ことわざ

不幸中の幸い

関連キーワード

不幸なできごとの中でせめてもの救いがあること。

由来

どの時代に成立したかは明確になっていません。近世の資料に共通して残っているのは、とにかく不幸な出来事が起こってしまったが、その中でまだ救いとなる部分があったということです。たとえば洪水が起きて家屋が何軒も被害にあったが、けが人や死者がでなかった。家が泥棒に入られたが、貴重品は盗られなかった。などどの時代でも内容として通用するものばかりです。

比較されることわざ

よく「怪我の功名」と比べられます。こちらは失敗やアクシデントが起こってしまったことが結果的に良くなったということを意味しますので、厳密に言うと内容は異なっています。「電車に乗り遅れてしまったが、そのおかげで電車事故にあわなくて済んだ」というのが怪我の功名です。ここでいう怪我というのが失敗やアクシデントのことを表し、功名というのがうまくいった、良かったという内容を表します。失敗したことが逆に良かった、という感じでしょうか。

意味の変遷

不幸中の幸いは、まず不幸なことが起こるので、その中からせめてもの救いを探すというような意味合いで使われていました。しかし最近では、精神的な支えやカウンセリングなどにも利用されることわざになっています。考え方の違いで、不幸があったことをいつまでも嘆き悲しみに陥っているだけでは心が救われません。
ステップとしては、
1. 不幸になったことの現実を受け止めてよく考える
2.その不幸に対して落ち着いて向き合う
3. その不幸の中でせめてものプラス面を考える
4. そのプラス面を集中して見つめる
という順番です。「かばんを落としてしまったが、財布と鍵はポケットに入れていたので助かった」「車で事故を起こしてしまったが、幸いにもだれもけが人を出さなかった」というようなことです。

もちろん「怪我の功名」とは違って、失敗したり不幸になったことが最終的に大きくプラスになったりはしないかもしれません。しかし、すべて不幸だけで埋め尽くされてしまうのではなく、大きなマイナスの中でもプラスを探し出すことによって精神面の安定を図るというのが、この試みの中心となっています。

類似のことわざ

「怪我の功名」・・・さきほどから出ていることわざです。失敗したことが結果として良い結果になるということです。
「嬉しい誤算」・・・まったく考えていなかったのに有利な状況や良い結果を生み出すことになったことです。
「偶然の賜物」・・・意図していなかったのに思いもよらない良いできごとが起こったということです。
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