ことわざ

雉も鳴かずば撃たれまいの意味・使い方

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意味

余計なことを言ったばかりに自ら災いを招いてしまうことのたとえ。

由来

もとになったとされる説話がいくつかあります。

まず一つ目は、長野県に伝わるもので、洪水を防ぐための堤防を作る際に人柱をたてたことが関係しています。人柱とは何か建造物を建てる際などにいけにえとして人を生き埋めにしたり、その首をささげたりすることで神の加護を得るというものです。

この堤防に誰をいけにえにするかともめていた時に、ある娘が歌っていた手毬歌の歌詞に自分の父親が米や小豆を盗んだという歌詞がありました。それを理由に父親は村人たちにいけにえとされ、娘は自分が不必要に手毬唄を唄ったことで父親が死んだことを気にして村から姿を消しました。数年後、村の猟師が雉が鳴いている声を聞いてその雉を仕留めました。するとあのときの娘が現れて、「雉も鳴かずば撃たれまい」と言いながらその雉を連れて再び姿を消したというものです。

二つ目は、大阪の長柄川の橋を作る際の人柱にかかわるものです。占いで指定された男とその妻子が休憩していたところに近くで雉が鳴きました。それを聞きつけた役人が男を発見して人柱にしました。嘆いた妻は「雉が鳴いたせいで夫は人柱にされた」という意味の歌を残して子供と共に川に身を投げて死にました。哀れに思った人たちが橋姫明神を祀ったとされています。

三つめは城の修理に関してです。何度修理しても壊れてしまう石垣がありました。あるとき、一人の男が「昔から横じまの着物を着た男を石垣に埋めれば石垣は崩れないと言う」と発言しました。村人たちは村中の男を探しましたが、横じまの着物を着ているのはそれを言い出した男だけでした。そして男は石垣に埋められることとなり、その当日に男の家の近くで雉が大声で鳴きました。それを聞いた男は「雉も鳴かずば撃たれまい。自分もいらぬことを言わなければ埋められないのに」と言い残したということです。

最後はもっとも単純で、雉は鳴くときに大声で鳴くために簡単に居場所がわかって猟師に撃たれるということからきたものです。

英語表現では、
Quietness is best as the fox said when he bit the cooks head off.
(雄鶏の頭を噛み切った狐が言ったように、静かにしているのが一番良い)
というものがあります。

意味の変遷

現在でも「不必要なことを発言したためにひどい目にあう」という意味で使用されています。上司の前での失言や、発言したことで周囲から責められるようなときに使用されています。

使用法、使用例

「なんであいつは発言したんだろう。あんな場で発言したら仕事を任されるのはわかりきっているじゃないか」
「雉も鳴かずば撃たれまい。おろかなやつだな」
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