仏像

無上の喜び、法悦をもたらす仏の教え

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「あなたの喜びは何ですか?」そう聞かれて、とっさに応えられる人はどれほどいるでしょう。「幸せは十人十色」とも言われますが、今の時代、「幸せだな」と感じる人がそもそもどのくらいいるでしょうか。

法悦の意味

仏教における最大級の幸福は涅槃、そして仏の教えを聞き、実感し、信仰することです。この喜びを法悦(ほうえつ)と言います。
サンスクリット語ではアーナンダ。またの名を法喜です。怪しい宗教じみているように聞こえるでしょう。しかし、なんの怪しいこともありません。仏の教えは飽くまで宇宙の真理に目覚めさせることが目的です。「あ、これが真理なんだ」と気づくことが初めの喜びとなります。

実践こそが喜び

ただ気付くだけではいけません。仏の教えを「アリガタイナー」と受け取るだけではなく、仏法修行で己を高めて解脱(最高級の悟り)に至るのが最上です。具体的に何をするかと言えば「法の実践」になります。
法とは何か、と言えば、古代インドのダルマに当たる物で、お釈迦様はこれに「現象はただ起きているだけ。現実を受け入れて、人として正しく生きなさい」との教えを付けました。

悟った直後のお釈迦様

実際、悟りを開いたことで無上の喜びを味わった方がいました。誰でもない、お釈迦様です。
まだ仏教というものは形としては現れていませんでしたが、後の仏教と法悦の原型となる体験です。様々な苦しみから逃れる為に出家をしたお釈迦様は菩提樹の下で瞑想を続けました。
その中で、「人も含めた生命は皆死んでは生まれ変わるんだ」ということを悟ります。
次いで、前世のことまで見通せるようになりました。そしてこの世界はすべて原因と結果から成り立っていることを知り、「全ての苦の原因は何も知らない、分からないという状態だ」と悟りました。
この何も分からない状態を「無明」と言います。

チョコレートのリラックス効果と、法悦との関係

心身をリラックスさせるには甘いものが良いとされます。特にチョコレート。
余計興奮するとの声もありますが、リラックス効果は絶大です。チョコレートにはポリフェノール等が含まれるためとされますが、実はここにも法悦が関わっていました。
法悦には、転じて「恍惚」と言った意味もあります。そこから名前を取った物質がアナンダミドです。
サンスクリット名のアーナンダからとられたこのアナンダミドは、脳内で分泌されるもので、快感、もしくは幸福な気持ちをもたらすといいます。これが、チョコレートの原料であるカカオに多く含まれているのです。

まとめ

何も分からない状態から真理を知ると何とも言えない快感が沸き上がるのは、何も宗教だけに限ったことではありません。
「こんな世界があったのか」と目の前が晴れるような気持ちになることもあるでしょう。一つの例が勉強です。勉強を好き、という人は一般的に考えると少ないかもしれません。
しかし、分からなかった問題が急に溶けるようになった時の快感たるや例えようがないものです。
法悦とは信仰するだけで喜びが沸き上がることですが、ある程度理解していくと、霧が晴れるような心持にもなります。法悦はそんな快感など比べ物にならないほど大きいのです。

監修:えどのゆうき
日光山輪王寺の三仏堂、三十三間堂などであまたの仏像に圧倒、魅了されました。寺社仏閣は、最も身近な異界です。神仏神秘の世界が私を含め、人を惹きつけるのかもしれません。
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