あなたは知っていますか?個性的な屋根なのに実は仏教の建物!?

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古代インドを思わせる由緒ある寺院

江戸情緒が残る築地の街に、400年近い歴史をもつ由緒のある寺院があります。このお寺は浄土真宗のお寺ですが、古代インドの寺院のような異文化を感じさせるたたずまいをしています。
1617年(元和3)に京都西本願寺の別院として浅草横山町に創建されました。しかし、1657年(明暦3)の振袖火事(明暦の大火)で焼失したことで、当時八丁堀付近の海だったと推測されている場所への移転を強いられてしまいます。そこで、門徒たちが海をうずめて埋め立てて土地を築いたそうです。築地の地名の由来ですね。その後、いく度かの類焼を繰り返し、1923年(大正12)の関東大震災でまた焼失してしまいます。

現在の本堂へと再建されたのは、1934年(昭和9)のことでした。

特徴的なドーム屋根の屋根材は?

現在の築地本願寺本堂は、帝国(東京)大学工学部教授であった伊東忠太氏によって再建されました。この建築物は古代インド・イスラム仏教様式の寺院を模されているそうです。
鉄筋コンクリート造りの左右対称の建物で、地上2階建て・地下1階・間口87メートル・奥行き56メートル・高さ33メートルの異国情緒豊かな大建築です。特に目を引くのが銅板を屋根材としたカマボコ型のドーム屋根で、柔軟性があり薄く伸ばすことも可能な金属の特性が活されています。 コンクリートを主体とし、当時の最新技術を取り入れて建てられた美しい建物は、2014年には国の重要文化財にも指定されており、地元の人たちからは「本願寺さん」と呼ばれ、とても親しまれているお寺です。
正式名称を浄土真宗本願寺派本願寺築地別院と言います。

銅は江戸時代から日本の神社仏閣の屋根材として使われてきましたが、高価であるため、神社仏閣の屋根や城郭に使用されることが主だったようです。明治以降になると、金属加工技術が飛躍的に発達し自由な造形も可能となり、現代では、ガルバリウム鋼板など一般住宅にも使える、加工性が高く比較的安価な金属屋根材もでています。

京都の本山にも個性的なドーム屋根

浄土真宗本願寺派の本山である西本願寺の研修施設、「西本願寺伝道院」は、1912年(明治45)、築地本願寺の再建より22年も前に伊東忠太氏の設計で竣成した建物です。当初は真宗信徒向けの生命保険会社本社屋であり、本館・附属屋・倉庫・人力車置き場・トイレ・伝い廊下などのある大きな施設だったそうですが、のちに銀行や事務所などに転用され、現在は本館のみ、西本願寺関連の研究所となっています。
和の町並みの奥に見えるモダンな建物、赤レンガにイスラム風のドーム屋根が配された美しい造りのこの建物には、各所にさまざまな建築様式が取り入れられ、このドーム屋根にも銅板が使用されているということです。
西洋・東洋・和といった、世界の建築美を織り交ぜることにより日本の建築様式を追求したと言われている西本願寺伝道院も、2011年の大規模修復工事を経て、2014年に国の重要文化財に指定されました。

歴史に残る革新的な建造物の生みの親は?

これら歴史に残る革新的な建造物を設計した伊東忠太氏は、『法隆寺建築論』という論文で建築史学の礎を築いた建築家・建築史学者であり、帝国(東京)大学工学部の教授です。
主な建築物には、伝道院や築地本願寺のほかに平安神宮1895年 (明治28)・明治神宮1920年 (大正9)などがあり、1968年(昭和43)には文化勲章も受章されています。

日本を代表する建築家、伊東忠太氏の優美あふれる異国情緒の趣を味わいに、ぜひ一度、築地本願寺を参拝してみてください。

http://roofstyle.nisc-s.co.jp/article/20180727a.html
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