ことわざ

木に縁りて魚を求むの意味・使い方

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意味

ものごとの一部分だけしか見ていないために全体を見れないこと。
方法がそもそも間違っているので目的を果たすことができないということ。
手段が誤っているので何かを得ようとしても得られないということ。

由来

古代中国の春秋戦国時代の思想家である「孟子」が斉の国王である宣王に対していった言葉が由来となっています。孟子は孔子の儒教の教えを説いてまわる思想家で、その考えは「王が仁徳によって国や人民を治めれば国は安泰である」という「王道政治」を説くものでした。様々な国をまわり王に向かって教えを説きましたが、世の中は力を持って相手を支配するという「覇道政治」が盛んになっている時代でした。そのため孟子の言うことを一応聞きはするものの、それを実践しようとする王はおらず、孟子の理想は受け入れられることはありませんでした。

その孟子は武力を持って隣国を制圧しようとする斉の宣王に対してこう告げます。
「土地僻き秦楚を朝せしめ、中国に莅んで四夷を撫せんと欲するなり。若き為す所を以て若き欲することろを求むるは、猶お木に縁りて魚を求むるがごときなり」と。
これは、
「斉の領地を広げて秦や楚を屈服させて中国を統一して、中国の周囲の蛮族たちをも平定させようとしている。しかし、そのようなやり方をしていて、これを成し遂げようとしてもそれは木に登って魚を探して得ようとするようなものだ」ということです。
これは斉が国力に勝る秦や楚に対して武力で挑んでも勝てないとするもので、それは中国を統一しようとするには間違えた手段であるということを告げています。この時点で楚や秦は斉よりも広い領土と多くの兵を持っており斉が正面から武力で当たっても勝てないと言いきっています。孟子はそのような武力によってではなく、王の仁徳によって国を治めていれば、人民は王を慕って王のもとに集まるということを説いていたのです。
ここから、何かをしようとしているときにその手段が間違えているために失敗するという意味になっていきました。

英語表現では、
Look not for musk in a dogs kennel.
(犬小屋の中に麝香を見つけようとするな)
You ask an elm tree for pears.
(楡の木に梨を求める)
というものがあり、見当違いであるということを強調しています。

意味の変遷

現在でもその意味は変わることなく使われており、手段が間違えているのでうまくいかないという意味合いです。

使用法、使用例

「はあ、彼女が欲しいな。とにかく外をうろうろとしてみるか」
「木に縁りて魚を求むという感じがするな。もっと自分を磨いたほうがいいんじゃないか?」
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