ガーデニング

夏のお庭を涼しげに。ルリマツリを自分流に楽しむ

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夏〜秋にかけて、さわやかなブルーや白い小さな花を手毬のように枝の先端に咲かせるルリマツリは、花の少ない時期に心を和ませてくれるお庭にぜひ欲しい植物です。 寒冷地では屋外で越冬できませんが、暖地では庭植のまま冬越しできます。

つるのように枝を伸ばしていき、ある程度伸びたら垂れ下がってくるので、伸びすぎた枝を大胆にカットして樹形を整える必要はありますが、基本的には丈夫な植物です。 伸びすぎた枝を切らずに誘引してフェンスやトレリスに添わせたり、トピアリーにしたり絡ませたりとアレンジして楽しむこともできます。

ルリマツリの花は5〜11月と長く楽しめる

ルリマツリは南アフリカ原産で、原産地では常緑ですが、霜に当たると枯れてしまう寒さに弱い低木なので、霜が降りないような暖地では屋外で越冬できますが、葉が落ちてしまいます。「ルリマツリ」というのは和名で、学術名は「プルンバーゴ」といいます。

ルリマツリは真夏は花数が少なくなりますが、生育環境によって差があるものの、5〜11月の長期間、青や白の花を次々と咲かせてくれます。花一輪が咲き続けるのは1週間くらいですが、小さな花が寄り集まった花手毬のような花を、伸ばした枝先に次々と咲かせてくれるので、長く花を楽しむことができます。

花のついている枝先のすぐ下に、次の花芽が枝分かれして付くので、花が終わったらすぐに新しい花芽の上で切って、蕾に栄養が行くようにします。

ルリマツリは日当たりの良い庭植がおすすめ

ルリマツリは日当たりの良い場所で育てると花つきがよくなり、庭植で育てる方が鉢植えよりも花つきもよくなるばかりでなく、基本的な水やりは自然任せでよくなるため、世話に手間がかからなくなります。

しかし、耐寒温度が0℃までなので、寒冷地では遅霜の心配がなくなったころ庭に植えて、秋に鉢上げして室内に取り込むようにするか、通年鉢植えで育てて秋に室内に取り込む必要があります。

冬に日当たりの良い室内で育てる場合、ルリマツリの葉が落ちなければそのまま花を咲かせ続けることができます。室内に鉢を取り入れるとき、地上部も扱いやすい大きさに切り詰めますが、花芽を残して剪定しておくと花が期待できます。

ルリマツリの肥料は置き肥と液肥を併用して

春から秋にかけて、肥料切れしなければルリマツリは花を咲かせ続けるので、肥料切れがしないように、毎月、株もとに固形の緩効性化成肥料をひとつかみまき、合わせて規定量に薄めた液体肥料を週一回水の代わりに与えるようにします。

夏以外に花が少なくなってきたら肥料切れのサインなので、すぐに液体肥料を与えて緩効性化成肥料も追加でまくようにします。

ルリマツリを庭植にするときは、植穴に牛糞堆肥を混ぜ込んだところに腐葉土をたっぷりと混ぜ合わせた庭土で植え、さらに鉢植えと同様に株もとに毎月緩効性化成肥料をまいて、週一回液体肥料も与えるようにしましょう。

ルリマツリの植え替えのタイミング

ルリマツリは根の生育が旺盛なので、鉢植えで育てる場合は、1〜2年ごと、できれば毎年植え替える必要があるので、毎年植え替えたとしたら、地植えで育てて毎年秋に掘りあげて鉢植えで室内栽培するのと、植え替えの手間そのものは同じになります。

鉢植えで育てる場合も春〜秋にかけては屋外で栽培するので、秋に鉢を室内に取り込むのであれば、植え替えをしない場合でも鉢を外して根の状態を確認し、虫がついていないかチェックしてから室内に取り入れるようにしましょう。地上部も扱いやすい大きさになるように切り詰めて、同様に虫を確認しておきましょう。

ルリマツリの植え替えの適期は5〜7月なので、通年屋外栽培できる暖地であれば、植え替えの適期に、鉢底から根が伸びてきた時や、水やりしても水がしみてこなくなった時に鉢を外して植え替えをしますが、室内に取り込むのであれば、秋に室内に取り入れるときに植え替えしておくと手間が省けます。

土を1/3程度落として伸びすぎた根を切り詰めて、一回り大きな鉢に新しい土で植え替えます。この場合は地上部も1/2くらいの樹高に切り詰めますが、花芽の上で切るようにします。

水はけのよい土を好むので、赤玉土腐葉土=3:2でブレンドしたものがおすすめですが、一般の培養土そのまま、培養土に少し赤玉土をブレンドしたものなども利用できます。

ルリマツリの水管理

ルリマツリを庭植で育てる場合は、植え付け時にたっぷりと水やりをした後は、夏に日照りが続いて乾燥気味にならない限り、基本的には自然任せにして水やりは必要ありません。

しかし、ルリマツリは基本的には多湿を好み、乾燥しすぎると枯れてしまうので、庭植でも真夏など乾燥気味の時は朝夕水やりをした方が弱らせずによい状態が保てます。

ルリマツリを鉢植えで育てる場合は、土の表面が乾いてきたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりしますが、鉢底には水をためないようにします。

