華道の歴史とその心とは「アミニズム」という考えに由来する面白さ!

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華道の歴史とその心とは「アミニズム」という考えに由来する面白さ!

植物を活けることで芸術を表す芸術・華道。
その歴史は古く、ルーツは古代にまでさかのぼります。また、花や葉を自在に組み合わせることで、あたかもその場に違う空間があるかのように魅せる華道の作品たちは。私たちの心を魅了してやみません。今回は、そんな伝統芸能の一つである華道について、その歴史を振り返るとともに活け方の違いや心のあり方などを紹介していきたいと思います。

華道のルーツは古代にあり

あくまで一説ですが、現在の華道のルーツは古代にまでさかのぼるともいわれています。それが、「アニミズム」という考えです。「アニミズム」とは、すべてのものに霊魂や霊が宿っているという考え方で、世界的な宗教や習慣などに存在しています。19世紀後半に、イギリスの人類学者であるエドワード・タイラーがその言葉を使用したことで、広まりました。

「アニミズム」の考えから、切り落とした花や葉、木などの植物を家の中などで再構築したことが華道の始まりというのがここでいう「華道のルーツ」となります。そもそも植物は切り落としてもある程度は生命活動を維持できることから、植物へ神秘を感じたことで、今のような家の中に植物を飾るという習慣が作られたともされています。

また、華道の発祥となったのが仏教伝来のころともいわれています。このころから、仏前に花を供える「供花」という風習が浸透したことで、人々の暮らしの中では草花を飾るという取り組みがされてきたそうです。実際に、平安時代に執筆された「枕草子」内では、一輪挿しに花を飾っていたことが窺えます。

そのような風習が華道として確立されてきたのは、室町時代中期に至ってからでした。当時池の周りに住んでいたことから「池坊」と呼ばれていた京都にある六角堂の僧侶が始めたのがきっかけとされています。室町時代には「書院造り」という建築様式も確立され、日本風の建物がみられるようになったことから、決められた場所に花を活け、それを鑑賞するという習慣が生まれていったのです。そしてこの僧侶の名をとって、「池坊」という流派が誕生して行くこととなりました。

江戸時代中期をすぎると、それまでは上級階級のたしなみでもあった華道は、民衆へも浸透していくことになります。現存する華道とは、江戸時代後期に確立された生の花を活ける「生花(いけばな)」を指すことが多く、そのこだわりぬいた華道の姿が今も受け継がれているのです。

その後明治初期にかけて、欧州各国へ華道が紹介され、世界的に注目されることになります。やがてさまざまな植物の伝来とともにそれらも華道の形として取り入れられ、新しいスタイルが確立されていくことになったのです。現在に至るまで華道は世界的に関心が高い伝統芸能でもあります。

「花は人の心である」の精神

華道を代表する心のあり方について、有名な言葉があります。それが「花は人の心である」というものです。これはつまり、花を活ける時に、花に心を託して表現すべきということを表しています。これに際し、活けられた花を観賞するときは、特に決められている訳ではありませんが最大限の配慮をして拝見することが求められています。具体的な作法としては以下の通りです。

(1)拝見する場合は、床の間から畳一帖へだてた位置に座り、花へ一礼して拝見します。
(2)全体の構成、花材のとりあわせ、花器、花台までをよく拝見して、花を生けた人へ感謝の一礼をします。

その人の心を表しているといっても過言ではない作品たちを拝見するときは、それ相応の心構えをするべき、ということですね。自身花を活ける時も、きちんと花と向き合って製作する必要があるのです。

花の活け方・花材の取り合わせ方について

華道にはさまざまな流派が存在します。そのそれぞれで、考え方や見本とする活け方などが異なり、祖とする人物も異なります。

その中でも、流派によって特に異なるのが活け方と花材の取り合わせ方です。まず活け方ですが、「立花」と呼ばれる花瓶を使っていけるもの、平たい器や剣山を使って活ける「生花」、そして形に捉われずに自由に花を使って表現する「自由花」と呼ばれるものなど、さまざまなスタイルに分けることができます。

また、「花材の取り合わせ」というのは、季節や花の色、質量を考えて組み合わせることを言います。これは流派によって決まりがあり、それぞれ目標とするものが異なります。同じ花を使っても与えるそれぞれ与える印象が異なる華道では、流派による取り決めが大切でもあります。また、活ける植物の数によっても、それぞれ呼び方が異なりますが、現在は植物の種類が多くなったことから、4~6種使用することもあるそうです。

革新と伝統が入り混じる華道の世界

いかがでしたか?

華道の世界では、伝統を重視し古典的な活け方を重んじることもあれば、革新的で自由なスタイルで花を活けることができることもあります。ぜひ興味がある方は、華道の世界を垣間見てみてください。
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