排水性のバランスが良いことです。盆栽づくりに専念できる初心者は、盆栽の水かけをする時間も沢山あるので、保水性がなくても排水性が良ければ十分に水かけをしても大丈夫です。しかし、働きながら盆栽を育てる初心者は、あまり水やりをすることが出来ないので、排水性があり、同時に保水性のある用土を使って盆栽を育てると、大丈夫です。

多くの樹種に使われている用土2種

盆栽作りで使われている用土の中で多くの樹種につかわれている用土は、「赤玉土」と「鹿沼土」の2種です。これらの2種の用土は、単独、あるいは他の用土と混ぜて、使われます。

* 「赤玉土」
「赤玉土」は、盆栽だけでなく、ガーデニングで育てている様々な草花や樹木にも使われている用土です。赤玉土は赤レンガを少し薄くしたような茶褐色をしています。市販されている赤玉土は、大粒、中粒、小粒の3種類があります。盆栽に適した赤玉土は、一般の赤玉土より「硬質」タイプの方が土の粒がつぶれにくく、保水性と排水性に優れているため、一層適しています。また、赤玉土は、暑さや寒さの影響をあまり受けないので、盆栽の用土として良く使われています。

赤玉土は、関東ローム層一帯に分布していますが、良質のものは丘陵地帯に分布しています。特徴として、粒の内部が海綿状になっているので隙間があるので施肥した肥料はその隙間に入って留まることができるため、肥料効果が長く期待できます。

* 「鹿沼土」
「鹿沼土」は、栃木県鹿沼市で産出されている淡黄色の土です。産出されている地名に由来して、「鹿沼土」と呼ばれています。

鹿沼土も赤玉土と同じように大粒、中粒、小粒の3タイプが市販されていますが、粒が壊れにくく排水性に優れている硬質タイプのものが盆栽にはおすすめです。

特徴として、鹿沼土は、軽くて柔らかく乾燥していると淡黄色の粒状になっていますが、水をかけると黄褐色に変わります。鹿沼土は、排水性だけでなく保水性も良いので、サツキの盆栽作りには欠かすことが出来ない用土です。

主流の用土と混ぜて使う用土4種

赤玉土や鹿沼土などと一緒に混ぜて使う主な用土には、「黒土」、「荒木田土」、「砂土」、「ケト土」の4種があります。

* 「黒土」
「黒土」は、関東地方の畑の下の方に体積している黒色をした土です。黒土は、吸肥力と保水力に優れています。さらに黒土は、太陽熱の吸収力も良いので盆栽鉢に黒土を入れると暖かくなるため、樹の生育も旺盛になります。しかしながら、近年黒土の生産量は、減少傾向です。

黒土は、赤玉土と混ぜて雑木類の盆栽作りに使うと、樹の枝先に細くて細かい枝が沢山増えてきます。また、単独で盆栽の化粧土として使用すると、土の黒色に落ち着きが出てくるので、黒土は主流の土と混ぜたり、あるいは単独で使ったりするともできる用土です。

* 「荒木田土」
「荒木田土」は、主にスイレンやハスなどの水性植物の培養に使われている用土ですが、盆栽には赤玉土と混ぜて使われています。また、荒木田土の用途は、盆栽や水生植物の用土だけでなく、壁土としても使われています。

荒木田土は関東地方にある荒川生田地域から産出されているので、産地の名前が付けられています。荒木田土は、田んぼの底から産出されている土なので保水性だけでなく、粘りと重みがあります。菖蒲、柳、ザクロなどの盆栽作りには、赤玉土を混ぜた荒木田土が適しています。

* 「ケト土」
「ケト土」は初心者にとって、あまり聞き慣れない土の名前です。黒褐色をしているケイ土は、粘り気が強いです。ケイ土は、乾燥してしまうと使うことが出来ないので、常に容器やビニール袋の中に入れて、地面の中で保存します。

ケト土は、長い歳月をかけて古代の湿地や沼地で自生していた水草のヨシやアシなどが枯れて蓄積されて腐熟した土です。ケト土は、漢字では、「化土」と書きますが、背景には水草などが土化した意味が含まれています。

盆栽づくりでケト土は、主に石付けの盆栽や挿し木の培養に使われます。ケイ土は、良くほぐしてから赤玉土と混ぜて水を加え、そして良く練ってから使います。

* 「砂類」
盆栽に使われている主な「砂類」は、群馬県の「桐生砂」、長野県と群馬県の県境周辺の「浅間砂」、愛知県の「矢作川砂」、兵庫県の「天神川砂」などの4種です。

これら4種の中でも「桐生砂」は、比較的知名度が高いです。桐生砂は、公園の砂場の土よりやや灰黄色しています。粒が硬いので、土より石のような土です。桐生砂は、赤玉土と混ぜて五葉松などはじめ松柏類の盆栽づくりに多く使われています。

「浅間砂」は、多孔質の火山灰の一種である軽石が砂になった土です。保水性に優れています。盆栽には、少量を混ぜて使います。

「矢作川砂」は崩壊した花崗岩からできている灰白色をした硬質の砂です。種木の培養などに使われる砂です。

「天神川砂」は、昔から西日本地方の松柏類の盆栽づくりに欠かすことができない土です。今日、天神川砂は入手することが難しいので「幻の砂」とも呼ばれているので、水盤に水石を飾る際は代用砂として、関西の生駒山砂や木津川砂などが使われています。天神川砂は、花崗岩が風化して崩れてできた硬質な川砂です。

盆栽作りで最も大事なことは、盆樹に適した用土選びです。初心者は、樹種や鉢などに注目をしてしまいますが盆栽は「生き物」なので、樹種に適した用土を使って盆栽作りを楽しむことが大事です。
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