真夏に、朝夕水やりしてもぐったりしているときは、土の中の温度が上がりすぎて根がダメージを受けているので、庭植の時は株もとにココピートなどのマルティングをして根を保護してみて、それでもだめなら涼しいところに植え替えるようにし、鉢植えの場合は直射日光の当たらない、涼しい明るい日陰に鉢を移動させましょう。

冬に葉を落としているときは休眠して根が水をすわないので、乾かし気味に管理して、土の乾燥がひどいときだけ天気のいい午前中に水やりできますが、冬に土が湿っていると病気になりやすいので、多少の乾燥であれば水やりは控えるようにしましょう。

ルリマツリの病害虫

アブラムシ・青虫・ヨトウムシなどが付くことがあるので、あらかじめオルトランなどのあまり強くない殺虫剤を株もとにまいておくと寄り付きにくくなります。ヨトウムシが付くと虫が見当たらないのに食害が広がるので、株元を移植ごてで何か所か掘って地中にいるのを見つけて捕殺します。

ハダニやスリップスなどがつくと葉色が極端に悪くなり、周りの木々にもひろがりやすいので、広がる前に状態が悪い枝ごと切り取ってビニール袋に密封して処分し、残った株にベニカXスプレーなどの植物用の殺虫剤を葉の裏表全体にスプレーしておきましょう。

葉の裏表に水がかかるように強めのシャワーで葉水をかけることで、アブラムシやハダニ、スリップスなどをつきにくくでき、少しの虫なら洗い流せるので、虫予防に時々葉水をかけておくのもおすすめです。

名前に「ルリマツリ」とついているのにルリマツリとは異なる植物

「ルリマツリ」は、ジャスミン(茉莉花マツリカ)に似た瑠璃色(青色)の花を咲かせることから、「ルリマツリ」と呼ばれています。

ルリマツリによく似た美しい青い花を咲かせて、名前に「ルリマツリ」が入っているけれどルリマツリとは異なる植物に、ルリマツリモドキ、ブータンルリマツリ、アルタイルリマツリがあります。
これらはすべて、イソマツ科ケラトスティグマ属(ルリマツリモドキ属)で、同じイソマツ科でもプルンバーゴ属(ルリマツリ属)で学名プルンバーゴであるルリマツリとは別に分類されています。

ルリマツリモドキ、ブータンルリマツリ、アルタイルリマツリの特徴と、育て方を簡単にご紹介しましょう。

ルリマツリモドキ(Ceratosigma plunbaginoides)

ルリマツリモドキ属の植物として最も栽培されている品種が、「ルリマツリモドキ」という和名がつけられた中国西部原産の多年草であるプルンバギノイデス種です。
ルリマツリモドキの開花期間は7月〜10月で、暑さが増してきた花の少ない時期に、涼しげな青い花を咲かせてくれます。

秋に紅葉した後、秋が深まると地上部分がかれてしまい、冬には地下部だけになってしまいますが、春暖かくなると再び芽吹いてくれます。
ルリマツリモドキとブータンルリマツリは別の品種ですが、ルリマツリモドキがブータンルリマツリとして販売されていることもあります。

ブータンルリマツリ(Ceratosigma griffithii)

ルリマツリモドキ属の植物であるグリフィチー種は、中国西部からチベットが原産地で、「ブータンルリマツリ」の和名があります。
ブータンルリマツリは大きくなっても1mくらいまでしか伸びない低木なので、大型の多年草のようにも扱うこともできます。

ブータンルリマツリは、少ししだれたようになるまっすぐな枝の常緑樹で、涼しくなって過ごしやすくなる9月〜10月に開花します。
冬になると葉が赤く色づくので、花だけでなく葉色の変化も楽しめます。

グリフィチー種であるブータンルリマツリはルリマツリモドキ属ですが、和名が「ルリマツリモドキ」のプルンバギノイデス種とは異なる品種の植物です。
しかし、ブータンルリマツリもまた、「ルリマツリモドキ」として販売されていることがあります。

アルタイルリマツリ(Ceratosigma willmottianum)

ルリマツリモドキ属の植物であるウィルモチアナム種は、中国西部からチベットが原産地で、「アルタイルリマツリ」の和名がありますが、「チャイニーズプルンバーゴ」とも呼ばれています。

アルタイルリマツリも大きくなっても1mくらいまでしか伸びない低木ですが、よく枝分かれするので、株がこんもりと茂ります。
開花期間は7月〜10月なので、ルリマツリモドキと同じく、暑さが増したころに涼しげな青い花を咲かせてくれます。

アルタイルリマツリは秋になると紅葉し、冬季は葉が枯れ落ちる落葉性低木ですが、春になると再び葉を茂らせてくれます。

ルリマツリモドキ属の育て方の注意点

ルリマツリモドキ属は水はけのよい場所なら、日当たりでも半日陰でもよく育ちます。
乾燥に弱いので、表面の土が乾いてきたら水やりしましょう。
多肥多湿にすると根腐れしやすいので、注意してください。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物、多肉植物、ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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