あじさい寺と言えば、やっぱり鎌倉の明月院ですね!

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全国各地にはあじさい寺と呼ばれるお寺が数多く存在します。
なかでも鎌倉の明月院のあじさいは「明月院ブルー」と呼ばれとても有名です。あか抜けた境内には2500株ものあじさいが咲き誇り、私たちを楽しませてくれます。

鎌倉のお寺は、あじさいがとても似合います

鎌倉と言えば北条氏ゆかりの禅寺が有名ですが、6月上旬になるとあちらこちらのお寺であじさいが楽しめます。
北鎌倉方面では明月院だけでなく鎌倉五山第1位の格式を誇る建長寺や鎌倉五山第2位の円覚寺、鎌倉五山第四位の浄智寺、鎌倉尼五山第2位の東慶寺、長寿寺、円応寺、極楽寺・長谷方面でも成就院、長谷寺、光則寺などであじさいの競演が見られ名所となっています。
なかでも明月院や成就院、長谷寺はあじさいの三大名所と呼ばれるほどのにぎわいを見せています。

姫あじさいが愛らしい! 明月院のあじさい

あじさいのシーズンになると、週末には鎌倉の明月院めがけて全国から人が押し寄せてきて大混雑します。
鎌倉石の参道から総門を抜けて山門に至るまで、両側にはびっしりと姫あじさいが咲いて私たちを出迎えてくれます。
境内は姫あじさいがほとんどで、日増しに濃い青に変わっていくさまはとても優雅で「明月院ブルー」に圧倒されます。
また、あずまやの近くには山あじさい、あずまやから本堂に向かう道の両側は園芸あじさい、姫あじさいの間のところどころに玉あじさい、と一面あじさいだらけで「あじさい寺」の名にふさわしいお寺です。
姫あじさいの名前の由来は、発見者の植物学者の牧野富太郎博士がお姫様のように愛らしいということで名付けたものです。姫あじさいは雪国に自生する蝦夷あじさいの色と似ていますが、その関係性はまだ明らかにはされていません。また、明月院にこの姫あじさいがどのようなルートで入ってきたかは定かではありません。戦後荒廃した境内に植えられた姫あじさいを住職さんたちが挿し木を繰り返して殖やしていったようです。人手が足らず境内の手入れもままならないときに、比較的手の掛からないあじさいを植えたのは正解でした。
全国各地にあるあじさい寺のきっかけとなり、毎年私たちを涼しい気分にさせてくれているのですね。明月院のあじさいの見頃は、6月中旬〜下旬と言われています。

禅興寺の塔頭(たっちゅう、庵)として誕生した明月院

明月院は、臨済宗建長寺派のお寺で、起源は平安時代にさかのぼります。
1160年(永暦元年)平治の乱で亡くなった首藤刑部大輔俊道(しゅとうぎょうぶだいすけとしみち)を弔うために子どもの山ノ内經俊(つねとし)により明月庵が創建されたのがはじまりです。
その後、七大執権の北条時頼が持仏堂として最明寺を創建します。その子どもである八代執権の北条時宗は、1264〜1275年(文永年間)に大覚禅師を開山としてそれまでの最明寺を禅興寺と改名します。
禅興寺は室町幕府三代将軍義満のときに、関東十刹の第1位となるほどの臨済宗のお寺でしたが関東公方の衰退とともに次第にすたれていき明治初年には廃絶してしまいます。明月院は1380年(康暦2年)に関東管領(かんれい)だった上杉憲方(のりかた)により寺域も拡大されて明月庵より明月院と改名し禅興寺支院の第1位となります。明月院はもともと禅興寺の塔頭でしたが、独自の寺領を持ち上杉氏が檀越(だんおつ、布施をする信者)だったので生き残ることができました。
境内には法名の最明寺殿である北条時頼や開基である上杉憲方の廟所(びょうしょ)や、現存するやぐらでは鎌倉最大規模といわれる明月院やぐら、鎌倉十井のひとつである瓶ノ井(つるべのい)があります。方丈前には枯山水の庭が広がり、周囲の花と調和がとれていて落ち着かせてくれます。

