菊の種類をあらためて学んでみませんか？

菊の歴史は古く、実に多くの種類が開発されています。花弁の形によって大きく分けられますので、まず花弁の形状から見ていきましょう。菊花展などに行くと様々な花弁の形の菊を見ることができますよね。また、菊には大きな花から小さな花を咲かせるものまでバラエティに富んでいるのも魅力の一つです。

「大菊」と呼ばれる種類では、一つの枝に一輪の大きな菊の花が咲きます。厚物（あつもの）と呼ばれるものは、花弁が幾重にも鱗のように上に積み重なり、厚みがある花を咲かせるのが特徴です。花がこんもりと半球状になって咲きます。大掴み（おおつかみ）などと言われるものもあり、こんもりした花の上部が掴まれたように巻いた状態で大きな花を咲かせます。

管物（くだもの）とは、花弁の全てが細い中空の管状で咲きます。細い針のような花弁が放射線状にたくさん広がって咲きますので繊細な感じもする菊です。太管から針管まで管状の花びらの細さによって種類があります。針管の場合、まさに針のように1mm程度の細い管状の花びらが特徴です。

また、広物（ひろもの）と呼ばれる種類は、花弁が平たく一重になって咲きます。「一文字菊（いちもんじぎく）」などがあり、古典菊の「美濃菊（みのぎく）」などもこの種類です。岐阜県の美濃地方で改良されていて、幅広い平弁が特徴です。

こんもりとした状態で咲く「厚物」、細い管状の花弁の「管物」、そして花弁が平たく一重の「広物」とそれぞれに異なる雰囲気の魅力を発します。

そして、花の大きさによっても「中菊」「小菊」などがあり、小菊は1～3cmの花となるため、印象が全く異なる可愛いイメージです。

中菊の中には、江戸時代からの歴史を持つ「古典菊」もたくさんあって実にまた個性的です。例えば、江戸でとても多くの人に愛された「江戸菊」は、「古典菊」として中心的な存在の品種です。「江戸菊」の特徴としては、秋だけでなく狂い咲きで違う時期に咲くことも多いことが知られています。

また、花弁の形が咲き始めと終わりでは異なる形になるためとても珍しがられています。咲き始めてから日数が経っていくと、花弁がねじれて内側の方に丸まっていき、丸く渦を巻いたような形に変化します。これが変わっているので「狂い菊」や「芸菊」などと呼ばれる面白い特徴を持っています。

江戸（東京）の「江戸菊」、肥後（熊本）の「肥後菊」、嵯峨野（京都）の「嵯峨菊」が日本三大名菊として歴史を誇っている菊です。「肥後菊」は、一重の花びらがたくさんと広がる可憐で素朴な魅力を持っています。

「嵯峨菊」は、細長い線のような一重の花びらを直立した形で咲かせ、草丈が高いのも特徴です。2ｍもあるような高さまで育てることができます。嵯峨天皇が御殿の上から眺めてちょうどいい高さになるように高く育てられたとも言われている姿がとても変わっています。

「狂い菊」と呼ばれる「江戸菊」と合わせて、「肥後菊」「嵯峨菊」とどれも多くの人を魅了した個性を持っていると言えます。

また、それ以外にも大輪の「松坂菊」、中輪の「伊勢菊」は、花弁が縮れていて、糸のように垂れ下がるのがとても個性的です。「伊勢菊」の中の「桜吹雪」は、ピンクで花弁が吹雪のように垂れるように咲きます。また、「松坂菊」の中の「みだれ髪」などは、長い花弁を下に垂らして本当に乱れ髪のような不思議な姿を見せます。

古典菊「巴錦」もまた特徴的です。花びらの外側と内側で色が異なり、とても豪華に見える菊です。花びらの内側は濃い紅色をしていて、外側は黄色でともにはっきりした色となっていてまさに華やかな「古典菊」となっています。

これらの個性的な「古典菊」を見ていると、その独特な姿を自分でも育てて楽しんでみたくなります。趣味で菊を育て、「古典菊」をたくさん作っている人もいますが、本式の鑑賞用の菊作りをするのは難しいとも言われています。高さを整えるなど大変な面もあるでしょう。自分で楽しめるようなサイズで菊作りをしてみるのもいい方法ですよね。

最近では、「洋菊」と呼ばれる欧米で開発された菊もたくさんあって、カラフルな花色も揃っている菊です。
日本ならではの落ち着いた雰囲気のある「古典菊」なども楽しみながら、それぞれの魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。
これだけの種類があって、それぞれに雰囲気が異なる花もあまりないでしょう。菊のいろいろな花の姿を見て、自分の好きな菊を見つけてみてはいかがでしょうか。