仏像

お坊さんのお作法から来ていた、行儀

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子供やペットに対しよく「お行儀よくしなさい」という言葉を使う場合があります。きちんとした作法を行儀と言い、時には華道や茶道などで行儀を身に付けることもあります。そんな「行儀」ですが、元は僧侶たちの言葉でした。

行と儀から成る

この言葉は行と儀の二つから成り立っています。
行とは行住坐臥(ぎょうじゅうざが)の略というか頭文字です。これは歩く(もしくは行く)、一つの所に止まる、どこかに座る、横たわり寝るとの四つの動作を示します。儀は作法や守るべき秩序などです。これらが合体した行儀とは、僧侶のとるべき作法や行為、動作の規則や行事などを意味します。

日常のお作法を大事に

歩いて、泊まって、座って、寝る。これは一般的に見て、日常生活でごく当たり前に行われている行為です。
「僧侶だけの言葉ではないのではないか」と思うところでしょう。しかし、この「日常の出来事」を当たり前に行うことが重要なのです。とある高僧が尋ねられました。「仏道の修行はどういった者が行っていますか」高僧は答えます。「私も修行をしている一人だよ。食事をしたり、衣を着たり。これが修行だよ」つまりどういうことかと言えば、ただボーッと食事や着替えをするのではなく、意識をして行うと言うことです。「私は服を着ている!」と大袈裟に考えて仰々しく着替えるのではなく、「服を着る、こうした何気ない動作でさえ修行なのだ」と意識することが大事と説かれています。
何気ない日常の動作、しかしそこには常に仏の道があると僧侶たちは考えているのです。

仏教儀式、三種行儀

仏教における儀式も時に行儀と呼ばれます。主に三種行儀という、念仏を唱える行儀が存在。

【尋常】
時間、場所を特に決めず、通常行う念仏のことです。

【別時】
時間と場所を決めて行う念仏のこと。この時は身を清めます。毎日念仏を唱えていたら何だか形骸化してしまうこともあるでしょう。気持ちが入っていないと意味がありません。「ただ唱えればいいのだよ」と言うのが浄土宗ですが、やるからにはビシッと気合いを入れたいものです。別時(行儀)は、マンネリ化を打破する意味もあります。

【臨終】
死者が出た時に捧げる念仏です。

まとめ

時に儀式、時に修行。しかし、それは日常でも行えるものでした。言い換えると、日常生活すべてが修行なのです。これは仏教に限ったことではありません。何せ、一般人でも行えるのが行儀です。日常でも、気を入れて行えば、何かが変わり、新しい世界が見えてくることでしょう。本当の意味での行儀とは僧侶の修行であり、作法。そして、日常生活をより充実させるものでした。

監修:えどのゆうき
日光山輪王寺の三仏堂、三十三間堂などであまたの仏像に圧倒、魅了されました。寺社仏閣は、最も身近な異界です。神仏神秘の世界が私を含め、人を惹きつけるのかもしれません。
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