いつ行っても何かしらの花が見られる明月院

鎌倉の北の玄関口にあたる北鎌倉は、浄智寺や東慶寺など花の寺が多く花散策の人気エリアとなっていてここを鎌倉観光の起点にする方が多いようです。
明月院は、北鎌倉にあって梅雨の季節に咲くあじさいだけが自慢ではありません。いつも何らかの美しい花が咲いていて参拝客を喜ばせています。
早春〜3月にかけてはクリスマスローズが冬の貴婦人の名にふさわしく美しく咲き誇り、レンギョウも春の訪れを演出しています。
3〜4月はしだれ桜や蝋梅(ろうばい)が鮮やかです。この季節には、寒更紗(かんさらさ)や緋の御旗(ひのみはた)など珍しい大株の品種が見られる木瓜(ぼけ)も華やかな赤色の花が見事です。
6月と紅葉の季節に特別公開される方丈背後から谷戸の奥へと続く花菖蒲(はなしょうぶ)も、圧巻の美しさで明月院の新しい花名所となっています。明月院の悟りの窓からも奥に花菖蒲を見ることができます。
初秋には秋の七草である萩が美しく花枝を垂らし、錦秋になると境内にあるイチョウの木が趣を一変させます。悟りの窓からの紅葉が明月院を紹介する写真によく使われているように、錦に染める紅葉も見逃すことはできません。寒い冬の季節も花が途切れることはありません。
年末〜年始にかけて「雪中花」水栓が咲き、はじめて春の訪れを告げてくれます。

鎌倉の花の代表である明月院のあじさいは、先に述べたように見頃が6月中旬〜下旬です。シーズンになるとたくさんの方が訪れて行列を作るほどです。あじさいは明け方と夕方、雨の日が美しいと言いますので、ぜひそこをねらい目にお出掛ください。

あじさい寺はなぜ多い?紫陽花と寺院の関係

あじさい寺はシーズンになると多くの人でにぎわう、日本人も外国人も大好きな人気の風物詩。
紫陽花の淡い花色が境内に広がる様は、寺院の建造物などと相まって、幻想的な雰囲気を作り出してくれます。
ところで、寺院ではなぜあじさいを栽培するようになったのでしょう。紫陽花と寺院の関わりについて迫ってみましょう。

品種の多いあじさい

あじさいは5〜7月にかけて、赤紫から青紫の花を咲かせる植物です。花のように見える部分は、実際には花びらではなく「萼(ガク)」の部分。丸く縁取るように咲く「額咲き」と、全体的に丸く咲く「手まり咲き」の2つのタイプがあります。「紫陽花」と書かれますが、これはもともと「ライラック」の花を指していたようです。とは言え、赤みや青みを帯びた紫色の花が、丸くお日様のように咲く様を表していて、あじさいをたとえているように思えます。

紫陽花は土壌の酸性度によってその色を変えることでも有名です。土壌が酸性に傾くと青に、アルカリ性に傾くと赤に色が変わります。土壌改良材を使って手軽に花の色を変えられることから、園芸品種として古くから家庭でも栽培される植物です。

自由に色をあやつれるだけでなく、品種も数多く生み出されているのも、紫陽花を楽しむ人の多い理由のひとつです。通常は4枚の花が、5枚や複数になっていたり、縁に丸みやギザギザがあったりと、どの紫陽花も見る人を楽しませてくれます。挿し木で増やすのも容易で、植木鉢でも栽培でき、ベランダでも育つ点も、人気の理由かも知れません。

寺と紫陽花の関わりは梅雨に秘密が

紫陽花が咲くのは梅雨どきと呼ばれる季節で、雨を受けた紫陽花の鮮やかな色は、雨模様で暗い景色を明るく見せてくれます。決して派手ではない色合いも、寺院の建物と相まって日本的な独特の雰囲気で素敵な風景です。

文献に紫陽花が登場するようになったのは、万葉集の頃。平安時代の後期になると、多くの歌に登場するようになります。原産地は日本で、ヨーロッパやアメリカなどでも広く栽培されており、園芸店や花屋では両者を区別し「ハイドランジア」や「西洋アジサイ」として扱っています。

