日本史

鎌倉時代に北条政子が建立 伊豆最古の木造建築「指月殿」の歴史と魅力

関連キーワード

修善寺と桂川を挟んで相対する鹿山の麓に「指月殿」という建築物があります。指月殿は伊豆最古の木造建築とされる古い建物で、その歴史は鎌倉時代から続いていると言われています。今回はそんな指月殿の歴史や見どころを紹介していきましょう。

二代将軍源頼家を弔うために、母・北条政子が建立

指月殿は北条氏によって修善寺温泉に幽閉され、翌年に入浴中に暗殺された鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を弔うために、母・政子が建立した建築物です。源頼朝亡き後、征夷大将軍についた頼家は、母方の親族である北条氏の権力を抑え、妻の実家である比企氏を重宝する政治を引くようになります。
1203年に頼家が急病で危篤に陥ると、頼家の子である一幡と弟である実朝とで家督争いが勃発し、それに反発した比企能員が北条氏勃発を企てますが、逆に滅ぼされてしまう結果に。その後、病から回復した頼家は母・政子から将軍職をはく奪され、修善寺温泉へと幽閉されたことで、実朝が3代将軍へと就くと、頼家は北条時政により修善寺温泉に入浴中に暗殺されてします。享年23というの若さでこの世を去ることとなりました。

指月殿の境内には、今も源頼家のお墓と、頼家に仕えた十三士のお墓があります。

「ギドベール」で二つ星にも輝いた風格あるお堂

指月殿の堂内の中央部には、「禅宗式」という珍しい様式の丈六釈迦如来座像が本尊として安置されています。通常、持ち物はないはずの釈迦如来像が右手に蓮を持っていることから、大変珍しい座像とされており、静岡県の指定文化財にも選定されています。また、本尊の両側には、二体の仁王像が安置されていますが、この仁王像は本尊よりも古い藤原時代の作だと言われています。この大変貴重な3体の像は、昭和57年(1982)に2年間という歳月をかけて修復が行われたそうです。現在、二体の仁王像は元の修禅寺山門に150年ぶりに安置されました。

また、指月殿はミシュラン社が発行するガイドブックである「ギドベール」にて、二つ星に輝いたこともあります。指月殿のお堂は、ただ古めかしいだけでなく、今までの長い歴史を感じさせるような風格ある建物です。歴史云々はさておき、修善寺温泉の周辺を散策するついでにぶらっと立ち寄るだけでも、温泉街の賑わいとは違った空気を感じさせてくれることでしょう。

湯上りにぶらりと散策もオススメ

修善寺温泉には「伊豆の小京都」の愛称にふさわしい、竹林の小径や風情あるお寺も多々点在していますが、ぜひ少し歩いて指月殿にも足を運んでみてください。指月殿は桂川にかかる「虎渓橋」を渡って、石畳の坂道と階段を登った先にあります。湯上りにぶらりと散策するのもおすすめですよ。ぜひチェックしてみてください。


指月殿
住所:静岡県伊豆市修善寺
電話:0558-72-2501(伊豆市観光協会)
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