日本酒

江戸時代の大名火消しの名を受け継いだ「粋」を感じさせる加賀鳶の力強い味わい

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加賀百万石の栄華を今に伝える古都「金沢」。そんな金沢で最も歴史が古い酒蔵でもある福光屋の歴史は、1625年までさかのぼり、今に至るまで上質な日本酒を醸造し続けています。今回は、絢爛な金沢の文化と町民の「粋」が作り出した福光屋の酒造りへのこだわりについてご紹介します。

酒造りに欠かせない成分を地中深くで溶け込ませた恵みの100年水が作り出す「加賀鳶」の旨み

画像出典:株式会社 福光屋


金沢でおよそ400年にわたって日本酒の醸造を続けている福光屋。2001年には、厳選された材料職人たちの伝統技術を駆使して、純米蔵も設立。こちらは生産高万石単位の酒蔵としては日本初の取り組みとなっています。まずは、そんな福光屋で行われている日本酒造りの過程を詳しく紹介していきましょう。福光屋では霊峰白山で育まれた清冽な仕込み水を使用しています。こちらは白山につもった雨水がゆっくりとしみ込み、酒造りに適した成分を多く含むようになることで極上の仕込み水として使用できるようになるそうです。かかる期間はおよそ100年間、ゆっくりと時間をかけて、福光屋の蔵へとたどり着くのです。これが、福光屋の仕込み水が「恵みの100年水」と呼ばれるようになった所以です。 福光屋では酒造りに使用する米も最高品質のものを使っています。例えば最高の酒造好適米と名高い「山田錦」は兵庫県産のものをふんだんに使用し、極上の日本酒を作り出しています。また、「山田錦」以外にも長野県産の「金紋錦」、兵庫県産の「フクノハナ」、富山県産の「五百万石」のそれぞれを地元の農家の方々と契約栽培を行っており、土づくりから取り組んでいるそうです。これらを使い分け、味わいが異なる日本酒の数々を作り出しているのです。

画像出典:株式会社 福光屋


また、金沢で最も長い伝統を誇る造り酒屋福光屋には4つの酒蔵(壽蔵・光蔵・禄蔵・福蔵)があり、その軒先には今年も杉玉が飾られています。杉玉は新酒ができた事を知らせる合図です。そして、緑の杉玉が次第に茶色に変色する事で、新酒の熟成具合も知らせてくれます。

五感で感じとる蔵人たちの手腕と伝承

福光屋の蔵人たちは、酵母や麹の微妙な変化を五感で感じとり、上質な日本酒造りに役立てています。今では技術が進化し、機械で行える作業も増えてきている中で、手仕事でしかできないことを重視し、大切な場面は熟練の蔵人(くらびと)たちが実際に手を加えています。蔵人(くらびと)とは、酒造りに携わる人のことで、この蔵人たちの最高責任者が杜氏と呼ばれ、酒蔵一つにつき一人しかなれません。酒造りの機械化が進んだ現在、酒蔵の多くが蔵人の人材不足を抱えていますが、福光屋ではベテラン蔵人による技術の伝承が行われています。
酒造りの肝となる発酵。米と水、麹や酵母がタンクの中で醪(もろみ)となり、時間をかけて福光屋のお酒に生まれ変わります。麹や酵母はとてもデリケート、そのため発酵では杜氏の経験に加え、最新の技術を活用することで発酵に最適な温度を保っています。また、速醸仕込みや山廃仕込みなど、お酒の仕込み方でも温度管理の方法が異なります。

発酵段階では醪(もろみ)の表面に様々な変化が現れます。最初は軽い泡(水泡)、次いで岩のように盛り上がった泡(岩泡)からきめ細かい泡(本泡)など、本格的に発酵が進むに従いタンクの上部まで泡が盛り上がります。それが落ち着くと大きな玉のような泡(玉泡)ができ、この泡が消えると発酵完了となります。
発酵が終わった醪を絞り、お酒と酒粕に分離させます。この段階でしぼり上がったお酒が新酒となり、蔵の軒先に杉玉が飾られます。絞り立てのお酒には濁りがあり、澱を沈殿させる事で澄んだ日本酒となります。

「加賀鳶」という名前にふさわしい粋で力強い味わい

画像出典:株式会社 福光屋


福光屋では、「軽くて、旨い」日本酒をモットーに醸造し、販売しています。そのなかで「加賀鳶」はコンセプトを「粋」とし、特にキレに重きを置き醸造を続けています。

使用しているお米は兵庫県中区の「山田錦」、長野県木島平の「金紋錦」、富山県福光の「五百万石」。これらはすべて福光屋の契約農家で生成されており、それぞれの特性を生かして酒造に役立てています。それにより、ひとつひとつの日本酒が個性を持ち、異なる旨みも引き出すことができるのです。

そもそも「加賀鳶」とは、今は昔江戸時代で、加賀藩江戸屋敷のお抱え大名火消しの名前です。火消しの技と喧嘩早さが天下一品で、江戸時代の粋な集団として人気も高かった「加賀鳶」。福光屋の「加賀鳶」は、その名にふさわしく力強い味わいが楽しめる人気の銘酒となっています。

伝統を守り続ける福光屋の銘酒「加賀鳶」

画像出典:株式会社 福光屋


「加賀鳶」には、さまざまなラインナップがあり、一本一本でそれぞれ違った味わいを楽しむことができます。趣ある金沢の地で、最も古い酒蔵「福光屋」の蔵人たちが作り上げる銘酒「加賀鳶」をぜひ一度堪能してみてください。
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