アジサイの咲く梅雨の時期は、医学の発展していなかった時代、疫病の流行しやすい時期でもありました。流行り病で亡くなった人たちに、その時期に咲くアジサイを手向けたというのが、寺院でアジサイが栽培される理由とのことですが、真偽は定かではありません。とは言え、挿し木で増やせるアジサイは、寺院の僧侶たちにも人気があったことは間違いないでしょう。

あじさい寺と言えば鎌倉の明月院

鎌倉にはほかにもあじさいの名所があり、この季節には多くの観光客が訪れます。なかでも明月院は最も有名な寺院のひとつですね。北鎌倉の駅から近い明月院は、14世紀中頃にできたと言われ、もとは善福寺の塔頭でした。善福寺がなくなったあとも明月院だけは残りました。あじさいだけでなく円窓から見える日本庭園も有名な寺院です。

実は明月院のあじさいは戦後に植えられたもので、それ以前はむしろ紫陽花とは無縁の寺院でした。戦後の物資不足で、参道の両脇に使う杭の代わりに、手軽に増やせるあじさいを植えたのがはじまりで、その後、挿し木でどんどん増やし、現在のようなあじさい寺になったそうです。参道を取り囲むあじさいの花が、そんなに新しいものだったとは意外ですね。

明月院はあじさい以外にも、1年を通して梅や桜、蝋梅などの花が楽しめます。あじさいの季節には日本庭園で菖蒲の花も観賞できるので、時間があればぜひ立ち寄ってみましょう。鎌倉には明月院のほかに、眺望散策路に植えられた紫陽花が見事な長谷寺や、覆い尽くさんばかりに参道の両脇に紫陽花の咲く成就院など、各地で紫陽花を観賞できます。

北の鎌倉と呼ばれる本土寺

千葉県松戸市にある本土寺も、「北の鎌倉」と称されるほど、紫陽花のきれいな寺院として知られています。境内には3万本の紫陽花が植えられ、一斉に咲く姿は息をのむほどの見事な光景です。紫陽花の季節には6000本の菖蒲も花を咲かせ、境内が華やかな雰囲気に包まれます。桜や紅葉も美しい本土寺は、多くの観光客が訪れる寺院です。

本土寺を有名にしているもうひとつの理由が、本土寺に伝わる「過去帳」と呼ばれる書物です。13〜18世紀に起きた出来事が記された書物で、歴史を知る上で貴重な資料として重要視されています。現在は本末を解体してそれぞれ別個の寺院ですが、全国の日蓮宗の寺院を束ねる本山だったという権威のある寺院です。

130種類のあじさいが咲き誇る奥能登の平等寺

石川県の奥能登と呼ばれる地域にある平等寺も、あじさいが綺麗なあじさい寺として有名な寺院です。平等寺が創建されたのは10世紀の中頃。真言宗の寺として建てられました。十三仏諸尊が祀られていることで知られています。

平等寺のあじさいの見所は、なんと言っても種類の多さ。130種類のあじさいが楽しめるのが最大の特徴です。近年各所で見られるライトアップではなく、行灯やロウソクで紫陽花を照らす「あじさい花灯り回廊」も話題を呼んでいます。開花時期は6月中旬〜7月中旬にかけてですが、イベントの行われる6月下旬が一番の見頃です。

宇治の山あいに立つ三室戸寺

京都府宇治市にある三室戸寺は、西国三十三所の第十番札所。8世紀ごろに創建されたと言われていますが、詳細はまだ不明のようです。境内の杉木立ちの間に広がる、色とりどりのあじさいが咲く風景は、見る人を神秘的な気持ちにしてくれます。

平等寺では桜や紅葉といった定番の季節より、5月のツツジや7月の蓮といった、目の高さよりも低い花の時期がオススメです。先ほどのあじさいと同じく、スギの木立ちの間に広がる花が、幻想的な光景を作り出しています。特に蓮の花の咲く7月の午前中は、朝もやと相まって仏の世界を垣間見るかのような風景です。

特徴あるあじさい寺を探してみよう

栽培しやすい紫陽花は、寺院でも広く見られる植物で、あじさい寺と呼ばれる寺院も、全国に数多く見られます。メディアで紹介される定番のあじさい寺もいいですが、地元や周囲の地域を探して、新たなあじさい寺を発見してみてはいかがでしょう。

同じあじさいでも植えられ方で、その見え方も変わってきます。植えられ方や建物・立地などに特徴のある寺院なら、今までとは違うあじさいを楽しめそうです。ガイドブックは手に持たず、自分だけのあじさい寺を探してみませんか。

雨のなかに華やかさを感じられる! あじさい寺へ行って癒されよう!!

