日本仏教の母山! 延暦寺は老若男女に人気のスペシャルスポット!!

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京都府と滋賀県の県境にある比叡山に延暦寺があります。
延暦寺は多くの僧侶を輩出し、日本仏教の礎を築きました。 平成6年(1994年)にはユネスコ世界文化遺産に登録され、毎年8月4日には比叡山宗教サミット『世界平和祈りの集い』を開催しているため、世界中の人々がその名を知っています。

開創された平安時代から現在にかけて人々を魅了する延暦寺。 今回はその人気の秘密に迫ります!!

多くの僧侶を育んだスペシャルな修行場!

延暦寺は天台宗の総本山で、延暦7年(788年)に最澄が開きました。 元々、延暦寺のある比叡山は神道の神様・大山咋神が降り立った山だと伝えられ、『神の山』だと崇められてきました。

最澄は近江国(現在の滋賀県)に生まれ、19歳で受戒(仏門に入る者が仏の定めた戒律を受けること)して正式な僧侶となりました。 しかし、その頃の日本仏教は腐敗していて、気を落とした最澄は故郷の比叡山に入って独学で仏教の研究や修行をしました。 その中で、天台宗の開祖であり、中国隋代の僧侶・智顗の本を読み、一気に虜となったのです。 その後、最澄は桓武天皇の内供奉(宮中に奉仕して仏事を行う役)に任命されるほど成長し、日本仏教界の新鋭として活躍しました。 そして、延暦7年(788年)に延暦寺の前身である『一乗止観院(現在の総本堂・根本中堂)』を創建し、比叡山を開きました。 最澄の死後、一乗止観院は桓武天皇時代の元号にちなみ、『延暦寺』と名乗るようになりました。 しかし、延暦寺とは1つのお寺を指すのではなく、比叡山内の境内に点在する150ほどの堂塔の総称です。 山内は『東塔』『西塔』『横川』の3つに分けられ、それぞれに本堂があるのです。

延暦寺を名乗るようになった後も、比叡山は大きな発展を遂げていきました。 特に僧侶の育成には力を入れていて、鎌倉時代以降は浄土宗の法然、その弟子の親鸞(浄土真宗の開祖)、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮など、日本仏教各宗各派の開祖を輩出しました。

延暦寺は開創当初から朝廷の信頼が厚く、『日本の国を鎮め護る寺』であると言われてきました。 最澄もその期待に答えられるように、『菩薩僧』を育てなければならないと思い立ちました。 そして、比叡山にこもり12年間修行する教育制度を定めたのです。 延暦寺は次第に力をつけてきて、最盛期には3000にも及ぶ寺院がありました。 ところが、元亀2年(1571年)、浅井長政・朝倉義景の両軍をかくまったことがきっかけとなり、織田信長に全山焼き討ちされてしまいました。 延暦寺の伽藍は焼かれ、寺領も没収されてしまったのです。 信長の死後は生き残り逃げていた僧侶たちが戻り、豊臣秀吉に再興へ度重なる要請を行いました。 そして、秀吉や徳川家の財力により保護され、再興されました。

延暦寺はさまざまな試練や困難を乗り越え、輝きを取り戻してきました。 昭和62年(1987年)8月には世界中から、仏教・キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・シーク教・儒教の7大宗教の代表者が集い、『世界宗教サミット‐世界宗教者平和の祈りの集い‐』が開催されました。
これは世界平和実現のための話し合いと祈りを行うもので、今では毎年8月4日に比叡山の山上で開催されています。 長らく日本を見守り、たくさんの高僧を育て、歴史の荒波に揉まれながらもその地位を保ち続けている延暦寺。 参拝すれば、深い深い歴史の息吹を感じ取れるのではないでしょうか。

おみくじ発祥の地・四季講堂(元三大師堂)に行ってみよう!

