大興善寺は四季折々の花や紅葉が美しい古刹

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大興善寺は佐賀県にある天台宗の古刹。高速バスで福岡市内から45分と、アクセスも良く、観光にも参拝にも便利な場所にあります。大興善寺の契園では、四季折々の花や紅葉の楽しめ、周辺にはアウトレットモールもある人気のエリアです。

大興善寺は福岡県と佐賀県の県境にある古刹

大興善寺があるのは佐賀県三養基(みやき)郡基山町。住所は佐賀県ですが、福岡県との県境にある基山に建てられた寺院です。山号は小松山、天台宗の別格本山でご本尊には十一面観世音菩薩を祀っています。

大興善寺の縁起について記された記録は3点あり、いずれも細部において多少の相違点があるものの、聖武天皇の勅願によって行基が創建したというのが、もっとも信頼できる説とされています。その後焼失した草庵を、平安時代に慈覚大師円仁が再建し、大興善寺と名付けられました。円仁が再建する以前は、無量寿院と称していたと伝えられていましたが、近年では小松寺と呼ばれていたという説もあるようです。

戦国時代にも数度にわたる焼き討ちに会い、中世の大興善寺の姿については定かではありません。当時この地を治めていた筑紫惟門が再建したと伝えられ、江戸時代には対馬藩主から庇護を受けるようになりました。現在の本堂はこの頃に建てられたものです。

ライトアップされた幻想的な紅葉を楽しめる大興善寺

大興善寺の裏山には約5万本のつつじが植えられ、シーズンには臨時バスも出るほど、多くの人が訪れます。その美しさは「つつじ寺」と呼ばれるほど。参道の石段の両脇に植えられたつつじに出迎えられ進むと、斜面を覆い尽くすように咲き誇るつつじに圧倒されます。

つつじに次ぐ大興善寺の見どころと言えば紅葉の季節。つつじ園から始まった契園(ちぎりえん)では、毎年紅葉の季節になるとライトアップが始まります。普段は日没とともに閉門する大興善寺も、ライトアップの季節だけは夜20時まで入園できます。

あじさい苑も隠れた見どころのひとつです。契園を生み出した先代の住職は、のちに大原三千院であじさい園を作った人物。興善寺のあじさい苑にも、先代住職の花に対する想いがこもっているのを感じられます。

契山(ちぎりやま)は観音様が見守る恋人たちの聖地

大興善寺のある三養基郡には、基山と契山の2つの山があり、そのうち契山は「恋人の聖地」とされ、恋愛成就のスポットとして人気を集めています。契山が恋愛のスポットになったのは、二つの山にまつわる伝説がきっかけです。

契山は、基山の山頂から下界を眺めていた五十猛命(イソタケルノミコト)は、佐子姫(サコノヒメ)という美しい娘を見初められ、隣の山の頂で契を結ばれたという伝説から、契山と呼ばれるようになりました。契山にある「契園」には、山頂に「契山観音」が祀られており、紅葉やツツジを楽しむ人々とともに、恋愛成就や夫婦円満を願う人々も多く訪れています。

契山の名前の元になった伝説に登場する五十猛命は、素戔嗚尊の子供の一人で、新羅から樹木の種を持ち帰り、日本を緑豊かな国にしたと言われる神様です。樹木を植え始めたのは九州からとされており、最初に植えたのがこの基山だとも言われています。林業を始め、造船や航海安全・大漁の神様として信仰され、商売繁盛や厄よけのご利益もあるとされる神様です。

大興善寺は中国にも同じ名前の寺院がある

慈覚大師円仁のよって名づけられた大興善寺ですが、その名前の由来は仏教伝来の地、中国にある同名の寺院です。中国の大興善寺ができたのは、隋の時代の文帝の頃。都のあった長安に建てられた寺院でした。文帝が即位後に作った途上「大興城」と、大興城の中心部にあった「靖善坊」から字をとって、大興善寺と名付けられたようです。

大興善寺ができた隋の時代とその次に興った唐の時代を通して、長安の都でもっとも大きな寺院として栄えました。当時の日本では遣隋使や遣唐使の時代、円仁や円珍など多くの僧もこの大興善寺を訪れ、仏教を学びその教えを日本へ持ち帰りました。慈覚大師となった円仁がこの寺院の名を借りたのは、自らが学んだ大寺院にあやかってのことだったのでしょう。

隋・唐と長きにわたって隆盛を誇った大興善寺でしたが、唐代後半に行われた仏教排斥によって大打撃を受け、清の時代にイスラム教によって壊滅してしまいます。現在は大興善寺の跡地が公園として整備され、伽藍も整備され寺院の体裁も整いましたが、当時をしのばせるものは残っていません。名前からも「大」の字を外した興善寺を称しています。

大興善寺の周りには観光スポットがいっぱい

大興善寺の周辺には有名な観光名所が数多くあります。参拝に訪れる人がもっとも多く訪れるのが、鳥栖プレミアムアウトレット。大興善寺の参拝の後、食事を済ませてから買い物をする人が多いようです。鳥栖プレミアムアウトレットから、福岡の天神までを45分で結ぶ高速バスが発着しているのも、鳥栖プレミアムアウトレットが大興善寺参拝に便利な理由のひとつ。福岡市内の観光にも便利です。

福岡といえば学問の神様で有名な太宰府天満宮。大興善寺の契山で縁結びのお願いをして、太宰府天満宮では至誠(まごころ)の祈願と、ダブルで御利益を得られます。太宰府天満宮の同じ敷地内には、ガラス張の建物が印象的な九州国立博物館もあり、広い敷地内は散策にも人気のスポットです。

大興善寺を訪れてから鳥栖プレミアムアウトレットに寄って、福岡市内へ観光に向かう人や、反対に福岡市内から足を伸ばして参拝に訪れる人も多いようです。福岡方面を訪れる際には、大興善寺にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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