日本全国には「あじさい寺」とよばれるお寺がたくさんあります。
あじさい寺は寺名ではなく、境内にあじさいがたくさん咲いているお寺を親しんで呼ぶ「名称」です。 あじさいは日本特有の花で、じめじめとうっとうしい梅雨の時季に彩りをそえてくれます。 各地のあじさい寺ではたくさんの参拝客がつめかけ、にぎわいをみせています。 今回は全国にたくさんあるあじさい寺の代表格をご紹介します!

ご紹介の前に……あじさい寺が増えていったのなぜ?

あじさい寺と称されるお寺が多いですが、なぜなのでしょうか? 実は、あじさいには弔いの意味が込められているのです。

現代のように医療技術が発達していない時代、流行病や梅雨特有の気温の変化による死者が多くでました。 そのとき人々が、梅雨に咲くあじさいをお寺の境内に植えたのがはじまりでした。 さらに、あじさいは栽培が簡単で、色が変化していく特徴があります。 暗くなってしまう気分を、少しでも楽にしてくれるのかも知れませんね。

あじさいを植えることは、仏教の教えになる

あじさいが多く植えられている理由として、もうひとつの説があります。 それは、仏教には「諸行無常」の教えがあることです。
諸行無常とは、「この世のすべては常に変化し、永久不変なものはない」という意味です。 色が変化していくあじさいは、諸行無常を表現するに適した花なのです。 また、お地蔵様が持っている丸い宝珠があじさいに似ているから、とも言われています。

訪れてほしいあじさい寺を発表!

○明月院
明月院は神奈川県鎌倉市にある臨済宗建長寺派のお寺です。 満開時には約2500株の姫あじさいが境内を埋め尽くします。 とくに、山門前の参道はたくさんのあじさいで彩られ、人々が写真を撮ったりその美しさを眺めたりしています。 あじさいの淡い青色は「明月院ブルー」と呼ばれていて、人々に親しまれています。

〒247ー0062 神奈川県鎌倉市山ノ内189
○三室戸寺
三室戸寺は京都府宇治市にある本山修験宗の別格本山です。
春は桜、秋は紅葉、冬は雪景色が見られ、とくに初夏のあじさいの美しさは圧巻です! あじさい園には50種類1万株のあじさいがあり、”幻のあじさい”といわれる七段花(しちだんか)があります。 夜にライトアップされる期間もあり、幻想的な雰囲気を楽しめます。

〒611ー0013 京都府宇治市菟道滋賀谷21
○丹州観音寺

丹州観音寺は「関西でもっとも古いあじさい寺」として知られています。
720年(奈良養老4年)に開創された高野山真言宗のお寺で、山号は補陀洛山です。 十一面千手千眼観世音菩薩を祀っています。

約50年前、ご本尊のご開帳の際、万灯万華をお供えしようという動きがありました。 すると、十一面千手千眼観世音菩薩に眼病治癒を祈願した人が、治ったお礼にとあじさいを植えました。 あじさいはすくすくと育ち、多種植樹されるようになり、「あじさい寺」と呼ばれるようになりました。 境内には6〜7月にかけて、100種類・約1万株のあじさいが咲き誇ります。

〒620‐0803 京都府福知山市観音寺1067
○矢田寺

矢田寺は奈良県大和郡山市にある高野山真言宗のお寺です。
日本最古の延命地蔵菩薩を安置する「日本のお地蔵さま発祥の地」です。 ご本尊のお地蔵様にちなんで、昭和40年頃から植えられるようになりました。 矢田寺には約60種類10000株のあじさいが植えられています。 ピンクや紫、水色の色とりどりのあじさいが参拝客を迎えてくれます。 25000平方mの境内には紫陽花庭園や見本園があり、たくさんの人々がつめかけます。

