秋田県のパワースポットで神秘の力を！ たつ子像と浮木神社から大湯環状列石へ

日本で最も深い湖として知られる田沢湖は、それ自体が美しいということもありますが、周辺にも見ておくべき場所がいくつもあり、その一つとして挙げられるのがたつ子像です。
たつ子像はまだ田沢湖が田沢潟と呼ばれていた昔、この地域に住んでいた絶世の美女「辰子」の物語が基になっています。
美しさを永遠に保ちたいと願った辰子は観音に百日百夜の願いをかけます。
すると百日目の夜に「北の方角に湧いている泉の水を飲むことで願いが叶う」というお告げを受けます。
辰子はそのお告げを信じ、北の道をたどり泉を見つけます。
そして、その泉が枯れるまで水を飲み続けたのでした。
すると辰子はいつの間にか龍に姿を変え、田沢湖に身を投げてしまったとされています。

実はこの伝説には続きがあります。
男鹿半島に八郎潟を作って住んでいた八郎太郎という男も姿を龍へと変えていたのですが、その八郎太郎と辰子が恋人同士であったというものです。
八郎太郎が田沢湖に移って冬を過ごすので、主がいなくなった八郎潟は冬の間は凍り付き、田沢湖が冬でも凍らないのは、この2人が過ごしているためだと言われています。
冬の寒い時期にこの場所を訪れるなら、ぜひそれを実感してください。
この辰子という伝説の女性をイメージして昭和43年に建立されたのが「たつ子像」です。
絶世の美女だった辰子をかたどった像とあって、女性に特に御利益があるパワースポットとされており、美が授かると言われています。

たつ子像のすぐ近くには浮木（うきき）神社があります。
歩いてもわずかですので田沢湖を訪れた際には順に訪れると良いでしょう。
この神社は創建された時代こそ不明ながら、かなり昔から小さな祠が祀られていたとされています。
田沢湖には大きな浮木（流木）がいつも浮いており、それが波に揺られることで「龍」が泳いでいるように見えたとされています。
付近の人たちは神聖なものとして崇めていたのですが、ある時この浮木を引き寄せて一部を切り取って持ち帰った人がいました。
しかし、この人は間もなく病にかかって死んでしまい、その家も断絶してしまったのです。
そのため人々はこの浮木を祀って「浮木神社」として信仰したとされています。

江戸時代中期になると秋田藩士である「益戸滄洲（ますどそうしゅう）」がこの地を訪れます。
益戸は秋田藩で勘定奉行などを務めただけでなく俳人、漢学者としても有名な人物です。
益戸は田沢湖を訪れた際に「問槎紀行」という漢文体の紀行文を記しており、現在も当時の歴史を知るための貴重な史料となっています。
この益戸が田沢湖を遊覧した際に船頭を務めた少年に与えた「漢槎宮（かんさぐう）」という扁額が神社拝殿の内部に掲げられていることから浮木神社は「漢槎宮」とも呼ばれています。
田沢湖は景勝地としても有名ですが、この浮木神社は辰子伝説からの関係で「美」、八郎太郎との恋愛の関係で「縁結び」のパワースポットになっています。
拝殿前には授与所があり、縁結びのお守りや浮木神社の御朱印が入手できます。

田沢湖から国道341号線をまっすぐ北に向かっていくと「大湯環状列石（おおゆかんじょうれっせき）」に着きます。
これは今から約4000年前〜3500年前の縄文時代にできた遺跡で、集落の形を構成しています。遺跡の中心として考えられているのは東西に130ｍほどの距離を置いて対峙している「万座」と「野中堂」という二つの環状列石で、万座環状列石は日本最大のストーンサークルでもあります。
この付近からは土器や石器、土偶や土版、鐸形土製品、石棒、石刀といった縄文時代のものが多く出土しており、当時の様子を知ることができます。

また、日時計状の組石があり、二つの環状列石の中心と日時計状組石は一直線に並んでいて、その線を延長していくと夏至に太陽が沈む方向を指していることから当時の人々が太陽の運行を考えていたということがわかります。
近年の調査から大湯環状列石が太陽の動きなどに関連して祭祀を行う「儀礼祭祀施設」であり、出土品などによって「集団墓」であったとも考えられています。
ストーンサークルは日本に限らず他の国でもパワースポットとして知られており、大湯環状列石にも大きな力があると言われています。
大湯環状列石はどの季節に訪れても良い場所ですが、空気が澄んだ冬の時期は環状列石と北東に位置する黒又山が綺麗に抜けて見えるので特におすすめです。

秋田には色々なパワースポットがありますが、特に「美」「縁結び」の場所として有名なもの、長い歴史が感じられるものを紹介しました。
秋田には他にもグルメ、観光スポットなどたくさんの魅力があります。
秋田を訪れる際にはぜひ立ち寄ってみましょう。