編み物

引き抜き編み活用法!

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 毛糸をつなげる、モチーフの始めと終わりを閉じるときなど、『引き抜き編み』は部分的に使われることが多いです。それ以外の活用法を皆さんはどれだけ知っていますか?それぞれの活用シーンや施す際の注意点、コツを一つづつ見ていきましょう。引き抜き編みでハンドメイドの時間がもっと楽しくなります。

実際の引き抜き編みの編み方はこちらヴォーグ学園様の動画で確認できます。

1.段の始めと終わりの目をつなげる

一番使われる頻度が高いのはこの方法でしょう。平編みは次の段に移行するときにはモチーフを裏に返して編み進めます。一方、円形や筒状に編む場合には、同じ段の最初と最後の目をつないで次の段に移る必要があります。その際につなぎ目をなるべく目立たなくするための最小単位のステッチとしてより多く使われています。

注意点・コツ:つなぎ目をできるだけ隠そうと、糸を引っ張りすぎると周りの目まで巻き込んでしまいます。逆に緩すぎるとつなぎ目が目立って不格好な仕上がりになります。全体的な糸の緊張度と同じかもしくは少しだけタイトめに編むと綺麗に仕上がります。

ここで大事なポイントです。引き抜き編みは『ヤーンオーバー』で糸を拾っていきます。(別記事『きっと役に立つ!初心者が気になるかぎ編みのコツ&疑問/糸の緊張度を調整する』参照ください。)ヤーンアンダーだと表に並ぶ目の根元がねじれてしまいます。引き抜き編みはとても小さいく、糸のねじれがダイレクトに出るので注意しながら編みましょう。

2.縁をはぎ合わせる

次によく使われているシーンは、縁をはぎ合わせるときでしょう。『引き抜きははぎ』という手法で、長く編んだマフラーを輪にしたりセーターなどのピースをつなぐときなどでに使われます。別々のピースを同じような構造で編みこんでいくので、針ではぎ合わせるよりも強度があります。

通常、はぎ合わせた部分は裏側に隠して使うので表に返したときに引き抜き編みは見えなくなります。
(ここで使う引き抜き編みは編み物の頭や細編みを拾う時を前提にしています。長編みなどを使ったモチーフはくさり目と引き抜き編みで構成される『鎖とじ』を使います。)

注意点・コツ:はぎ合わせるときには中表にして縁を合わせます。端の糸を1本だけすくうと、裏がえしたときに糸が引っ張られて、引き抜き編みの糸が見えやすくなってしまいます。
隠すことが前提の『引き抜きはぎ』ではそれぞれの縁から2本ずつ目の頭を拾います。

3.ピースをはぎ合わせる

先ほどの『縁をはぎ合わせる』と用途は同じですが、こちらでははぎ合わせたあとに引き抜き編みを表に見せる方法で、デザインの一部としても使われます。たくさん作ったかぎ編みのモチーフをつなぎ合わせてつくる、ブランケットやベッドカバーなどでよく目にします。

注意点・コツ:はぎ合わせるモチーフは裏面を内側にして合わせます。手前のモチーフの奥半目の糸、向こうのモチーフの前半目の糸を一本ずつ拾って引き抜きはぎを施します。糸を一本ずつ拾うことで、モチーフを広げたときにはぎ目が厚く重くなりません。また、伸縮性があってモチーフの間に適度な余裕が生まれます。

4.表面にスティッチを施す

平編みにもボール状のものにも施すことができます。シンプルなモチーフであれば簡単にサクサクっと編み進められます。モチーフが完成した後でも文字や模様を仕上げに編み込めるので、糸を変えるのが苦手だったり、模様を浮き上がらせたい時などに活用できます。

注意点・コツ:基本的には他の引き抜き編みと同じです。針をモチーフに入れて結び目を作ります。結び目の輪の部分だけを引っ張り出し、次の穴に針先だけ入れます。裏の糸をひっかけて一気にモチーフと針にかかっているループの両方から毛糸を引き出します。

ボールや手袋などの端が閉じている場合は基本の方法ではやりにくいかもしれません。そのときには、糸端を表に出す方法で編みましょう。1番目の目に針先を入れて、2番目の目から針を出します。この状態で糸を引き出します。1番目の目に輪が出ており、2番目の目から糸が2本出ている状態になります。次は同じように2番目の穴と3番目の穴にかぎ針を突き刺してヤーンオーバーで糸をかけて編んでいきます。

5.縁に編む

トップ画像のように、モチーフの周りに細編みを編むとフレームのようになります。何気ないモチーフも引き抜き編みで縁取りすることによって完成度が上がります。加えてモチーフ周りの不揃いになってしまった目を隠して、真っ直ぐなラインにリセットしてくれます。しんぷるに仕上げたいモチーフは引き抜き編みで仕上げてみましょう。

注意点・コツ:表に目が見えるように編みます。手前半目、もしくは手前半目と奥半目の両方を拾いながら引き抜き編みを施します。奥半目だけを拾うと手前半目が押し出されて不格好な仕上がりになります。

くさり目と引き抜き編み

構造自体が同じであるくさり目と引き抜き編みの違いは何でしょうか。くさり目の記号は黒縁の楕円形です。引き抜き編みは同じ楕円形ですが黒く塗りつぶしたような編み記号ですね。

くさり編みは作り目や立ち上がりとして作ります。引き抜き編みはすでにある編み目に糸を通して作ります。その違いは新しく編み目となるのがくさり目、すでにある部分に編み込んでいくのが引き抜き編みです。構造は同じで、似て非なるものであることを念頭に置いておくと良いでしょう。
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