今ではどのお寺・神社でもおみくじがあります。
実は、延暦寺は日本で初めておみくじを作ったお寺なのです! そして、おみくじを発案したのは第18代天台座主(天台宗で最も偉い僧侶)・慈恵大師良源という僧侶です。

おみくじの起源を話す前に、良源にはある伝説があります。
平安時代、良源はかつて都に疫病が流行った際、人々を救うために座禅に入りました。 すると、たちまち鬼の姿に変わり、見ていた弟子の一人がその姿を書き写しました。 良源は魔除けの護符として、その絵を版木でお札を刷って人々に配るよう命じました。 この絵が貼ってあるところは病魔がよりつかず、一切の厄難から逃れられたのです。
こちらがその良源の姿です。
ちょっぴり恐い姿ですね……。
そしておみくじは、良源が人々の悩みを解決するために観音菩薩に祈念して、教理を記した文章を授かった『観音くじ』が起源です。 ただ、延暦寺のおみくじは普通のおみくじとは違います。 自身の悩みや解決したいことを紙に書いて僧侶に渡し、祈祷してもらい、おみくじを引いてもらうのです。 1000円という高めの金額ですが、その時の自分に合った答えが返ってくるので価値はあるでしょう! ぜひ、おみくじをいただいてみてくださいね!

延暦寺の宿坊に泊まってみよう!

延暦寺には『延暦寺会館』という宿坊があります。
近年、仏教を身近に感じられる宿坊に泊まる方が増えてきています。 この延暦寺会館では精進料理をいただけるのはもちろん、写経や坐禅体験ができるのです。 日常を忘れ、自分自身と向き合うことができるのでオススメです! ぜひ、ゆったりとした時間を味わいに泊まってみてくださいね!

○写経体験
一人1000円(税別)
体験時間90分
道具はすべて用意あり。子どもにも分かりやすい経典の用意もあります。

○坐禅体験
一人1000円(税別)
体験時間60分(坐禅の説明20分、坐禅20分、説法15分)
午前の部 11:00~
午後の部 14:30~

ともに事前予約が必要。2名以上から受付。

延暦寺は修行体験ができる貴重な寺院!

延暦寺会館では写経と坐禅の体験ができますが、延暦寺西塔地区にある居士林研修道場で修行体験もできます!
最澄は「”ポストにベストを尽くして、なくてはならない人”こそ国の宝だ」と、言っており、自分自身と向き合うことができる修行体験となっています。 写経や坐禅はもちろん、精進料理をいただき、説法を聞き、考えて実行することを教えてくださいます。 修行には体験コースと研修コースがありますので、ご自身に合うコースを選んで申し込んでくださいね。

○体験コース
内容:坐禅・写経
坐禅 一人1000円(税別) 約60分
写経 一人1500円(税別) 約90分

○研修コース
定員:90名(団体でも個人での申し込みも可)
開設期間:3月10~11月30日(冬季の研修はなし)
資格:中学生以上の健康な方。性別・宗旨は不問。
(引率や保護者がある場合は小学生でも可)
日程:日帰りor1泊2日or2泊3日
所持品:洗面道具・寝具・作務可能な服装(ジーパンは不可)・運動靴
山上は平地より気温が5度程度低いので、長袖を余分に用意する方が良いです。
間食・飲食物の持ち込みは禁止。
研修中は携帯電話の使用はできません。

○研修料(すべて税込):日帰りコース 5400円
1泊2日コース 大人・大学生8640円 高校生・中学生7560円 小学生以下5400円
2泊3日コース 大人・大学生17280円 高校生・中学生15120円 小学生以下10800円

いかがでしたか。
延暦寺は今の日本仏教の礎を築き上げた大きな大きなお寺です。
世界遺産の登録や宗教サミットもあり、世界中から参拝客が集まっています。 そういうと敷居の高いイメージがありますが、おみくじ発祥であったり、修行体験ができるなど、私たちのそばに寄り添っているお寺なのです。 ぜひ、関西方面へ遊びにきた際には、比叡山延暦寺にお参りしてくださいね!

■所在地
〒520‐0116
滋賀県大津市坂本本町4220

■延暦寺諸堂巡拝料
○東塔・西塔・横川共通券
大人700円 中高生500円 小学生300円
団体20名~ 大人600円 中高生400円 小学生300円

○国宝殿(宝物館)拝観料
大人500円 中高生300円 小学生100円
団体20名~ 大人400円 中高生200円 小学生100円

○巡拝料と国宝殿のセット料金
大人1200円 中高生800
団体20名~ 大人1000円 中高生600円
(小学生はセット料金なし)

■巡拝時間
○東塔地区
1月~2月 9:00~16:30
3月~11月 8:30~16:30
12月 9:00~16:00

○西塔・横川地区
1月~2月 9:30~16:00
3月~11月 9:00~16:00
12月 9:30~15:30
※受付は閉堂の30分前まで
※冬季期間は雪の状態により、閉堂時間を早める場合あり
※法要・行事などで入堂の制限あり
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