盆栽

初心者におすすめの盆栽の増やし方

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初心者が盆栽を増やす場合は、出来上がっている盆栽を購入した方が簡単です。しかし、自分で種を蒔いたり苗木を使ったりして種木から盆栽に仕立てて増やす方が、その過程も楽しむことができるので、初心者におすすめです。

初心者が自分で盆栽の種木を育てて増やす場合、おすすめの方法は4つあります。一方、あまりおすすめできない方法もあります。また、市販されている苗木を購入する際は、ポイントがあります。

初心者におすすめの4つの種木の増やし方

初心者におすすめの種木の増や方は、「山取り」、「実生」、「挿し木」、「取り木」の4つです。

* 盆栽に仕立てやすい「山取り」
山取りは、険しい山間部で自生している原木や古木を種木として使うために根株ごと採取する方法です。松柏類、雑木類、ウメモドキ、野ばらや野ボケなどの盆栽の種木を増やす場合は、山取りがおすすめです。

自然の中で自生している原木や古木は野趣があるので、自然の美しさや雅味のある種木を採取することができます。また、山取りの原木や古木の多くは、既に盆栽としての樹形が出来ているので、良い種木として早く盆栽に仕立てて鑑賞することができます。苗木として使いやすい原木は、種から育った「山実生」の10年位のものが育てやすいです。

もし、山間部に自生している原木や古木が採取できる場合は、春のお彼岸後から4月中旬頃、まだ残雪がある場所は5月中旬から6月の梅雨入り前までが適期です。雑木類は紅葉が始まる10月頃から11月中旬頃までが適期ですが植付けをした後は、冬の防寒対策が必要です。

また、山間部に近い地域に住んでいる場合は、近くの野山に自生している原木を採取したものを種木として盆栽に仕立てることも出来ます。野山や山間部には色々な樹種の原木がありますが、自分の好きな樹種で育てやすい原木を選んで育ててみることです。

しかしながら昨今の自然保護の観点から勝手に原木や古木の採取は禁じられている場所が多いです。特に盆栽に向いている原木などが自生している地域は、植物採取が禁じられている自然保護区域や国立公園内です。また、私有地での採取は地主の許可が必要なので「山取り」をする場合、ルール厳守が盆栽愛好家のマナーとして必要です。

* 初心者に一番おすすめの「実生」
「実生」は、種を蒔いて盆栽の種木を育てるので、多くの樹種の盆栽の種木を増やすことができる方法です。また、種を蒔いて苗木を育てて種木を作るので、初心者でも簡単にできるおすすめです。種蒔きから盆栽の種木まで育てる体験をすると、盆栽に仕立てる樹に対する親しみや思い入れも深くなります。

実生は、必要な苗木の本数に応じて種を蒔いたり、樹種の種も簡単に購入したりすることができます。また、実生によって種木を増やす場合、殆どの樹種は、春の彼岸頃に種蒔きをしますが、樹種によっては秋蒔きの方が発芽率の良いものもあります。種蒔きをする際は、前日に一晩種を水に浸けて沈んだ種を使用します。

* 広く利用されている「挿し木」
挿し木は、盆栽だけでなく他の植物でも広く使われている種木の増やし方です。一般的に挿し木は、枝だけでなく、葉、芽、根などを使って挿し木が行われますが、盆栽では、枝を使います。

挿し木は、樹種によっても異なりますが、根の発根率が9割以上なので、初心者でも簡単に盆栽の苗木を増やすことができる方法です。また、挿し木は親木と同じ性質を受け継いでいるので、期待通りの種木を育てることができます。

「さし穂」は、樹木の枝の中で陽当たりが良い部分から伸び出している勢いのある若枝の頭部を使う、苗木から良い種木に生長して行きます。挿し木は、春、梅雨、秋の3つの適期がありますが、樹種によって異なります。「春ざし」のさし穂は、春のお彼岸前後に1~2年前の成熟している枝をさし穂として使います。「梅雨ざし」は、5月の終わりから6月の終わりまでに春に伸び出した芽が木化した部分に新しい枝が少し付いたものを使って行います。「秋ざし」は、9月のお彼岸前後が適しています。

* 短期間で出来る「取り木」
取り木は、良い格好をしている盆栽や庭木の樹の部分を使って種木を創る方法です。取り木をした「親木」は、枝ぶりや幹の良い部分を取り木として取って種木を作るので、取り木をした親木は、犠牲にしても良いものを選びます。そのため初心者が取り木の方法で種木を作る場合は、ある程度盆栽の技術や価値が分かってから行うことが大事です。

挿し木で種木を増やすことができる樹種の多くは取り木ができますが、カエデや紅葉の仲間であるセイゲンやチシオ等は出来ないです。また、取り木は、太い幹や枝の部分を使っても3カ月足らずで発根をするので、取り木を使った種木でも短期間に盆栽として観賞することができます。取り木は、樹の活動が活発な期間中が適期です。

初心者が取り木の方法を覚えておくと、樹形が悪くなってしまった盆栽でも良い樹形に治すことが可能になります。

あまりすすめられない盆栽の接木

盆栽をもう一鉢増やしたい場合は種木を作って増やしますが、樹にもう一枝増やしたい場合は、「接ぎ木」があります。接木は、実生や挿し木で増やすことが難しい樹種にもう一枝増やしたい場合に使われる方法です。

盆樹の接木は、春先や初夏が一般的に適期とされています。また、「元接ぎ」、「天接ぎ」、「呼び接ぎ」は、春先、「芽接ぎ」は梅雨明けから秋のお彼岸前までが適期です。

しかしながら接ぎ木で枝を増やしても痕跡が残らないようにするためには、高度な技術が必用なので、せっかく接ぎ木をしても「接物」(せつもの)の盆栽として評価されないこともあります。そのため一般の庭木などの接ぎ木は良いですが、盆樹の接木は、あまりおすすめできない方法です。

苗木を購入する際のポイント

初心者が盆栽を増やしたい場合は、盆栽店や園芸店などで購入した苗木を種木として育てて増やす方法は簡単ですが苗木を購入する際のポインとは、「時期」と「選び方」です。

* 異なる「購入時期」
盆栽の苗木を購入する際は、樹種によって「購入時期」が異なるので、注意が必用です。

松などの松柏類盆栽の苗木の購入は、秋のお彼岸が終わった9月末がおすすめです。この時期になると葉がしっかりと固まっています。紅葉や楓などの雑木類盆栽は、春に出てきた新芽の葉が固まってくる初夏頃や落葉後の寒樹の時期がおすすめです。

* 苗木選び
市販されている苗木は、「実生」、「挿し木」、「接ぎ木」、「取り木」のいずれかの方法で盆栽の種木専門家によって4~5年位育てられたものが多いです。

盆栽の種木にするための苗木選びは、自分の好みの樹種や樹形のものを選ぶことが基本ですが、将来盆栽として仕立てることができる「筋のよいもの」を選ぶことが大事です。

また、ほとんどの苗木は良いものが多いので、良い種木として盆栽に仕立てて増やすことが出来ますが、中には根詰まりをしているものもあるので、初心者はお店の販売員に尋ねてから購入すると、失敗することも少ないです。また、同時に購入する苗木や種木の育て方なども詳しくお店の関係者に教えてもらうことも良い種木づくりのポイントです。

初心者が盆栽を増やす場合、市販されている盆栽をもう一鉢購入して育てることも楽しいですが、自分で種木から増やすことも楽しいです。
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