盆栽

初心者が四季を楽しむためにおすすめのカラマツの盆栽

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松柏類盆栽は常葉樹が殆どですがカラマツは、紅葉が美しい雑木類盆栽と同じように落葉するので、季節の移り変わりを身近で楽しむことができる初心者のおすすめの盆栽です。カラマツの盆栽は他の松柏類盆栽と比べて育て方や管理の仕方が若干異なりますが基本的な育て方を把握すると、初心者でも簡単に育てることができる樹種です。

カラマツの特徴

カラマツは、日本に自生している松の樹種の中では、唯一葉が落葉して、富士山麓の北側、日光、上高地、長野県の浅間山や八ヶ岳などの亜高山帯に自生している日本固有のマツ科の針葉樹です。カラマツは、別名「富士マツ」、あるいは「日光マツ」とも呼ばれ、自生している地域は限られています。

カラマツが自生している場所は、陽当たりが良く他の樹木などが自生していないところです。しかし、他の樹木が近くに自生し始めると、カラマツは他の樹木の樹勢によって弱ってしまう特徴があります。また、カラマツは、空気がきれいな場所を好む樹種なので、大都会や公害が懸念される工業地帯などで育てる場合は難しさがありますが、今日ではいろいろ工夫をして育てることが可能です。

カラマツは、春になると美しい淡緑色の新芽が伸び出し、初夏になると淡緑色をした新葉が鮮やかになり、秋には黄葉、そして落葉後の冬には寒樹に樹姿が変わります。カラマツは松柏類盆栽の仲間ですが、紅葉や楓などの紅葉が美しい雑木類盆栽と同じように四季の移り変わりの美しさを楽しむことができる樹種です。

また、カラマツは亜高山帯地域に自生している樹種なので、関東より南の地域で育てる場合は、夏の管理が大事です。特に夏の厚さで根が傷みやすいです。

初心者がカラマツの盆栽を育てる場合は、園芸店などで植林に使われなかった苗木が販売されているので、簡単に入手をすることができます。カラマツの本来の趣を持っている種木は、山取りのものの方が良いですが、園芸店などで販売されている苗木でも自分好みの樹形に仕立てやすいです。

春の植えかえと軽めの施肥がポイント

カラマツの盆栽の植えかえは、新芽が出始める春に行い、植えかえが終わってから一月が過ぎた頃に軽めの施肥をすることがポイントです。

* 春の植えかえ
カラマツの盆栽の植えかえは、新芽が出始める3月頃が適期です。初心者が植えかえを行う目安は、新芽が少し膨らみ、葉先もまだ巻いている時期が、植えかえをするためには、一番の適期です。

植えかえは、他の松柏類の盆栽と同じように若木は2~3年、成木は4~5年に一度の割合で、水はけの良い用土を使って行います。
植えかえには、赤玉を4割、桐生砂を6割位の割合で混ぜた用土を使うと、比較的水はけが良い土壌環境を作ることができます。カラマツは用土の水はけが悪いと、根腐れを起こしやすいので、枯れてしまう恐れがあります。そのため目詰まりしにくい粗目の用土を配合すると無難です。

* 軽く与えるカラマツの施肥
盆栽を丹精込めて育てていると沢山施肥を与えたくなってしまいがちですが、カラマツの施肥は軽く与えることがポイントです。カラマツの施肥は、固形の油粕を使いますが、骨粉が入っているものがベストです。

カラマツの盆栽に沢山の肥料を与えてしまうと樹が枯れてしまったり、病気が発生する原因となったりしてしまいます。また、落葉が始まっている時期の施肥も避けます。葉が完全に落葉して寒樹になったら、施肥を1回行います。

施肥を与える時期は、植えかえが終わってから一月位後です。この時期になると、植えかえ後の根つきもしているので、無難です。また、植えかえをしない時の施肥の適期は、新芽が出始めた頃から梅雨入り前までです。特に梅雨の時期と夏の酷暑時期の施肥は避けます。夏の時期に施肥をする場合は、比較的土用明けから秋の紅葉が始まる前頃までに、月1回の割合で施肥をします。

乾き気味に育てるカラマツの盆栽

カラマツの盆栽は、乾燥気味に育てることがポイントです。また、病害虫対策や季節ごとに異なった置き場所で管理をすることもポイントです。

* 水やり
カラマツは耐乾性のある樹種なので、比較的鉢土の表面が乾燥気味になっている方が、生育が良いです。常に鉢土の表面が湿っていると生育も悪くなり、根腐れを起こして枯れる原因となってしまいます。そのため初心者がカラマツの盆栽に水やりをする場合は、鉢土の表面が完全に乾燥してから水を与えた方が無難です。

また、カラマツは、空気が汚れている環境では育ちにくい樹種なので水やりの際は、葉水を与えて葉の汚れを落とすことも必要です。しかし、葉水は、陽射しが強い真夏の日中に行うことは避け、涼しくなった夕方から夜にかけて行うことがポイントです。

* 注意すべき病害虫
カラマツは、比較的病害虫には強い樹種ですが、カイガラムシやアカダニには注意が必用です。これらの害虫の予防対策として、12月頃に入ったら石灰硫黄合剤を30倍位に薄めて散布すると効果が期待できます。

* 季節によって異なる管理場所
カラマツの盆栽は、季節によって管理場所が異なります。

春と秋は、陽当たりや風通しが良い場所で管理をします。その際、他の盆栽より高い場所で管理をすると、一層陽当たりや風通しが良くなるので、樹の生育が良くなります。

梅雨開けから9月のお彼岸頃までは、夏の暑い日差しにより葉焼けを避けるために強い日差しを遮ってくれる簾などを使って、日除け対策をした場所で管理をします。

冬の時期は、初冬に数回程度霜に当てた後に鉢土が凍結せず温度もあまり上がらない場所で管理をします。

カラマツの整姿

カラマツの整姿のポイントは、芽摘み、針金かけ、枝抜きの3つです。
また、整姿作業では、短枝を育てるように心がけることが大事です。
特に樹が若い新梢には、短い枝と長い枝がありますが、短い枝を生かします。

* 短枝を生かす芽摘み
芽摘みは、5月の連休後から下旬にかけて行います。この時期になると新梢も長く伸び出しているので、残す長梢以外は、新芽の先端を摘み取ります。カラマツの芽摘みはこの時期だけ1回行います。この後に伸び出した新芽は翌春に芽摘みをします。

* 折れやすい枝の針金かけ
カラマツの枝は、とてももろいので針金かけをする際に無理に行うと、枝が簡単に折れてしまいます。

初心者がカラマツの枝を矯正する場合は、できるだけ針金かけをしないで、ハサミをつかった剪定などの方法で樹形を整えたりした方が枝を折る心配もないので無難です。

もし、カラマツの盆栽に針金を掛ける場合は、落葉後の12月から春の新芽が開く前までが適期です。遅くても3月末までには、終わらせることが大事です。その際は、いきなり針金を枝に巻き付けるのではなく、和紙などが針金に巻かれている「紙巻き針金」を使って行った方が、枝を痛めたりすることが少ないです。

* 植え時期に行う枝抜き
カラマツの枝抜きは、落葉後に行うことができますが、初心者は春の植え時期まで待って、新芽が開き終わらないうちに枝抜きをすることがおすすめです。

落葉後に行うカラマツの枝抜き作業を盆栽経験があまりない初心者が行うと、芽止まりが分かりにくいので、新芽を切ってしまう恐れがあります。

落葉するカラマツの盆栽は、季節の美しい移り変わりを雑木類盆栽と同じように楽しむことができるので、育ててみませんか。
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