四字熟語

一朝一夕の意味・使い方

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意味

きわめて短い時間、わずかな時間のこと。
簡単で気軽にできること。

由来

古代中国の儒教の経典である「易経」に記載があります。
原文では、
「臣弑其君、子弑其父、非一朝一夕之故。其所由來者漸矣。」
書き下し文では、
「臣にして其の君を弑し、子にして其の父を弑するは、一朝一夕の故に非ず。其の由りて来たる所の者は漸なり。」
現代語訳すると、
「臣下でありながら主人を殺したり、子どもが父親を殺したりするのは、簡単なことではなかったはずである。それは何か重要なことがあったのであろう」
とあります。ここでは一朝一夕は「簡単なこと」という意味で使用されています。

古代の中国では「義」「孝」の思考が非常に強いものでした。家臣が主君に対して、子どもが親に対して孝行や忠義の思いを強く持つことが普通であったのです。それに背いてまで主君や親を殺すのですから、それは簡単ではないよほどの理由があったのであろうと推測されているのです。

意味の変遷

このようにもともとは「気軽なこと」「簡単なこと」という意味でしたが、漢字の成り立ちから「一朝」は朝が一回、「一夕」は夕方が一回ですので非常に短い期間を表すようにもなっていきました。現在では「わずかな時間」「簡単に」という両方の意味で使用されています。また、元の文章が中国の文章ですので、日本語の読みでは珍しい「一夕」を「いっせき」と読むようになっています。漢字検定などのテストで読みを問われることが多くなっています。

使い方

一朝一夕は使用する際は、ほとんどの場合で「そんなこと一朝一夕にはできない」というように否定文で使用されます。これは「簡単にはできない」「短い時間ではできない」という意味合いになり、いくら「簡単」という意味があるからと言って「この仕事は一朝一夕にできる」というような肯定の意味で使用することはありません。その使い方には注意が必要となっています。「一朝一夕には・・・できない」という打消しの語を伴って否定になるということを覚えておきましょう。

似た意味の熟語との比較

非常に似た意味の言葉で「一旦一夕」(いったんいっせき)というものがあります。これは「一時的に」「とりあえず」「ひとまず」という意味で使われる熟語です。

使用法、使用例

「ああ、俺は宮大工になることを決めたよ。これで俺の未来は安泰だ」
「おいおい、宮大工なんて一朝一夕にはなれないぞ。厳しい修行に耐えられるのか?」
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