〒639ー1058 奈良県大和郡山市矢田町3549
○高幡不動尊

金剛寺高幡不動尊金剛寺は真言宗智山派別格本山です。
新選組・土方歳三の菩提寺として有名です。
境内のあじさいは250種類7500株あり、山あじさいやがくあじさいなどが咲き誇ります。 五重塔の朱色とあじさいの淡い青色のコントラストは最高で、何度もカメラのシャッターを押してしまいそうです。

〒191ー0031東京都日野市高幡733
○笹野観音

笹野観音は真言宗豊山派のお寺です。
征夷大将軍・坂上田村麻呂が観音菩薩を勧請し、直江兼続が羽黒大権現を後神として祀るなど、有名な武将が関わっている古刹です。 境内に広がるあじさいは7月中に咲き誇ります。

昭和42年夏。山形県南部や新潟地方を襲った羽越水害の際、境内の小川の土手に流れ着いた山あじさいの株がひっそりと花を咲かせるようになりました。 先代住職の妻があじさいの花を見て、笹野観音の御詠歌である「参り来て 今はのぞみの 笹野山の 木草も瑠璃の光ぞ」の語句によくあてはまると言い、昭和45年より植えはじめられました。

植えはじめの歴史はほかのお寺より新しいかもしれませんが、今では東北随一のあじさい寺となっています。

山形県米沢市笹野本町5686ー5

いかがでしたか。
ご紹介したあじさい寺はほんの一部です。
日本にはたくさんのあじさい寺が点在しています。
あじさいは参拝客の心を和ませ、ジメジメとする梅雨に涼しさを届けてくれます。 そして、境内を彩るあじさいを見ていると、別世界にきたような気持ちになります。 ぜひ、訪れてみてくださいね。

育てて楽しむあじさいと全国各地にある「あじさい寺」

あじさいは剪定のタイミングがむずかしい、通の育てる植物のイメージが強いのですが、実際は育てやすく管理のしやすい植物です。
あじさいは、ともすると地上部も地下部も大きくなりがちなので、困るほど大きくしたくないときには、コンパクトに維持できるよう、花芽を残して剪定するのがむずかしい部分です。

たくさんのあじさいを自宅で栽培できるスペースがある人は限られているので、たくさんのあじさいを味わいつくすには全国各地にある「あじさい寺」を訪れてみるのもオススメです。あじさいだけでなく、開花時期が重なる花菖蒲も合わせて見られる施設もたくさんあります。

あじさいの花言葉「移り気」「一家団らん」「辛抱強い愛情」

あじさいは土のpHで色が変わることがよく知られていますが、この色変わりが原因で「移り気」というマイナスイメージの花言葉が付けられ、青い色からも「冷淡」と言った花言葉もあります。

小さな花が寄り集まってひとつになって咲いていることから「一家団らん」という花言葉や、長い間花を咲かせてくれることからも「辛抱強い愛情」と言った、温かなイメージの花言葉もあります。

あじさいの原種は40種ほどあり、そのうち10種は日本原産で、西洋アジサイのハイドランジアは、日本原産のあじさいをもとにヨーロッパで品種改良されて、日本に逆輸入され、現在最も流通しているのはこのハイドランジアの系列のあじさいになっています。

あじさいが最も多く出回るのは母の日前

あじさいの園芸品種の豪華な鉢植えが最も出回る時期は、母の日の1ヵ月前〜父の日の頃までです。
母の日というと、花がいっぱいある時期と思われがちですが、バラなどには少し早く、ちょうど開花時期を迎える豪華な鉢植えにしやすい花となると、あじさいが脚光を浴びます。
あじさいは、開花時期が5月頃で、その花が7月頃までずっと保てることもあり、まさに母の日の贈り物にぴったりです。

ひとつの花の形や色、花全体の形もバリエーションが豊富で、どんどん新品種が生まれてきているので、見ているだけでどれも欲しくなってしまいます。

あじさいは根を大きく張り巡らす植物ですが、流通している鉢植えのあじさいの鉢はどれも小さめです。
今咲いている花が終わったらひと回りかふた回り大きな鉢に植え替えると、枯らさずに育てやすくなります。

