ガーデニング

菊の花は仏花の思い込みはもう古い「マム」を楽しむ

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の花」というとお仏壇に供える花「仏花」のイメージが強く、独特の匂いが嫌いという人も多くあります。

和のイメージが強いことから、ご年配の愛好家が楽しむ花であって、ブーケやアレンジメントに向かない花として、贈り物に用いることも敬遠されていました。

19世紀後半、鎖国の終わりとともにアメリカやヨーロッパに日本のが持ち出され、品種改良され、日本に里帰りしてきたの花「洋」「マム」の登場により、これまでのの花イメージと大きくかけ離れた花姿に注目が集まっています。

庭植えにも向いて、パステルカラーの可愛らしい魅力的な色合いで、これまでの和とは全く違うポップな印象なので、アレンジメントに花束に、活用の幅が広がっています。

菊の英名学名がクリサンセマムだからマム

の花は古くから親しまれているので、日本原産のものと思いがちですが、中国原産の植物です。
の原産地は、中国の黄河流域で、約3000年前にはすでに栽培記録が残っています。
は奈良時代に遣唐使によって伝えられ、薬用として持ち込まれましたが、の花の美しさから観賞用として栽培されるようになりました。

もともと貴族が楽しむために栽培されていましたが、江戸時代には、の花の品評会「合わせ」や「人形」が生まれ、庶民の間にも栽培が広がり、品種改良も飛躍的に進みました。
様々な色合いや大輪のもの、花びらの造形のちがうものといった、多種多様なの花が競って生み出されていきました。

中国のは18世紀にはヨーロッパに渡っていましたが、あまり人気がないままでした。
19世紀末に日本にあった和が持ち込まれたのを機にブームを巻き起こりました。
は、の英名・学名が「Chrusanthemum(クリサンセマム)」なので、略して「マム」と呼ばれて流通しています。

現在マムは、によく似た雰囲気の新しい花として、の花とは認識されずに、アレンジメントやブーケの材料としても、庭植えに鉢植えに身近に楽しむ花としても人気がでてきています。

ピンポンマムとポンポンマム

ピンポン玉のように裏側までまん丸いの花が「ピンポンマム」で、オランダで品種改良された品種です。
同じようにまん丸いの花に「ポンポンマム」があり、ピンポンマムによく似ていますが、ポンポンマムは完全な球体ではなく、裏の方までは丸くなっていません。
ポンポンマムは、アメリカで品種改良された品種です。

ピンポンマムもポンポンマムも、コロコロとした可愛らしい形状が、アレンジメントやブーケに引っ張りだこになっています。

ピンポンマムもポンポンマムも、名前も形もよく似ているので、混同されて流通していることもあります。
ピンポン玉により近い花のほうがピンポンマムと覚えておけば良いでしょう。

スプレーマムとポットマム・ガーデンマム

枝の先端が枝分かれしていて花をたくさん咲かせる「房咲き」のものを「スプレー咲き」といいます。
スプレーマムは、パリ万博で紹介された日本のがヨーロッパで大ブームとなり、日本のを元に、その後、オランダ・イギリスなどで品種改良された、ガーデニングに向いたの花です。

鉢植え(ポット)で育てるマムを「ポットマム」「ガーデンマム」といいますが、品種名ではなく、ガーデニングに向いたマムの総称です。
庭に植えても、ポットマムと呼んでも問題ありません。

を育てている」というと、年配の方の趣味と思われがちですが、デイジーなどの茂みと変わらないこんもりとした可愛らしい花姿で、-5℃くらいまでは耐えられることもあり、丈夫で育てやすくなっています。

マムは花形も花色も豊富な種類がある

の花は、和も花形にも花色にも豊富な種類がありますが、和風の落ち着いた雰囲気の花色と花形を持っています。
それらの和を元に品種改良された洋もまた、豊富な花形ものがあり、花色も豊富ですが、和にはないカラフルな花色を持っています。

一重の花の中心に、筒状になった花びらがアネモネのように盛り上がってぐるりと咲く「アネモネ咲き」「丁字咲き」、花びら一枚ずつがラッパのようになっていて先端が星型になっている「星咲き」など、これまでにない華やかな咲き方のマムがでてきています。

ポンポン咲きより一回り大きな「バルーンマム」、ダリアのようにいくつも折り重なった花びらが美しい「ダリアマム」、カーネーションを思わせる花びらに切れ込みが入った「カーネマム」など、新しいマムの品種の幅が広がっています。

の花は仏花」というイメージが強く、花色が白やえんじ色、黄色といったものしかないように思われがちですが、淡いピンク色などのキュートなパステルカラーもあります。
仏花にするには合わないほど花形のマムもあり、ウエディングブーケやアレンジメントにこそぴったりです。
の花は和風のものという固定概念を捨てて、ガーデニングに、ブーケやアレンジメントに活用幅が広がっています。
これまでの和の持つ育てにくさが、マムでは改良されているので、気軽にマム栽培をはじめてみるのもおすすめです。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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