日本史

京の平清盛がプロデュースした広島の厳島神社

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世界文化遺産「厳島神社」は平清盛プロデュースだった

目に鮮やかな緑輝く山々を背景に、穏やかな波を静かに浴びながら赤く大きな鳥居が陽光に照らされる景色。
鳥居の赤、山の緑、海の青という日本人の美意識に直接響くのが、広島県・宮島の『厳島神社』です。
1996年、社殿をとりまく自然とともにユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界のさまざまな文化的建造物を調査した目利きの文化人すら感動させる、今にも続く厳島神社の社殿をプロデュースしたのが、平安時代末期のアンチヒーロー、平清盛によるものだということをご存知でしたか?
厳島神社のイメージとして思い浮かぶのが、前述の大鳥居を中心にした自然美、豪奢な社殿、そしてまっすぐ伸びた回廊ではないでしょうか。
その数は180間。ひとつひとつに取り付けられた釣灯籠が宵闇に品良く灯る姿は、海外から訪れた観光客への日本文化アピールに最大限の効果を発揮します。
この日本美を極めた180間の回廊をプロデュースしたのもまた、平清盛なのです。

都の最新トレンド・寝殿造を盛り込んだデザイン

厳島神社は、航海守護の神として古くから人々の信仰を集めていました。その神主・佐伯景弘と交流のあった平家の美的センスと財力によって、当時の都のトレンドが持ち込まれた結果、「これぞ我々の求めていた日本そのもの」と海外から注目される建造物となったのです。

打ち寄せる波のなよやかさと、山々の威風に負けない猛々しさが絶妙なバランスで保たれている秘密は、平安貴族が愛した建築デザイン「寝殿造」の持つ自然に対する包容力にあります。

「春はあけぼの」で始まる『枕草子』に代表されるように、平安時代の貴族は自然美へのアンテナが高く、木々や花、水の流れという自然を身近に、しかも活き活きと楽しめるよう住まいに工夫をこらしました。それが昇華されたのが、「寝殿造」という形式です。

平清盛は武家というイメージが強いですが、当時、武将はむしろ裏の顔であり、朝廷をコントロールする有力公卿として、都で最先端の美学を身につけ、発信していた人物でした。

その美学は、厳島神社の社殿をセンターに、左右へと長く伸びる回廊であったり、社殿の下に広がる庭の代わりの平舞台に見受けられます。

海のさざなみの音と一緒に楽しめる平安貴族の世界観に、戦国武将の毛利元就も尊敬の念をもって接し、改築の際にも大きなデザインチェンジを行わないまま温存されました。

なぜ厳島神社と平清盛が結びついた?

「平清盛が厳島神社を現在のデザインにプロデュースした」

と知った時、一番最初に浮かぶ疑問。それは、

「京の都から遠くない?」

ということではないでしょうか?

京都から宮島まで、おおよそ400km。現代でも遠いと感じる距離なのに、平安時代末期ならなおのこと、遠国に感じられたことと思います。
この両者の関係を紐解く存在が、「瀬戸内海の海賊」でした。
政情も不安定な上、自然災害が多く発生した平安末期は、まさに末法の世と言われ、盗賊や海賊が大手をふるって悪道を働いていました。
宋やその他国内外の海洋交易の中心地である瀬戸内海は、特に海賊の勢力が強すぎて国政にまで影響を及ぼすほどでしたので、朝廷はこれらの海賊追討軍を派遣することになりました。
その追討使が平清盛の父、平忠盛だったのです。
その後、平忠盛は瀬戸内海の海賊を支配化に置き、宋貿易で巨万の富を得、その富と人材はそのまま子の平清盛に引き継がれた結果、「平家にあらずんば人にあらず」という平家興隆の礎となりました。
平清盛自体も、安芸守として在任中に、熱心に厳島神社に参拝していたこともあり、結果、距離を越えた力強い縁ができあがったのではないでしょうか。

平清盛のゴージャスなセンスが味わえるアイテムの数々

「ゴージャスでハイセンスな平家の残り香をもっと感じたい」
という皆さんにおすすめなスポットがあります。
「厳島神社 宝物館」です。

現代に生きる若者だからこそ胸躍る色彩美や、公家と武家のMIXな感性が盛られた武具など、どこか異国の空気すら感じる平家の美学が堪能できます。
日本人なら一度は目にしたい国宝『平家納経』は、ストイックな趣ある教典に、当時最高級だった画の顔料を隙間なく塗りこめたもの。平家の型破りな美学をまるごと感じ取れるアイテムです。
時代の寵児だった平家の公達が身につけただろうハイセンスな太刀や武具、カラフルな舞楽面など、見れば見るほど平家政権の覇気を感じるものばかりです。

平家ファンが持ちたいお守り

武家にして人臣極めた太政大臣にまで昇りつめた平清盛の運や実力、そのゴージャスさにあやかり、美的センスまで身に着けたい人にこそ持って欲しいお守りは、厳島神社の開運お守りです。開運=合格祈願ともなるので、受験生や資格試験中の人にもおすすめのパワーアイテムです。

また、最近若者に人気の開運グッズが、宮島の「守り砂」です。
宮島の砂を持ち歩くことで道中の安全を祈願した旅人の伝説にあやかったお守りは、現代的なおしゃれデザイン。ポーチに忍ばせたり、デスクに置いたりと、ライフスタイルに合わせて選べる容器なのが嬉しいです。

平清盛のセンスは現代人のハートに響く永遠のもの

千年近く時代を経ても、その時々の民衆は厳島神社の美しさを愛しました。時代を超えて支持をうける厳島神社という建造物をプロデュースした平清盛、その平家一族の美的センスは、ユニバーサルなものだったのではないでしょうか。

世界中の美を浴び続ける現代人の心に、この厳島神社と平家一門の美観がどう響くのか、自分自身の心でぜひお確かめ下さい。
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