四字熟語

八方美人

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本来の意味は、どこから見ても欠点のない美人、というものでした。
しかしそこから転じて、だれにでも良い顔して上手にふるまう人、という否定的な意味合いで使われることがほとんどになっています。

由来

「八方」というのは、すべての方角、すなわち東、南、西、北、北東、北西、南東、南西の八方位を表します。つまりどの方面に対してもという意味です。もともとは「どこからみても」という意味で使われていたようですが、そのうちに「どこに対しても」というふうに変わってきました。そして「美人」という言葉も元は顔かたちが良い、という本来の意味でしたが、それも「良い顔をする」「愛想がよい」という意味に変わっていきました。

似たような話は昔の童話にも出てきます。大きな派閥争いがあったときにどちらのグループにも取り入ろうとしたコウモリの話です。どちらにも良い顔をしていたために、結局どちらからも深く信用されないという結末を迎えていきます。その話が元になって、どっちつかずの立場をふらふらとしている人を指して「コウモリ野郎!」と揶揄されることが今でもあります。

意味の変遷

意味が変化していき、「だれにでも良い顔をする」という意味合いで使われるようになっていくと否定的な意味合いで使われるようになっていきます。その態度も消極的なものから積極的なものまで様々です。たとえば、弱腰で強いことを言うことができずに、誰からの意見も逆らわずに聞いているうちに「八方美人」と言われるようになるかもしれません。これは決して強い下心はあるわけではないでしょうが、見方によっては誰にでも良い顔をしているように見えてしまうのです。

また、積極的な八方美人もいます。女性を指す場合であれば、様々な男性に色目を使い、好意を持っているそぶりをすることで好意や物品を手に入れようとするものです。男性であれば、色々な取引先などに調子の良いことばかりを言い、どこからも嫌われないようにやっていこうという姿勢をさします。どちらも本人は気付いていないかもしれませんが、周囲の人間から見ると「なりふり構わない八方美人」と悪い印象で見られることが多くなるケースです。

使用法、使用例

「営業のAがまた来てるらしいな」
「あいつは八方美人だからライバル会社にも顔を出してるよ」

「あれ、B子さん、また違う男性と歩いてるな」
「彼女はどの男にも良い顔してる八方美人だよ、おまえも気をつけな」
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