あじさいは梅雨の花のイメージ通りの水好き

あじさいは、梅雨の雨にも負けずさわやかな花を咲かせてくれるので、梅雨の花・水を好む花のイメージが強いのですが、その通りの、水をとても好む植物です。

あじさいの本来の花は、つく位置が品種によって異なりますが、ガクの中央や裏などの目立たないところにちょこんとある丸っこいものです。

あじさいの花と思われている部分は葉っぱの一種なので、従来の花のように、株元から水遣りするのではなく、上からザーザーとあふれるように水遣りすると、花も葉っぱも枯らさずに秋まできれいな状態が維持できます。

あじさいは、湿った状態の土よりも乾燥した状態の土を好むので、根元から水遣りしても構いませんが、土が乾くまでは土に水をやらない方がよく、鉢皿に水をためるのは厳禁です。

あじさいの花の色の変化を楽しむ

あじさいの花は、通常は、土壌が酸性寄りのときはブルーに、アルカリ性寄りのときはピンクになりますが、この法則があてはまらない、色が固定されている品種もあります。
ピンクにするには苦土石灰を少しまき、ブルーにするには鹿沼土など酸性寄りの土を使うとよりはっきり色が出ますが、肥料の成分によっても色が変わることがあります。

7月を過ぎてくると色あせてきて、「花が終わる」と言われていますが、そのまま花をつけていると、だんだんと花の緑色が濃くなってきます。
さらに秋になって気温が下がってくると、あじさいの花が紅葉してきて、ワインレッドの花色に変わります。
やがて葉が落ちてくると、花は枯れて茶色いドライフラワーのようになります。

色が退色し始めるところで剪定してしまうことが多いのですが、そのままにしておいてもまた色の変化を楽しむことができます。
ドライフラワーになった花は、翌年4月ごろ、枝先の葉っぱをそっと開いてなかに花芽がしっかりできているのを確認してから、生育の悪い枝とともに剪定して取り除きます。

あじさいの剪定・植え替えは7月中に

あじさいは深く根をはり、地上部も大きく育つ植物なので、鉢植えよりも庭植えにした方が伸び伸びと大きく育ち、すぐに豪華な株へと成長し、植え替えの必要もありません。

あじさいを鉢植えでコンパクトに育てるときは、7月中に花の2つ下の節の上で剪定することで、翌年の花芽を切らずにコンパクトに剪定することができます。
剪定後に伸びてきた枝が大きすぎるときは、9月上旬までに、切り口の節も含めて切り落とすのであれば、その下の花芽は保てます。

剪定時期が遅れると、翌年先端から花芽が出てこなくなり、葉っぱばかりのあじさいになってしまいます。
あじさいの花芽は、4月以前は目で確認することができないので、コンパクトに育てるのであれば、花がまだきれいであっても7月いっぱいまでに早めに剪定を行います。

地上部をきれいにしたら、同時に鉢も外して、根を整えて、ひと回りかふた回り大きな鉢に新しい土で植え替えるようにします。

鉢を大きくしたくないときは、根鉢を1/3ほど崩して傷んだ根や伸びすぎた根を整理して、新しい土を使って同じ鉢に植え替えることもできますが、強く剪定しすぎると翌年花をつけないことがあります。

「あじさい寺」であじさいをたっぷり味わう

あじさいはもともと日本に自生しており、日本中どこででも栽培できることもあって、「あじさい寺」と呼ばれるお寺が全国各地にあります。
広大な敷地に咲き誇る数百〜数千株のあじさいを堪能できるのは、「あじさい寺」ならではの季節の味わいになります。

あじさいの開花時期は気温によって前後するので、気温の上昇とともに、より北国にあるあじさい寺を訪れてみても味わいがまた違ってきます。

長野県の「霊仙寺湖あじさい園」は飯縄高原にあるため、あじさいの見ごろが7月と遅く、暖地では見ごろが終わってしまったあじさいを、夏休みも利用してファミリーで訪れて楽しむこともできます。

霊仙寺湖は、日帰り温泉施設がすぐそばにあり、3000株のあじさいを味わいつくすほかに、バーベキュー広場でバーベキュー、温泉でリラックスというフルコースも楽しめます。

オートキャンプ場もありますが、都心からのアクセスも良いので日帰りでも楽しめます。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物、多肉植物、
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。
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