ご当地グルメ

なぜ広島の牡蠣は極上の旨みがあるのか

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広島焼きやもみじ饅頭など、名物グルメも多い広島県。観光だけでなく、おいしいもの目当てに、日本全国のみならず、世界各国からも観光客が集まることも多いようです。そんな広島県の一大グルメとして外せないものが「牡蠣」です。今回は、広島県の名産・牡蠣について、そのおいしさを探ります。

広島牡蠣の草分け的存在、老舗「かなわ」

慶応3年に創業し、広島牡蠣の草分けとして百四十年の歴史がある老舗「かなわ」。そこで食べられる牡蠣は、瀬戸内海でも最も澄んだ海域といわれる大黒神島沖で採取しているため、夏でも生食で食べられるのが特徴です。大黒神島は無人島なので生活廃水に汚染されることもなく、河川から遠いことで塩分濃度が高く味に深みをもたせます。そして、身の締まった風味豊かな牡蠣が育ちます。また、「かなわ」では検査も常に実施しているので、より安全性が高い牡蠣をいただくことができます。

牡蠣というと冬の食材というイメージがありますが、「かなわ」では年中、食べることができます。これは、牡蠣収穫量が全国一の広島県ならではと言えるでしょう。最近では生食用の牡蠣がとれる領域が少なくなったと言われているため、生食があるということも「かなわ」の強みです。
かなわの牡蠣はそれほどクセがなくツルリと食べることができます。広島に住んでいて、牡蠣を食べ慣れている人でも、ここの牡蠣をひと口食べると、その美味しさに驚くほど。広島では全国で採れる牡蠣の約6割の生産量を誇ります。そのなかでも特別な海域で採れる新鮮な「かなわ」の牡蠣は、豊潤な味わいを楽しめます。おすすめメニューのひとつは「かきづくし」で、生牡蠣、牡蠣焼物、牡蠣八寸などを存分にいただけます。

「かなわ」にはコンセプトがそれぞれ異なる5つの店舗があります。それぞれ単品の牡蠣料理はもちろん、コース料理も楽しむことができます。たとえば広島市南区松原町にある「旬鮮彩かき名庵」は、和風だけでなく洋風な牡蠣料理もいただけるオイスターバーとなっており、広島だけでなく世界各国のフレッシュな牡蠣を楽しむことができます。おすすめはランチタイム限定の「オイスターランチ(2900円(税込))、「かなわ」の牡蠣をさまざまな調理法で楽しめる定食となっています。

広島湾で獲れた牡蠣がおいしい理由とは

広島で牡蠣の養殖が始まったのは『草津案内』に記されているところによると、16世紀半ば、室町時代の末期とされていて「天文年間(1532~1555)、安芸国において養殖の法を発明せり」と記されています。

当時の養殖法は干潟に小石を並べて牡蠣を付着させる「石蒔き養殖法」。その後500年近くの年月を経てさまざまな改良が行われ、現在採用されているのは「筏式垂下養殖法」です。針金に牡蠣の種を付着させて海のなかに垂らしておく手法で、これを採用することで制作費も安く済んだことから急速に普及し、生産量も格段に増えたそうです。ちなみに牡蠣はウグイスガイ目イタボガキ科に属している二枚貝の総称で、日本での呼び名は、海の岩から「かき落とす」ことから名付けられたそうです。

広島県の中でも、特に広島湾は牡蠣の餌となる植物性プランクトンが良く育ちます。また、波が穏やかなため、養殖に適している環境であることも大きな理由です。広島湾は牡蠣の生理機能に最適な水温変化が起きるといわれており、例えば夏にはちょうどいいくらいまで水温が上昇することで産卵に刺激を与え、秋に適温まで水温が低下することで牡蠣の身入れを促進します。広島の牡蠣が良質でおいしいのは、瀬戸内海のなかでも、とくに恵まれた自然環境が影響しているのです。

また、広島の牡蠣は良質で美味しいだけではなく、安全性も高いことが特徴として挙げられます。県により定められている「かきを処理する作業場に関する条例」や「貝毒対策実施要領」を忠実に守ることで、毒性のない安全な牡蠣が世に送り出されているのです。

牡蠣の旬と栄養価について

牡蠣と一概に言っても世界中では約100種類、日本では約20種類いるといわれていますが、広島県をはじめとして、日本では主にマガキの養殖が盛んです。ちなみに広島湾ではマガキの産卵が7~9月に採苗とともに盛んに行われています。10~11月に収穫が始まり、収穫された牡蠣はそのまま洗浄されます。洗浄された牡蠣はひとつひとつ打娘さんによってむき身にされ、出荷されていくのです。

牡蠣は「海のミルク」といわれるほど栄養価が豊富な食べ物でもあります。良質なたんぱく質を豊富に含んでいるほか、グリコーゲン、ビタミンB2などのビタミン類、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラル、そしてタウリンなど、通常の食生活では不足しがちな栄養素も多く、栄養不足にも最適な食材と言えるでしょう。健康をしっかり維持するためにも牡蠣は、とっておきの食材といえるのです。

牡蠣が好きな人は特に、ぜひ一度は広島県で旬の牡蠣を召し上がってみてください。都会で味わうのとはまた違った、新鮮な牡蠣料理をいただけます。
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